国宝 雪松図と吉祥づくし | アートテラー・とに~の【ここにしかない美術室】

アートテラー・とに~の【ここにしかない美術室】

美術を、もっともっと身近なものに。もっともっと楽しいものに。もっともっと笑えるものに。

早いもので、今年も残すところ1か月を切りました。

お笑いの特番に、忠臣蔵の映画に、

ケンタッキーフライドチキンのパーティバーレルに。

年始年末の風物詩は数多くありますが、

美術界における年始年末の風物詩といえば、

やはり、三井記念美術館でお披露目される国宝《雪松図屏風》でしょうか。

 

国宝 円山応挙《雪松図屏風》 江戸時代・18世紀 三井記念美術館

 

 

しかし、2019年に開催された展覧会、

“国宝 雪松図と明治天皇への献茶”を最後に、

国宝《雪松図屏風》を中心に据えた展覧会が年始年末に開催されず。

今年2022年、ついに3年ぶりに、この時期に、

国宝《雪松図屏風》の展覧会が開催されることとなりました!

その名も、“国宝 雪松図と吉祥づくし”

 

(注:館内の写真撮影は、特別に許可を得ております。)
 

 

縁起の良い松をドーンと大胆に描き、

きらびやかで祝祭的な国宝《雪松図屏風》を筆頭に、

 

 

 

三井記念美術館のコレクションの中から、

“おめでたい”作品の数々を紹介する展覧会です。

いろいろあった2022年を締めくくるのにも、

来る2023年が明るい年になるのを願うのにも、

どちらにももってこいの展覧会といえましょう。

星星
 

 

ところで、“おめでたい”と言っても、

そのモチーフは、さまざまなパターンがあります。

七福神のように、観るからにおめでたいモチーフもあれば、

 

狩野養信《七福神図》  江戸時代・19世紀  三井記念美術館

 

 

古来中国では「百花の王」と呼ばれ、富貴の象徴とされた、

牡丹のように、現代ではそこまでおめでたいイメージのないモチーフも。

 

《青磁浮牡丹文不遊環耳付花入》 南宋~元時代・13~14世紀 三井記念美術館

 

 

 

西洋絵画では、「好色」や「怠惰」など、

どちらかといえば、ネガティブなイメージのある猫も、

実は古来より中国では、縁起物として受容されていたそうです。

 

沈南蘋《花鳥動物図より藤花独猫図》 清時代・18世紀 三井記念美術館

 

 

その理由は、中国において、『猫』の字は、

長寿を意味する『耄』の字と発音が近いから、とのこと。

え、理由それだけ?

それはそうと、沈南蘋の描いた猫が、

ベテラン男子アナウンサーみたいな顔をしていました。

長生きした結果、可愛げがどこかに行ってしまったのでしょうか?

 

可愛げが無かったと言えば、

同じく沈南蘋が描いた《白鸚鵡図》のオウムも。

 

 

 

目つきが完全にヤンキー。

髙橋ヒロシの漫画に登場しそうです。

 

 

さてさて、展覧会では他にも、

印象的な作品が多々ありました。

まずは、重要文化財の《玳皮盞 鸞天目》

 

重要文化財 《玳皮盞 鸞天目》 南宋時代・12~13世紀  三井記念美術館

 

 

見込みに描かれている尾の長い鳥は、

鸞という名の古代中国の伝説の霊鳥とのこと。

君主が徳をもって世を治めた時にのみ姿を現すのだとか。

麒麟が来たり、鸞が現れたり、

君主が世を治めると、いろんな未確認生命体が出現するのですね。

それはそれでまた、世の中がパニックになるような・・・。

 

 

続いては、《孔雀卵香合 了々斎好》

 

 

 

孔雀の卵に似せた香合かと思いきや、

本物の孔雀の卵を使って作られた香合なのだそう。

外が白くて、内側が赤。

紅白帽を思い出し、なんか懐かしい気持ちになりました。

 

なんか懐かしい気持ちになったといえば、

南宋~元時代に作られた《交趾写牡丹唐草文尊形花入》も。

 

永樂得全《交趾写牡丹唐草文尊形花入》 明治時代・19世紀 三井記念美術館

 

 

実際は陶製なのですが、色味といい、雰囲気といい、

プラスチック製のおもちゃを彷彿とさせるものがありました。

なんかこんな感じのおもちゃで昔遊んだような。

ハローマックで買ってもらったような。

 

 

 ┃会期:2022年12月1日(木)~2023年1月28 日(土)
 ┃会場:三井記念美術館
 ┃https://www.mitsui-museum.jp/exhibition/

~読者の皆様へのプレゼント~ 
“国宝 雪松図と吉祥づくし”の無料鑑賞券を、5組10名様にプレゼントいたします。 
住所・氏名・電話番号を添えて、以下のメールフォームより応募くださいませ。 
https://ws.formzu.net/fgen/S98375463/
なお、〆切は、12月12日です。当選は発送をもって代えさせていただきます。

 

 

 

 

1位を目指して、ランキングに挑戦中。
下のボタンをポチッと押して頂けると嬉しいです!

Blogランキングへ にほんブログ村 美術ブログへ