イギリス/フランス 2020年
【原作・監督・脚本】フロリアン・ゼレール
【脚本】クリストファー・ハンプトン
【出演】アンソニー・ホプキンス、オリビア・コールマン、マーク・ゲイティス、イモージェン・プーツ、ルーファス・シーウェル、オリビア・ウィリアムズ、アイーシャ・ダルカール
【あらすじ】
ロンドンで独りで暮らす81歳のアンソニー(アンソニー・ホプキンス)は、少しずつ記憶が曖昧になってきていたが、娘のアン(オリヴィア・コールマン)が頼んだ介護人を断る。そんな折、アンが新しい恋人とパリで暮らすと言い出して彼はぼう然とする。だがさらに、アンと結婚して10年になるという見知らぬ男がアンソニーの自宅に突然現れたことで、彼の混乱は深まる。(Yahoo! 映画より)
まず、アンソニー様を観たくてチョイス
二度目のオスカー受賞(本人は受賞できると思っていなかったと授賞式に参加していなかった時のです笑)も納得の演技は、ただただ圧巻!
作品の感想、上手く書けないです
亡くなった父を思い出して…
父は認知症ではなく癌だったので、最後…脳梗塞で意識不明になるまで、家族のことはきちんと認識できましたが、もし私たちのことを忘れてしまっていたらと考えると辛いです。
アンの気持ちが痛いほどわかります。
最後までお世話してあげたい、1人にはできないから自分の家に連れてきたけれど、自分の生活や心も守らないといけないから施設に…
作品はアンソニーの目線で描かれていて、時系列や登場人物がゴチャっとしてます。
ん?じゃあ、この人はいったい誰?というような感じで、観ているこちらも混乱してしまいます。
そして、最後に全てが分かるのですが…。
ああ、それはもう切なくて、でも現実的にあるよねきっと…と重い気持ちになりました。
観終わってしばらく思い出しては胸が痛くなり、でもアンソニーはそれすら覚えていないんじゃないかな?とかすかな希望を持ってみたり。(その希望が子供側の手前勝手な考えなのだけど)
観終わって時間が経つほど、どんどん考えちゃって感想書くのに時間がかかりました。
それにしても…Sirアンソニー
もう、ため息しか出ません。
もともと舞台作品だったという本作。
監督は原作者で映画はアンソニー・ホプキンスで当て書きをしたそうですが、泣いたり笑ったり、踊ったり、不安げな表情や無邪気な表情や…クルクル変わる状況と、その時の表情が見事です。
84歳の彼からすると、ある意味等身大の役なのでしょうがとにかくすごい!私ごときが言うのも申し訳ないけれど『素晴らしい‼️』としか言えません。
そして、この作品の素晴らしさも。
1人取り残され自分が何者かわからなくなっていく不安に押し潰され「全ての葉を失っていくようだ…」という台詞にハッとしてしまいます。
施設で1人で過ごす寂しさや不安は病気のせいで忘れてしまうでしょう。でも、自分が何者かわからなくなる不安。それを認識した瞬間から本当に忘れてしまうまでの不安を想像すると…胸が締め付けられます。
「子供叱るな来た道じゃ、
年寄り笑うな行く道じゃ」
ふと思い出してしまいました。