台風8号の影響が出始める前のことですが、ちなみにこの台風に付いた名前「メアリー」は「Mary」ではなくして「MEARI」と記すようですな。台風には個々に名前が付けられますけれど、アジア圏の国々がそれぞれに命名したものをリスト化して順繰りに使っていると。その中で「MEARI」の命名国は北朝鮮で、意味は「やまびこ」であるとか。一応、Wikipediaの記載でもそのように。

 

と、のっけから余談ですが、台風8号の影響が出始める前のことに話は戻ります。市の図書館に行こうとして近くの公園に通りすがりますと、子供たちが捕虫網を持って蝉とりをしていたのですなあ。いやあ、夏休みだなあと思うところでして、今を去ること何十年も前には同じようなことをしていた夏休みであったと思い出したりもするわけです。

 

が、どうも今年の蝉くんたちはようすがおかしくはありませんですかね。多摩地域に片隅にある住まいの近辺では、時折ミンミンゼミが声高らかに独唱するくらいなもので、いわゆるアブラゼミがあちこちで鳴いている蝉しぐれが聞こえてくることが無いのでありますよ。

 

一方で先日に両親の住まう東京区部の東部に出向いたときには朝から妙に「しゃおしゃおしゃおしゃお」とうるさいくらい。ですが、この鳴き声からしてクマゼミ?と思うところながら、東京でかほどにクマゼミが鳴くようになったのはいつの頃からであるか…と考えてしまったり。そして、この間滞在していた山梨の小淵沢で耳にしたのはもっぱらヒグラシなのですよねえ。ともすると今年の夏はどうのとひと言で片づけてしまいそうになりますが、ところ変わればの印象もあり、また自然界のさまざまであることに思いを巡らしたりするところです。

 

子供の頃に昆虫採集に夢中になっていたことを思えば、いわゆる「科学の子」であったようにも思うところながら、家にあったというだけて振るっていたのが捕虫網ではなくしてたも網であったのですから、目が粗くて虫を捕らえられるはずもなく…(苦笑)。科学の子の挫折はそんなところから始まったのかもしれませんですなあ。

 

そうではあっても全く興味が失せてしまったわけでもありませんで、Eテレの『サイエンスZERO』などの科学番組を見るともなしに見ていますと、「ほお~」と思ったりすることもあるわけです。先週放送分でしたか、生物の持つ毒を扱った放送回で「そうであったか」と思いましたのは、ふぐ毒の話でしょうかね。

 

生物が毒を持つ理由は大きく二つに分けられて、ひとつには餌として捕食する対象に及ぼす毒、もうひとつは自らを捕食対象として近づいてくる敵に対する毒であると。前者が攻撃的な毒の使い方で代表例は蛇でしょうか。後者の方は防御用で皮膚を毒液で覆っているカエルなどがあるようですが、いずれにしても、毒の成分を体内で生成しているようなのですね。

 

ところが、ふぐの毒は攻撃用でないと同時に自らを守る防御用でもない。しかも、体内で生成されるのではなくして、毒の成分であるテトロドトキシンを持っている虫を餌とすることで体内に蓄積するのであると。ふぐの毒は肝にあることが知られ、食用にさばく際には要注意なわけですが、もっとも蓄積しているのは卵巣なのだそうですね。

 

とどのつまり、ふぐの毒というのは卵から孵化し、もっとも敵から捕食されやすい幼魚の段階に、その体を毒成分で包み込むためにあるのだということで。さすれば防御用の毒とはなりますけれど、自らを守るのでなくして子供を守るようにできたありようが、以前同じ番組で「実は魚は頭がいい」ことを紹介していたこととも通じて、生物として魚は結構な進化系なのであるかとも思うところなのでありますよ。

 

ま、そんなこんなの紹介を見て、「毒の研究をしよう」というほどの「科学の子」(ならぬ「科学の老人」)ではないわけですが、自然界には不思議なことがたくさんあるものだ…てなことを思う、夏の昼下がりなのでありました。