神秘と象徴の中間:草間彌生のモノクローム | アートテラー・とに~の【ここにしかない美術室】

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現在、草間彌生美術館で開催されているのは、

“神秘と象徴の中間:草間彌生のモノクローム” という展覧会。

(注:緊急事態宣言の発令を受け、6月2日まで臨時休館しています。最新情報は美術館ウェブサイトをご確認ください。)

 

草間彌生さんの作品といえば、

ビビットでカラフルでポップという印象が強いかもしれませんが。

実は、アーティストデビューをした頃から、

現在に至るまで、モノクロームや単色の作品も数多く制作しています。

そんな草間さんのモノクロームの世界をフィーチャーしたのが、今回の展覧会。

普段のイメージとは違った、シックな草間ワールドが楽しめる展覧会です。

 

まず1階に展示されていたのは、銀一色の立体作品。

《去ってゆく冬》 です。

 

 

 

要所要所に穴が開けられており、そこから中を覗けば、

摩訶不思議な合わせ鏡の世界を体験することができます。

 

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合わせ鏡を使った作品は、これまでにもありましたが。

穴が無数に開けられているのが、この作品の最大のポイント。

それらの穴から様々な景色が映り込むことで、複雑な光景を作り出していました。

 

 

《去ってゆく冬》 で頭が若干混乱した後は、2階の展示室へ。

こちらには、モノクロームの平面作品が壁一面に飾られています。

 

 

 

モノクロームだから、カラフルな作品と比べて、

パワーが抑えられているかといえば、そんなことは全くなく。

 

 

 

むしろカラフルな作品よりも、カラフルといいましょうか。

単色である分、自分の頭で色を補正してしまうため、

かえって、迫りくるような強烈な色彩感覚を味わうこととなりました。

 

なお、こちらの展示室には、

ソフト・スカルプチュア作品も展示されています。

 

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動いてないはずなのに、

なぜかモゾモゾと動いているような感覚が。

その姿をしばらく観ていたら、

なんだか自分の心もモゾモゾとしてきました。

感覚が敏感な方は、長時間の鑑賞にご注意くださいませ。

 

 

続いては、3階の展示室へ。

こちらの展示屋では、開館以来、

基本的に、「わが永遠の魂」 シリーズが紹介されています。

 

 

 

今回展示されている 《わが永遠の魂》 は、全33点。

そのうち、昨年制作されたものは11点です (うち、10点が世界初公開)。

部屋全体はカラフルなのですが、1点1点よく見ると、

どの作品も2色しか使われていないことに気が付きます。

やはり、これらもモノクロームの世界ですね。

 

ところで、何よりも気になったのが、

床に無数に置かれた銀色のオブジェです。

 

 

 

『ターミネーター2』 のT-1000・・・かと思いきや (←んなこたない)。

雲をモチーフにしたインスタレーション作品とのこと。

日本で公開されるのは、今回が初めてとなるそうです。

 

 

 

ステンレス製の作品の表面に、

「わが永遠の魂」 シリーズが映り込む様子は、なんとも幻想的でした。

星

 

 

ちなみに。

草間彌生美術館を訪れるのは、約1年ぶり。

屋上にあった 《ナルシスの庭》 というインスタレーション作品は、

《天空にささげたわたしの心のすべてをかたる花たち》 に変わっていました。

 

 

 

また、4階のインスタレーション作品も、

いつの間にやら、新たな作品に変わっていた模様。

展示室の前には、シール付きの造花がたくさん置かれていました。

 

 

 

どうやら、この中から好きなものを1つ選び、

展示室内の好きな場所に貼るという参加型の作品であるようです。

 

アートテラーたるもの、面白いところに貼らねば!

 

そう決意して、展示室内に入ったところ、

衝撃的な光景が目に飛び込んできました。

 

 

 

ほぼほぼ貼るところ無いがな!!

 

壁やら家具やら照明やら、黄色い花でビッシリ。

ミスチルのアルバムみたいなことになっていました。

 

 

 

黄色い花のシールが貼られすぎて、もはや原形がわからず。

 

 

 

かつてビニール傘やジャケット、

スタンドミラーだったものが、そこらにありました。

ゴッホの黄色い部屋よりも黄色い部屋。

そんな黄色一色の部屋に、しばらくいたせいでしょう。

 

 

 

↑展示室を出た後の、

この白い階段が一瞬黄色に見えました。

黄色の残像よ。

 

 



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