違う世界の風景はなかなか語られない。認めたくない現実は語られないでしょう。小さく語られていても聞こえません。聞こえても自分に合わせて理解する。
小野田さんは漏れてくる日本敗戦記の情報を曲解していました。小野田さんだけでなく無条件降伏の前日まで多くの日本人は現実を理解していませんでした。
ラジオ、新聞、マスメディアが悪かったといっても、メディアだけが悪いのか?その裏にいる人々はどう考えていたのでしょうか?それに気づいていても気が付かないふりをするしかないのかもしれない。
みんなで同じ穴に落ちる。民主主義は、見えている陥穽に落ち込んでいくシステムなのでしょうか?
民主主義体制はときに権威主義体制を呼び込むが逆に戻る革命は、豊かな社会では、起こりにくい。
間違った現実の中であっても、その中で安逸に生活している限り、システムを是正する力は出てきません。それどころか間違っているほど局所最適に陥っていて復元力は弱いのかもしれません。
現代日本社会は民主主義体制に到達できています。それは現実として語られ続けている。独裁政権は警戒され、少数意見は語ることができているようです。
政府批判も、マスメディア批判も、大企業批判も、教育批判も、ユーチューブやツイッターにあります。そのSNSも逆にマスメディアに批判される。語りの機会が多様に大きいことで権力分散があり、その分散もまた批判されている。現実は多様に語られることでますます現実らしくなるのでしょう。
大きな物語を語る権威主義体制は国際競争には強いが多様性を失って老朽化します。エリートが現実から逃避すると体制は腐敗します。そこでは現実を語ってくれる人がいない。語る人がいなければ現実は消えていきます。
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