事業の再生を実現するため経営改善に取り組むという手続きは、経営の厳しい環境では当たり前のようになっています。

少しでも再生の可能性があるのなら、経営改善を最優先にして取り組むべきなのは間違いないでしょう。

しかし、経営改善は必ず成功するものではありませんから、失敗して再生ができない場合はどうすればいいのでしょうか。

そんな状況であれば、経営危機打開という捉え方で、ステージを一つ前に進めて、次の最善の落し処に向けて取り組むべきなのだと思います。



私は、事業再生のコンサルタントと、経営危機打開のコンサルタントとして仕事をしています。

初めてお会いするお客様から、何のコンサルタントか聞かれたときは、お客様の事業の状況に合わせてご返答するようにしています。

まだまだ、沢山の対応方法がある様な場合は、事業再生コンサルタントとお答えすることが多いようです。

かなり厳しい経営状況のお客様には、経営危機打開のコンサルタントとお答えするようにしています。

事業再生と経営危機打開のコンサルタント、いったい何が違うのかと聞かれることも少なくありません。

よく似ているようですが、根本的に異なることも多いので、少し長くなってしまいますが違いについて具体的にご紹介させてください。

まず、共通することは、経営の厳しい事業者がご相談者であるということになります。

ご相談者は経営について悩みを抱え、将来に大きな不安を抱いておられますから、その厳しい状況をどの様に打開できるのかというご相談を受けてアドバイスをすることです。

破産などされずに、事業を守ることを優先にするということは共通しています。

事業再生と経営危機打開で違うことは沢山ありますが、大きなポイントとしては、取組みの段階と方向性、そしてターゲットが異なるということになります。

簡単に表現すると以下の様になるのでしょうか。

例えるなら、まだ使える容器に入った水を、容器に入れたまま魅力的で綺麗な水にすることが事業再生。

例えるなら、容器の中の水を、容器にこだわらずに、水として維持し活用することが経営危機打開ということになるのでしょうか。

広義に捉えるなら、経営危機打開の中の一部が事業再生ということになるのかもしれません。


22年程前に、この事業を始めましたが、当初は経営危機打開のコンサルタントだけでした。

資金繰りに行き詰ったご相談者を対象に、最善の落し処に向けてのアドバイスをしていました。

ただ、リスケジュールなどを活用した有事の資金繰り確保対策や、その先の任意整理についてのアドバイスが、対応できる業務内容だったといえます。

しかし、経営改善をすれば、再生の可能なご相談者も少なくはありませんでした。

再生するとは、利益を安定的に確保し、約束通りに支払い弁済が可能になる様に復活するということになります。

今は経営が厳しくても、利息どころか元本も約束通りに返済が出来るほどに復活する訳ですから、ご相談者にとって、これが最高の答えであり落し処であることは間違いありません。

しかし、当時の私は、事業の再生のスキルが乏しく、その最高の結果への取り組みを放棄するしかないという、あまりにも無責任でもったいない状況でした。

そこで、再生にも取り組むべく、現場からの学習を中心に勉強をし、独自のCAPDを活用した再生手法を開発しました。

このCAPD手法は、費用を掛けず、事業者自らが取組めて、実現性も高いという、中小事業者には効果的な経営改善手法だといえます。

この手法を手にしたことで、事業再生のコンサルタントの業務を開始したのです。

それにより、経営危機初期の事業再生から、経営危機終期の最終整理までといった経営危機の全般において、ご相談者の状況に合わせて段階的に取り組めるようになりました。

ご相談者がどんな状況であろうとも、経営危機を打開して最善の答えを導き出せるようになったというわけです。



事業再生とは、営業利益の確保が可能な事業者が、現経営形態のままで経営改善などを活用して、事業の再生を実現することになります。

最近、事業の譲渡などにより、経営形態を変更したものも事業再生と捉える方もおられますが、それはM&Aであり、事業再生とはいえないでしょう。

経営危機打開とは、経営が厳しく不安を抱いている事業者が、様々な取組により事業を守り、不安を払しょくして安定的な日常を取り戻すことになります。

営業利益の確保の可否や、経営形態などにはこだわらず、事業の活用などについて最善の落し処に導くのが経営危機打開コンサルタントということなのです。

M&Aや任意整理などの取り組みも経営危機打開になりますが、再生を目指した経営改善も事業再生も経営改善打開だといえます。

そうなると、事業再生は、経営危機打開の一部ということになるのですが、決定的な違いがあります。

それは、事業再生のお客様は事業体(会社)であり、経営危機打開のお客様はご相談に来られた経営者ということなのです。

事業再生は、事業体を再生させるのが目的でしょうが、経営危機打開はご相談に来られた経営者が安定的に生活を確保するのが目的になります。

経営危機打開においては、事業再生が失敗しても、まだまだ残っている様々な選択肢の中で、最善を目指して取組むことが可能になります。

経営者の生活を安定的に確保するために最善だと判断すれば、事業体の整理についても躊躇などしません。

ゼロゼロ融資の返済などに苦慮する中小事業者が増加する環境において、この経営危機打開という捉え方は、適合性が高いと思います。

大事なのは何か、その現実をしっかり理解し、取り組んでいただきたいと思います。



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