乳がん患者のサロン2 - ノエル編

乳がん患者の皆様、このサロンでのびのびと雑談しましょう。くつろぎの場です。

日本乳癌学会公開セミナー

2013年07月07日 | 患者の気持ち
第21回日本乳癌学会学術総会 乳癌公開セミナーに参加しました。

友達のエム子から、「最近、ブログの更新がないけど、どーしたの?」の心配メールをもらいました。更年期症状との戦いに疲れてしまい、ずっとだらだら過ごしています。

抗がん剤治療でいきなり更年期症状に突入して、はや7年。コンディションは泥沼化しております、、、と思ったら、エム子が過労でぶっ倒れたと知らせが( ̄□ ̄;)!! 彼女はフルマラソンにも出場するほどの、仲間内では一番元気な女性です。

なんだ、この疲労感は治療の後遺症のせいじゃないのね ( ̄▽ ̄)。乳癌になったからというより、単に加齢によるもの、誰もが通り抜ける関門よねっ(*´∇`*)。お仲間(?)の存在にちょっと気が楽になり、ちょっくら第21回日本乳癌学会学術総会(浜松市)の公開セミナーへ行ってみました。

司会に渡辺亨医師、あけぼの会会長ワット隆子さんが出て、さて始まるのかと思ったら、まずはパイプオルガンの演奏がありました。
乳癌セミナーになぜパイプオルガンの演奏??と、目をぱちくりしちゃったのですが、重厚な音色にすぐに馴染んでしまい、心が穏やかになれました。
そうだった、癌患者にはこういう癒しが必要です。知識の習得よりも心の浄化が先ですわよね。

         

この画像の長方形の中に小さな長方形が見えますか? その中央にかすかな黒点があるのですが、それが演奏者の頭です。天井のシャンデリアは、オペラ座の怪人が乗っかれるほどの大きなものです。手前のお客さんの頭と比べ、演奏位置がいかに高いかがわかると思います。こんな頂上で音を奏でたら、自分こそが神の声を代弁している気分になりそうです。こりゃあ私も弾いてみたいです。

さて、中山清吾先生もパネリストの一人だったのですが、、、おおっ! 1年前にお見かけした頃より断然、ス、スマートになられていましたっ!!昔のハンサムなお姿に戻ったようです。
当時は、先生もいよいよ中年太りかぁ、太るとハンサムも台無しねえ、ただのオッチャンじゃん(ヒソッ)と、非常にがっかりしたのであります。人間、やればできる、努力は人を裏切らないんですねえ。

セミナー自体は1時間半と短かったため、突っ込んだ話とはなりませんでした。が、最新情報をキャッチしました。特にHer2強陽性患者には朗報が入りました。
2年ほど前にこのブログでも紹介した“次世代ハーセプチン”と呼ばれるトラスツズマブ-DM1が今年中に承認されそうです。
この薬は、分子表的治療薬に抗がん剤を搭載したピンポイント抗がん剤です。

また、Her2とHer3を押さえるペルツズマブも承認が近いとのことです。

患者代表のワット隆子さんが、「これら新薬で生存期間が数ヶ月延びたと言われても、患者はたった数ヶ月かという気持ちになる」。

渡辺先生は、「新薬は既薬が効かない人から使う。(母数にはその人たちが多分に含まれていると私は理解しました)。劇的に効く人、全く効かない人も含まれている。術前・術後の補助療法使用は含まれていない。

1剤だと寿命は数ヶ月延びるに留まるが、2剤併用したりすると、2000年以降、寿命は1.5倍ぐらい延びているという印象を持つ。
また、ただ寿命が延びるのではなく、QOLも高まっている」。

中村先生は、「少し前までは、日本で未承認薬を、海外に行ったり海外から購入したりした患者がいた。最近の治験は欧米だけでなく、日本も同時期にスタートするようになった。ドラッグラグは少なくなった」。

皆様、ドラッグラグは解消されつつあるようですよ。


私が今回のセミナーで一番心に残ったのは、ワット隆子さんの言葉です。

「患者はある日突然、患者になる。賢くなれと言われても、その日から賢くはなれない。
だから愛とやさしさをお医者様に求めます」。


ある患者さんが抗がん剤治療で脱毛した時、これでがん細胞も消滅したと喜んだそうです。彼女の担当医が、脱毛と癌消滅は関連がないと言い放つのは、愛がないと。

私なら、抗がん剤は毛根細胞みたいな細胞分裂が盛んな細胞に効くのだから、がん細胞は分裂が早いんだから、効く可能性は高いんじゃないかしら。苦しくても途中で止めない方がいいよ、と言うでしょう。
関連がないのは私も知るところです。が、喜んでいる人に向かって、ばっさり切り捨てるのは、患者としてできそうにありません。苦しむ患者には、救いが必要なのです。

私の母は長年がんを患い、がん治療がどんなものかはわかっていました。が、自分のがんとなると、なかなか冷静でいられなくなります。
自分で手術する病院、日取りを決め、費用を工面しなくてはなりません。仕事を辞めて引っ越して、、、等等、家事や介護をしながらやることが山ほどあるし、治療に入ると、精神的にもかなり厳しくなるからです。

私の場合、ストレスがかかった中で、まず乳がんに関する書物を読み、最新情報をネットで得ようとしたのですが、、、医者だって色々な治療をするし、患者も同様です。情報が雑多で混乱します。
ある癌の掲示板など、「もっと勉強してから書き込め」とか、「あなたは病気を正しく理解できてない」とか、患者に対して強烈なレスが付いたりしていました。

これを患者目線で見ると例えて言えば、車に酔って気分が悪い時、地図を見せられ、駅から自宅までのルートを示してくれと言われるようなものです。

具合が悪いのに、細かな地図など見られますか?
がんばって見ようとすると、吐いちゃうんじゃないですか?

下車して一息つけば、冷静に地図を見られるようになるでしょう。
心ないレスを付けるのは、患者ではない人だからです。

手術がいかに不安なもので、治療がどんなに体にダメージを与えるものか。
ある日突然、精神的、肉体的、経済的にドカッと重い衣を纏ってしまう。それが患者です。

私も纏うものが重すぎて、その日から賢くははなれませんでした。掲示板では、治療や薬の知識より、愛がほしいと叫んでいました。ワットさんの言葉は、患者の本質をついています。

患者が賢くなりたいと思い始めるのは、治療が済み、体調も戻ってからです。つまり、一通り体験してやっと冷静になれる。自分の病気を見つめる気力が湧くのは、ずっと後です。

実際は治療する前に、たくさんの重い決断をしなくてはなりません。わからないから不安になります。他人に頼りたくなったり、手軽にネットで調べたりもするでしょう。それゆえ、上記のような強烈なレスがつくような質問をしたりもするでしょう。

患者のそういう行動の裏にある気持ちは、同じ体験をした患者が一番理解できそうです。が、患者だけでもないでしょう。
患者や家族、医療関係者など立場の違いで、理解は変わるとは言えないと思います。

患者を人としてどう捉えるか。彼女の実像に至るには、想像力が必要だと思います。

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なかのひと

This blog “The salon of breast cancer women authored by Noe:l” is able to read in Japanese:-)

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