ミケル・バルセロ展 | アートテラー・とに~の【ここにしかない美術室】

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東京オペラシティアートギャラリーにて、

現在開催中の “ミケル・バルセロ展” に行ってきました。

 

 

 

スペインを代表する現代美術家ミケル・バルセロ。

その日本初となる大規模個展です。

 

ミケル・バルセロは、1982年に20代半ばにして、

現代美術の国際展として名高い 「ドクメンタ」 で華々しくデビューして以来、

65歳を迎える今日まで、世界各国で展覧会や大規模なプロジェクトを次々とこなしています。

それほどのアーティストの展覧会が、

なぜ、これまで日本の美術館で開催されなかったのか?!

というか、そもそも知名度がそんなに無いのか。

展覧会を観て、その理由がわかったような気がしました。

 

 

 

作品がデカい!!

 

ほとんどの絵画作品が2mオーバー!

相当に広いスペースがなければ、

ミケル・バルセロ展は開催できませんね。

 

なお、スペインの伝統的なモチーフ、

闘牛を描いたこちらの 《イン・メディア・レス》 という作品の高さは約2.8mもあります。

 

 

 

一気呵成に描いたような筆跡が見られますが、

一体どのやったらこのように描くことができなのか??

もしかしたら、バルセロの身長は3mくらいあるのかもしれません (←んなこたぁない!)。

 

 

さてさて、物理的に作品が大きいからといって、

決して、バルセロのスタイルは大味ではありません。

絵肌に直接グラインダーを当てたワイルドな作品もあれば、

 

 

 

東洋の水墨画を彷彿とさせるような作品や、

 

 

 

バスキアを彷彿とさせるようなコラージュ作品も。

(生前のバスキアと実際に交流があったそうです)

 

 

 

さらには、意図的に弛ませたキャンバスの上から描いた作品もありました。

 

 

 

驚くほどに、バルセロのスタイルは実験的でバリエーションに富んでいます。

ちなみに、あえてでこぼこした表面にバルセロが絵を描くのは、

ラスコーの洞窟壁画など、絵はもともとでこぼこしたところに描かれていたからとのこと。

確かに!その考え方はなかったので、目からウロコでした。

 

 

さて、実験的といえば、こんなシリーズも。

 

 

 

「ブリーチ・ペインティング」 シリーズです。

暗い色に浮かび上がる人々の顔。

実は、白い絵の具で描かれているのではなく、

ブリーチ、つまり漂白剤を使って描かれているのだそうです。

この発想もなかった!

 

 

他にも、インパクトのある絵が多々ありましたが。

いや、むしろインパクトのある絵しかありませんでしたが。

中でも印象に残っているのは、

展覧会のメインビジュアルにも使われているこちらの絵画です。

 

 

 

抽象画とばかり思い込んでいましたが、

タイトルに目をやると、《雉のいるテーブル》 とあります。

なるほど。言われてみれば、エビや魚、

ヤギなどが乱雑に乗ったテーブルに見えてきました。

・・・・・結局のところ、どれが雉かはわかりませんでしたが、

 

 

それと、もう一つ印象に残っているのが、

こちらの 《小波のうねり》 という作品です。

 

 

 

どこぞの衛星写真のよう。

それも、ポツンと一軒家でもありそうな場所の衛星写真のようです。

さて、この絵に近づいて観てみると、

その表面がとんでもないことになっていました。

 

 

 

なんと全面的にトゲトゲしているではないですか。

一体どうやって描いたら、こんな表面になるのでしょう??

何とこの絵は、逆さまに吊ったキャンバスに描いたのだとか。

要は、つららが出来るのと同じ原理です。

ただ、理屈は簡単でも、実行するのは困難。

思い付いたら、目いっぱいやらずにはいられない。

それが、ミケル・バルセロという男です。

 

そんなバルセロですから、

もちろん制作ジャンルは絵画にとどまらず。

 

 

 

ブロンズ彫刻にやきものに、

果てはパフォーマンスに、と多岐に渡っています。

 

ベラスケスやゴヤ、ダリ、ピカソといった、

名だたる巨匠を輩出してきた美術王国スペイン。

その最先端には、バルセロがいました。

星星

 




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