【3214】 ○ デヴィッド・リーチ (原作:伊坂幸太郎) 「ブレット・トレイン」 (22年/米・日・スペイン) (2022/09 ソニー・ピクチャーズ・エンタテインメント) ★★★☆

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海外で映画化することで、ポップなハリウッドらしいアクション映画に。

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「ブレット・トレイン」(2022)ブラッド・ピット/真田広之
『ブレット・トレイン』p12.gif 東京。殺し屋の木村雄一(アンドリュー・小路)は、何者かに息子の渉(ケヴィン・アキヨシ・チン)を屋上から突き落とされ意識不明の重体になり、見舞いにやって来た父のエルダー(真田広之)に復讐する旨を伝える。一方、復帰したばかりの殺し屋のレディバグ(ブラッド・ピット)は引退したいと考えていたが、ハンドラーのマリア・ビートル(サンドラ・ブロック)により引き戻され東京発・京都行の高速列車(東海道新幹線)にあるブリーフケースを回収する任務を遂行するために乗り込むこととなる。一方、木村は、犯人であるプリンス(ジョーイ・キング)を殺そうとするも返り討ちに遭い、脅される形で彼女とブリーフケースを奪う協力をするハメになってしまう。中国マフィアから、誘拐されたホワイト・デス(マイケル・シャノン)の息子(ローガン・ラーマン)を救出したタンジェリン(アーロン・テイラー=ジョンソン)とレモン(ブライアン・タイリー・ヘンリー)は終点の京都まで彼の護衛と身代金の入ったブリーフケースの見張りをしていた。ところがレディバグがそれをこっそり盗み出し、降りようとしたところに彼に恨みを持つウルフ(ベニート・A・マルティネス・オカシオ)が乗り込んで来てしまい、戦闘に発展するも何とか彼を退けたが、この襲撃はブリーフケースとそれぞれの私情が絡む大騒動の始まりに過ぎなかった―。

『ブレット・トレイン』p22.jpg『マリアビートル』t.jpg 2022年公開のデヴィッド・リーチ監督作で、伊坂幸太郎の原作は、『グラスホッパー』('04年)、『マリアビートル』('10年)、『AX(アックス)』('17年)から成る作者の「殺し屋シリーズ」の第2作『マリアビートル』。先に映画化された作品「グラスホッパー」('15年/松竹)がイマイチだったことから、作者自身は国内での映画化は絶対にしないと決めて、映画化の話を断っていたところ、エージェントが海外に紹介したら(2022年「英国推理作家協会・インターナショナル・ダガー賞(外国語作品賞)」の候補作になった)ハリウッドで映画化したいということになって、それではということだったようです。

『ブレット・トレイン』3.jpg『ブレット・トレイン』4.jpg 原作の東北新幹線が東海道新幹線に変わったり、原作で中学生の男の子だった〈王子〉が少女に変わったり、原作では二人組の殺し屋の両方が死ぬのに映画では片方が生き残ったりしていますが、何よりも全体の雰囲気がポップなハリウッド調のアクション映画になっていて、ハリウッドスタイルに改変するとこうなるのか、という見方で鑑賞できて興味深かったです。

 監督がスタントマン出身ということもあって、アクションの9割をスタントマンを使わず、役者自らが監督の指導のもと演技していて、58歳のブラッド・ピットも頑張っていました(真田広之はさらにその3つ年上なのだが)。

 ただ、終盤、原作のストーリーから外れてくるとともに、CGを多用するようになって、作品全体大味になったように思われ、それまでせっかく身体を張って演技していた俳優陣の努力が霞んでしまった感じもあります。

『ブレット・トレイン』d.gif.jpg 観終わった瞬間はまあそれでも面白かったなあという印象でしたが、時間の経過とともに印象が薄れていく映画(要するに"残らない映画")でもあるように思いました。でも、こうした映画は、観る側も、観ているときに楽しいかどうかで観に来ていると思うので、本来ならば星3つくらい(△評価)ですが、オマケで星3つ半(何とか○)にしました(子どもと一緒に観に行ったというのもある)。

 現地の批評家の一致した見解は「『ブレット・トレイン』のカラフルなキャストとハイスピードなアクションは、物語の脱線後もほぼ十分に場を持たせている」となっているそうです。まあ、そんなところでしょう(物語が脱線してているというのは共通認識だった(笑))。

『ブレット・トレイン』真田.jpg 因みに、原作では登場人物は全て日本人ですが、この映画では、木村の家族以外の登場人物は全て外国人で、米国では、所謂「ホワイトウォッシング」であるとの批判が出たそうです。背景は原作通り日本であるという設定を維持しつつ、登場人物は外国人ばかりで主要な配役を占めていることがそうした非難を強めたようで、配役一つとっても、米国ではなかなか難しい問題があるのだなあと思いました(この映画を観た日本人の多くは、真田広之とかが出ているので、むしろ一定の配慮がされていると思うのではないか)。


ブラッド・ピット/サンドラ・ブロック
『ブレット・トレイン』5.jpg「ブレット・トレイン」●原題:BULLET TRAIN●制作年: 2022年●制作国:アメリカ・日本・スペイン●監督:デヴィッド・リーチ●製作:ケリー・マコーミック/デヴィッド・リーチ/アントワーン・フークア●撮影: ジョナサン・セラ●音楽:ドミニク・ルイス●時間:126分●出演:ブラッド・ピット/ジョーイ・キング/アーロン・テイラー=ジョンソン/ブライアン・タイリー・ヘンリー/アンドリュー・小路/真田広之/マイケル・シャノン/サンドラ・ブロック/ベニート・A・マルティネス・オカシオ/ローガン・ラーマン/ザジー・ビーツ/マシ・オカ/福原かれん●日本公開:2022/09●配給:ソニー・ピクチャーズ・エンタテインメント●最初に観た場所:TOHOシネマズ日比谷(22-09-26)(評価:★★★☆)

TOHOシネマズ日比谷.jpgTOHOシネマズ日比谷(2018年オープン)
スクリーン 座席数(車椅子用) スクリーンサイズ デジタル音響
SCREEN 1 456+(3) 19.8×8.3m TCX® カスタムオーダーメイドスピーカー
SCREEN 2 98+(2) 8.2×3.4m デジタル5.1ch
SCREEN 3 98+(2) 8.1×3.4m デジタル5.1ch
SCREEN 4 339+(2) IMAX®レーザー イマーシブ・サウンド
SCREEN 5 395+(2) 16.5×6.9m TCX® DOLBY ATMOS(対応作品のみ) VIVEオーディオ
SCREEN 6 98+(2) 6.3×2.6m スカルプトサウンド
TOHOシネマズ日比谷2.jpgSCREEN 7 151+(2) 11.8×4.9m VIVEオーディオ
SCREEN 8 120+(2) 8.8×3.7m VIVEオーディオ
SCREEN 9 257+(2) 12.9×5.4m スカルプトサウンド
SCREEN 10 98+(2) 8.5×3.6m デジタル5.1ch
SCREEN 11 98+(2) 9.1×3.8m デジタル5.1ch
SCREEN 12 489+(2) 15.0×6.2m VIVEオーディオ
SCREEN 13 106+(2) 7.1×4.1m デジタル5.1ch
13スクリーン 2,803+(27)

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This page contains a single entry by wada published on 2022年11月 4日 05:19.

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