私が全く知らない世界のひとつに 〝骨董〟 があります。
以前、『開運 なんでも鑑定団』 を観ていたら、「おっ、これは高そう!」 と思った家宝(?)の評価額がたったの3,000円だったりして私は苦笑い、出品者の顔はみるみるまっ青・・・なんてこともたびたび。😅
まぁ、個人の所有物だったらまだ笑って済む場合もありますが、それが国の重要文化財だったらそうはいきません・・・が、残念ながら実際にそれが起きてしまったことが。 俗に
永仁の壺事件
と呼ばれる、重要文化財の偽物騒動が、それ。
戦時中の1943(昭和18)年に、「永仁二年」(※1294年) という銘を持つ壷(瓶子=へいし)が愛知県で出土したと地元新聞で紹介され、これを人間国宝の陶芸家・加藤唐九郎氏が鎌倉時代の作品であると解説。
1959(昭和34)年6月27日、文部省は陶芸研究家の文部技官・小山富士夫氏の強い推薦を受け、この〝永仁の壷〟 を鎌倉時代の古瀬戸の基準作品として、重要文化財に指定しました。
(ちなみに、加藤・小山両名は、日本陶磁協会の仲間内。)
ところが、その直後から地元では 「これは鎌倉時代ではなく、現代の作品ではないか?」 という疑念の声が上がり、新聞で取り上げられるなど騒ぎが大きくなったそうな。
そして指定から2年後、唐九郎氏の長男・嶺男氏と、そして唐九郎氏本人が、相次いで 「自分が作った」 と爆弾発言。
更に壷をX線等の科学分析にかけた結果、鎌倉時代のものでないことが判明。
それを受けて今からちょうど60年前の今日・1961(昭和36)年4月10日、〝永仁の壺〟の重要文化財指定取り消しが決定されたのです。 (※文化財保護委員会告示第25号)
そして唐九郎氏は同年に人間国宝の認定を解除され、小山氏も文部技官を辞任する羽目に。
で、ここからが私には理解できないんですが・・・その後、人間国宝でなくなった加藤唐九郎氏の評価は下がるどころか、逆に人気が上がったというのです。
加藤 唐九郎 氏
その理由は、「国を騙すほど腕が良い」 からだったとか。 😱
こういう話を聞くと、つくづく私のような素人は骨董・美術品に手を出しちゃダメだと思います。
他人様の泣き笑いを、テレビで観ている分に損はナシ・・・。