カウンターに座ってしばらくすると、電話が。
「今どこですか?」
「もう入っちゃった」
電話おいてすぐに彼は入ってきて、私は変にぎこちない雰囲気にならないよう、やたら何も意識してないオーラを出すように努めました。
ラーメンを食べ終わってからだったか、最近の私はおかしい、何かあったんですか、と彼はきいてきました。
後輩である彼に、私はわざわざ家庭のごだごだを話すのはおかしいだろうし、それこそまた気をひきたいだけじゃないかと、わざとぼかすように言いました。
彼は次に同じ学年の人との呑みにいかなきゃと言ってたので、はやく行きなさいよ、というと、まだ大丈夫です、と答える。
そう言ってくれちゃうもんだから、まったり呑める場所に一緒に行きました。
今思えばやたらムードがある店(ソファ席で蝋燭の光がふわわ~って感じのお店ですからね。デート用じゃんか、がっつり)をチョイスしてしまったものです。
お酒を呑みつつ、今までちゃんとは聞いたことなかった彼の考えとか、夢とか、今の状況だとかをきいていると、自然とそれは自分にも重なってくることばかりで。
そういえば、彼が立たされる位置とか、責任とかは私のとかなり似ていて、かといって断れないし、人が好きだし、ひとりになりたくないし、サザン好きだし(笑)みたいな部分がしっくりときたんですね。
今までの人は、違った価値観をみせてくれて、そうかそんな考えもあるのかって、発見させられる一方、ちょっとした差異を感じても、なかなか口にできなかった、というよりもむしろそんな小さなことにこだわるなんてバカみたいって、自分で目隠ししてたんじゃないか、って思うようになってきて。
その点、彼と話していると、細部までぴっちり合うことがあるためか、ちょっと違うなと思えばすぐにそれはどうなのって言える。
「わー。なんか、似てるとこ、多いねぇ、私たち」
「そうですね。今までこんだけ話したことも、ないですし」
気付けばもうラストオーダーの時間。
なんとなく酔いもまわった私たちは店をあとにする。
「このイルミネーション、どう思う?」
「うーん。これだけならいいですけどねぇ。なんで他の色をいれちゃうかなーって」
「でしょ!そうなの。これはどうみても合わないよね~。私は金色のままのほうが好きだったのにさぁ。こないだ○○ちゃん(彼の同級であり私のバイトの後輩)とここ通りながら、『そこら中がクリスマスムードだね。ちくしょう!』って話をしてたんよw」
「そうなんですか。でも…いやぁ、カップルが見てて嫌になりますね!」
「でしょう!」と私は彼にドンッと冗談で体当たりをする。
「なんだよーこのやろー」と彼も仕返しに私に身体をぶつけてくる。
「さむいね…」「さむいですね」「人恋しいなぁ」「ほんと、人肌恋しいなぁ」
ええい。知らん!もういい!
「ちょ、rumie-ruさん、何してるんですか」
「君が人肌恋しいって言ったからでしょうが」
「だめですよ。僕、たっちゃいますよ」
「あ、そうかそうか。君は男だもんなぁ、あはは。….ねぇ、君は何型?」
「僕ですか、Oですよ」
「ほんと!私B型だよ!相性良いね~。」
「なんですか?誘ってるんですか(笑)」「ちがわい。ただ話題をふっただけ~」
その間も同じくらいの身長の彼の肩を、ぎゅっと抱いて歩いてました。寒かったから。
駐輪所までくると、私は彼を解放します。
「rumie-ruさん、あの、もう一度ぎゅってしてもらってもいいですか」
もうこのときには、私は、いっぱいになってしまってて。
「どうしたんですか。rumie-ruさんって、こんなかんじの表情もするんですね….可愛い。かわいい」
どんどんぎゅっとしてくれる彼の肩にうずくまる私は、いろんなことに押しつぶされて、息ができなくなっていた嘗ての私ではなくて、素直に私の目の前にいる彼にこうして抱かれていることが嬉しくて、そして悲しくて、声にならない声で泣いていました。
「あの、おかしいとは思うんですけど、もしよかったら、ウチに来ませんか?」
「うーん…いくー」
もう、いいんだ。
私は何に縛られていたんだろう。
ここに、あなたと、私。それで十分じゃないの。
つづく。
「今どこですか?」
「もう入っちゃった」
電話おいてすぐに彼は入ってきて、私は変にぎこちない雰囲気にならないよう、やたら何も意識してないオーラを出すように努めました。
ラーメンを食べ終わってからだったか、最近の私はおかしい、何かあったんですか、と彼はきいてきました。
後輩である彼に、私はわざわざ家庭のごだごだを話すのはおかしいだろうし、それこそまた気をひきたいだけじゃないかと、わざとぼかすように言いました。
彼は次に同じ学年の人との呑みにいかなきゃと言ってたので、はやく行きなさいよ、というと、まだ大丈夫です、と答える。
そう言ってくれちゃうもんだから、まったり呑める場所に一緒に行きました。
今思えばやたらムードがある店(ソファ席で蝋燭の光がふわわ~って感じのお店ですからね。デート用じゃんか、がっつり)をチョイスしてしまったものです。
お酒を呑みつつ、今までちゃんとは聞いたことなかった彼の考えとか、夢とか、今の状況だとかをきいていると、自然とそれは自分にも重なってくることばかりで。
そういえば、彼が立たされる位置とか、責任とかは私のとかなり似ていて、かといって断れないし、人が好きだし、ひとりになりたくないし、サザン好きだし(笑)みたいな部分がしっくりときたんですね。
今までの人は、違った価値観をみせてくれて、そうかそんな考えもあるのかって、発見させられる一方、ちょっとした差異を感じても、なかなか口にできなかった、というよりもむしろそんな小さなことにこだわるなんてバカみたいって、自分で目隠ししてたんじゃないか、って思うようになってきて。
その点、彼と話していると、細部までぴっちり合うことがあるためか、ちょっと違うなと思えばすぐにそれはどうなのって言える。
「わー。なんか、似てるとこ、多いねぇ、私たち」
「そうですね。今までこんだけ話したことも、ないですし」
気付けばもうラストオーダーの時間。
なんとなく酔いもまわった私たちは店をあとにする。
「このイルミネーション、どう思う?」
「うーん。これだけならいいですけどねぇ。なんで他の色をいれちゃうかなーって」
「でしょ!そうなの。これはどうみても合わないよね~。私は金色のままのほうが好きだったのにさぁ。こないだ○○ちゃん(彼の同級であり私のバイトの後輩)とここ通りながら、『そこら中がクリスマスムードだね。ちくしょう!』って話をしてたんよw」
「そうなんですか。でも…いやぁ、カップルが見てて嫌になりますね!」
「でしょう!」と私は彼にドンッと冗談で体当たりをする。
「なんだよーこのやろー」と彼も仕返しに私に身体をぶつけてくる。
「さむいね…」「さむいですね」「人恋しいなぁ」「ほんと、人肌恋しいなぁ」
ええい。知らん!もういい!
「ちょ、rumie-ruさん、何してるんですか」
「君が人肌恋しいって言ったからでしょうが」
「だめですよ。僕、たっちゃいますよ」
「あ、そうかそうか。君は男だもんなぁ、あはは。….ねぇ、君は何型?」
「僕ですか、Oですよ」
「ほんと!私B型だよ!相性良いね~。」
「なんですか?誘ってるんですか(笑)」「ちがわい。ただ話題をふっただけ~」
その間も同じくらいの身長の彼の肩を、ぎゅっと抱いて歩いてました。寒かったから。
駐輪所までくると、私は彼を解放します。
「rumie-ruさん、あの、もう一度ぎゅってしてもらってもいいですか」
もうこのときには、私は、いっぱいになってしまってて。
「どうしたんですか。rumie-ruさんって、こんなかんじの表情もするんですね….可愛い。かわいい」
どんどんぎゅっとしてくれる彼の肩にうずくまる私は、いろんなことに押しつぶされて、息ができなくなっていた嘗ての私ではなくて、素直に私の目の前にいる彼にこうして抱かれていることが嬉しくて、そして悲しくて、声にならない声で泣いていました。
「あの、おかしいとは思うんですけど、もしよかったら、ウチに来ませんか?」
「うーん…いくー」
もう、いいんだ。
私は何に縛られていたんだろう。
ここに、あなたと、私。それで十分じゃないの。
つづく。