このBlogで韓国の車を紹介する時代が来るとは・・・
21世紀に入った頃、街にHYUNDAIと看板が掲げられた自動車販売店舗がたくさん現れた。
「現代自動車のことだろ?ヒュンダイって読ませるのか。彼の国のメーカだとわからないようにするために・・・乗用車メーカーだけで8社もあるようなこの小さな国に今更やってくるとは・・・なぜ、この地で根付くことができると思っているんだ?お前たちの母体は、日本の三菱自動車だということを忘れたかのような振る舞いだな。」
案の定、それらの店舗は、あっという間に消えた。
私が本当に恐れていたのは、乗用車の方ではなくて、バス事業の方。
日本市場しか見ない手作りのバスを作っているすべての日本バスメーカーは、全部、現代自動車に踏み潰されるだろうと思っていた。なんたって、彼らは、自動化ラインで、バンバン大型バスを作って、世界中に輸出しているんだから。
結局、商用車部門も日本に根付くことはなく、「まあ・・・アメリカだけでなく、今や、ヨーロッパでも輸入車NO.1になる程、受け入れられる実力をつけたって話だけど・・・もう、2度と日本市場に踏み込んでくることはないだろう。」と思っていたのに・・・
私の目の前に現れた。白い現代自動車が。
現在の社名は、「ヒョンデ」と読ませるんだそうです。
ここ数年、まとわりついているカタカナ。WRCの世界で。
「WRCは、アジアのメーカーのための大会となって久しいから・・・」と思い込もうとはしているんだけど・・・
何度も、既にあのトヨタに煮湯を飲ませているメーカー。2024年もね。トヨタは、最終戦でかろうじてメーカータイトルの方は守った。
目の前に現れた白い現代自動車は・・・KONA・・・コナと読むんだそうです。コーヒーの名前か?
電気自動車です。このハッチバック車両。
乗り込む前に「万が一に備えて」充電ポートの位置を確認させられる。
前側に充電ポートか・・・初代リーフもそうだったっけ・・・しかし、四隅の位置にランプ類が配置されているって、擦っちゃったら大変な修理費用になりそう・・・
この時点で既に警戒心が芽生えていたのは、この車両、「V2H対応車」なんだそうです。
災害国日本だからこそ生まれた発想、「万が一の時に車の電気を住宅に給電できるようにしよう」という構造は・・・世界から見ると「なんでそんなことしないといけないの?」仕様なんだけど・・・え、この韓国メーカ、日本の為にわざわざ金かけて対応してきたの?日本メーカですら、V2H対応しないで「電動車です。」とか平気な顔をするメーカが現れている仕様なのに。
リヤもバンパー部にランプユニット組み込み・・・
バンパーのこの四角はなんだ???
なんというか・・・「日本人は、バンパーが擦れて傷つくことすら修理したがる奇人変人の集団」ってまあ、世界の自動車メーカーからは思われているんだけど、その辺りは完全に無視なのね。
電気自動車なので、また走り始めるまでに「普通の車じゃない。」感の操作体系を強いられるんだろうと覚悟していたんだけど・・・
やっぱりそうだった。
この車両、シフトレバーは、メルセデスベンツのように「ステアリングコラム脇に装着」されているタイプでした。
で、メルセデスベンツの操作体系は、すんなり対応できたんだけど・・・
このコナは・・・捻るんです。DやRレンジに入れるときに。
「え???なん・・・なんで???なんで、”ひねる”という動作をさせるんだ?」
しば〜らく、「Dドライブに入れるために”前に捻る”」とやってしまい、車がバックしようとして困りました。
まあ・・・「シフトレバーを操作した後、液晶画面をよく確認するようになる。」という点で、恐らく設計者が意図した通りの操作体系なんだろうと・・・
タイヤが「高性能車のサイズ」なんです。この電気自動車。
タイヤメーカーは・・・
あ、自国製を使っているのね。日本メーカー群と違って。
結局、この「タイヤが飛び出さないようにする」飛び出しデザインって、強制され続けることになった・・ってことですかね?一時、「日本特有のおバカカバー」って言われていましたけど。これ、バンパー一体成形ですし。
幅235の扁平率45%しかも外側指定デザインのタイヤなんて・・・重いバッテリー車両にそんな接地面積が大きいくせにエアボリュームが少ないタイヤを履かせて、走行可能距離はどうなるんだ?
走行可能距離460km・・・そんなに・・・そんなに走れるの?
いや、いやいや。エアコンかけたらガクって小さくなるんだよ。走行可能距離。
ほら、エアコンをつけた途端、走行可能距離は少なくなった・・・でも、431km走行可能。
・・・ホントかなあ・・・どうせ、高速道路を走り始めた途端、どんどん減るんでしょ?
普通の大きさと配置のペダルを操作して走り始める。
このフットレストのところの穴はなんだろう・・・何かのセンサー・・・っていうか、既にその上に被っていた蓋が外れちゃったってことかな?
走り始めた瞬間、感じたのは、「すごくすごく自然に走り出す電気自動車だな。」ということ。
何度もドライブモードを確認する。
ECOモードなのか・・・ECOモードでこんなに自然に走り出すなんて・・・なんだか、Hondaのハイブリッドカーに乗っているみたいだ。(特にVEZELによく似ています。)
通常、電気自動車は、「ドカッとスタートトルクを放出するか、あるいは、電気消費を極力抑える為に非常にスローな立ち上がり」をするものなんです。少なくとも、これまで経験してきた電気自動車群は。
でも、このコナは、すごく普通に走り出してくれる。それだけではなくて、電動パワーステアリングのセッティングも適切。市街地で適切な軽さになるだけでなく、高速道路では操作性が適切に調整される。
ものすごく驚かされたのは、足回りの出来の良さ。
重いバッテリーを搭載する電動車両は、その足回りのセッティングがすごく難しいです。
初代リーフは、荒れた舗装路で、いすゞエルフのような車輪のバタつきを感じさせた。
最新のミライでも左右方向にバタバタ体が揺すられる時があった。
でも・・・このコナは、そんな不具合を全く感じさせない足回りのセッティングなんです。
正直、個人的には、「もう少し左右方向を深くロールさせてもいいかもね。」と思ってしまう瞬間もあったのですが、非常に感心させられるセッティングの車両だと思います。
操作系で謎だったのは、このパドルシフト。
「なんで電気自動車なのにパドルシフトが装備されているんだ?」
すごく謎・・・で、謎のままにしました。今回。全く触らなかったです。このレバー。
まあ、AT車でもパドルが装備されている車両がありますが、アレを触っても・・・必ずタイムが遅くなりますし。(?)
装備類は、かなり充実しています。
シートは電動なのですが、乗降の際に自動でシートレールが後ろに下がる機能がついています。
最初のうちは、「え〜と・・・下げてくれるのはいいけど、結局、いちいち自分でスライド位置を調整しないといけないのね。」と思っていたのですが、2名分のメモリー機能がついていました。(使えば。ですが。)
シートそのものは、サイズも適切なのですが、1つだけ難点が。
それは・・・シートバックに張りがありすぎる・・・構造のせいか、あるいは、シートヒーターの組み込み位置のせいかわからないのですが、私は、1日走行の終盤に腰の少し上の位置に痛みが走るようになりました。
私の体格の問題・・・いや、上着の背中部分にチャックがあるタイプの服装だったからかもしれません。
今まで同じ服装で、色々な車両を運転してきましたが、初めての体験です。
すごく太いリヤゲートダンパーが装備されています。
ええ。そうです。この車両、電動リヤゲートが装備されています。
しかもですよ。
この電動ゲート、「操作する人の背の高さに合わせて、開口高さを記憶する機能」があるんです。
電動ゲートだけでも「だいぶ楽させてもらっている。」と思うのですが、高さ調整までしてくれたら、背が低い女性でもさらに楽にバックゲートが開閉できます。
荷室は、電気自動車ということで、相当狭いことを覚悟していたのですが・・・こんな感じです。
色々雑多な荷物が積んである状態の写真で申し訳ない。数日前に開催された軽自動車耐久走行会で使った部材をそのまま放り込んでドライブしていました。
後席もかなり余裕があります。
非常に・・・非常にフラットに形作られたフロアです。サイドシルも幅は広いのですが、高さはそうないので、乗り越えることも苦ではないです。
空調ダクトの大きさが・・・電気自動車らしい気の使い方故なのか・・・USBは、TYPE-Cソケットが装備されています。
この車両独特の装備だと思ったのが、このカップホルダー。
いつの間にか、外車でもカップホルダーが標準装備されるようになってきました。
他の車両で全く見たことがない動きをするカップホルダーです。
独特といえば・・・他の地域の車両では見られない装備(デザイン)がいくつか・・・
右ウインカー装備の外車・・・本当に久しぶりに乗りました。ただ、このスイッチのプラスチック成形が・・・
シボが全くかかっていないんです。この回すノブのところだけ。なぜか。
なので、盛大に指紋が残ります。
ウインカーそのものを操作すると、こんな感じで左右カメラがメーターナセル内に表示されるのはすごく便利な機能です。
実際には、フロントガラスにスピード表示等がホログラム表示されるので、この大きな液晶画面を覗き込むことは、まずないんですけどね。
それと室内照明類が・・・
なん・・・で、なのか、手動でボタンを押してあげないと、全く機能しないです。何か理由があるんでしょうね。
たくさん並べたボタンが、「ああ、とにかくヨーロッパに標準を合わせているんだな。」と思わされる操作体系になっています。
それゆえか、せっかくの大型液晶ディスプレイの使い勝手が・・・案の定・・・
あ、音楽を聴き始めた時には、ものすごく驚きました。
「すごく音がいい!いいオーディオが装備されているだけじゃなくて、音の広がりもよく考えられている。」
最初は、室内に多数設けられたスピーカーユニットのおかげかと思っていたんだけど・・・
それだけじゃなかった。BOSEのシステムだった。
ナビの目的地検索は、住所をとにかく全部打ち込む必要があります。県別表示とかされないので。
まあ、タッチパネル方式だったので、ドイツ勢ほど発狂したくなったりはしません。
で、この大型画面、多機能すぎて・・・
ズラッと並んだ設定項目。
設定をした後、「え〜と・・・一つ上の階層に戻るためにはどうしたらいいんだ?」となっていました。しばらくの間。
そんな感じで、少々悩みながらも、181kmを走って・・・
残り充電54%・・・
1日、かなり意地悪な使い方をしました。
・オートエアコン常時作動
・シートヒーター常時作動
・ステアリングヒーター常時作動
・高速道路使用(オートクルーズ機能で極力走るようにしましたが。)
それで、残り216km走行可能表示。まあ、実際の走行距離と残り走行可能距離との間に乖離があるのはご愛嬌。電気自動車ですから。
ものすごいことです。
分かってはいました。ずっと前から。「電気自動車の世界は、猛烈な勢いで進化するだろう。1世代で、猛烈な勢いでジャンプするはずだ。」
このコナの性能なら、もう、「どこまで走れるだろう・・・充電場所を事前に把握しておかないと。」なんて、あの電気自動車特有の悩みから解放されるんです。
しかも、足回りのセッティングも含めて、非常によく走る。
アメリカのテスラなんて全く眼中にない。だって、あちらはモータースポーツの世界に全く現れず、「ソフトウエアの感覚で、命をのせる移動体を作り続けることができる。」と信じているのですから。
ソフトウエアは、いつまで経ってもβ版が許される。(α版か?)
物理現象の現実世界では、そうはいかないということです。現実世界の事故率データは、それを表しているでしょう。
私は、「世界選手権にアジアのメーカーが出てこない限り、日本製品(車だけではない)の優位は揺るがない。」と信じていましたが、このヒョンデというメーカは、その認識を改めなければいけないようです。
電気自動車自体が(というより、その搭載しているバッテリーが)まだまだ、長期信頼性の部分で要観察扱いなのではありますが。
日本人は、このヒョンデというメーカをはっきり認識し、よく理解しないといけないです。
隣の国から脅威がやってきた。と・・