国鉄があった時代blog版 鉄道ジャーナリスト加藤好啓

 国鉄当時を知る方に是非思い出話など教えていただければと思っています。
 国会審議議事録を掲載中です。

踏切事故防止対策の答申について 国有鉄道昭和31年9月号の記事から

2023-01-30 21:53:24 | その他雑談

古い国有鉄道という雑誌を参照していると、以下のような記事がありましたので、内容を要約してお話をしてみたいと思います。

昭和31年国有鉄道という雑誌の記事で、「踏切事故防止対策の答申について」という記述がありましたので、これをご覧いただこうと思います。

記事によると、安全委員会という、国鉄桜木町事故に鑑み設置された委員会で、総裁から「鉄道の踏切事故を徹底的に防止するにはいかなる措置を講ずべきか」について意見を求められたことから、その答申を行ったという内容なのですが。

当時は、現在と比べると踏切での事故が多く、また警報器なども十分に整備されていない踏切も多かったことから、悲惨な事故が多発していました。

記事を見ますと、昭和26年から昭和31年の5年の間に3回に分けて答申が繰り返されていたようです。

1回目は 昭和26年9月12日 安全委員会から運輸総局長宛行った勧告で以下の内容でした。

  1. 踏切設備基準及び踏切に関する規程類を整備すること
  2. 第3種踏切の大幅増設により保安度の向上を図ること
  3. 要注意踏切における施設の改善を図ること
  4. 踏切の立体交差化を推進すること

中部運輸局踏切道の種類から引用

 注:第3種踏切とは、警報器はあるものの遮断器がない踏切です。「踏切の立体交差化を推進すること」とありますが、当時の立体交差は鉄道事業者の負担とされていました。

中部運輸局踏切道の種類から引用

2回目は、日付が明記されていないのですが、昭和27年1月25日に別の内容と共に以下の答申を行ったと記述されています。

尚2回目の答申は下記の内容で答申がなされました。

  1. 第三種踏切設備の増設を可及的速かに促進すること。
  2. 第一種踏切を整理する場合には、次の諸点を考慮すること。

① 個々の踏切についての実情を調査し、過去における事故発生状況その他の特殊事情を十分考慮すること
② 第一種踏切廃止数の範囲内で第三種叉は第四種踏切で第一種踏切設置基準に該当するカ所を優先的に格上げするよう措置すること。
③ 第一種踏切を廃止する場合は、同時に踏切番その他見通し支障物件の撤去を行うこと

と言う答申がなされています。

ここでも、第3種を増やすことを提言していますが、当時の第4種踏切が多かったことが窺えます。

第4種踏切、警報器も遮断器もない。歩行者は線路をよく確認して、列車が居ないことを確認して渡るようにする。

中部運輸局踏切道の種類から引用

ここで用語の一部訂正を行わせていただきます。

現在の基準では、

1種踏切=警報器・遮断器が動作する踏切を指す。

2種踏切=時間帯によっては無人となる踏切

3種踏切=警報器はあるが、遮断器がない踏切

4種踏切=警報器も遮断器もない踏切

ですが、昭和31年頃では、常に踏切警手が常駐する踏切が1種踏切であり、現在の1種踏切と言えるのは自動門ドア踏切として区分されているようです。

第1種 昼夜警手が勤務して遮断器を扱っている踏切と明記

更に答申では、国鉄の前照灯のあり方についても提案したと書かれていますが、元々鉄道におけるヘッドライトは、前部標識灯と呼ばれていて、危険物を事前に確認するための装置ではなく、列車の高速化に伴い、踏切における事故も増加する傾向にありました。

当時の機関車などのヘッドライトの照明は僅かに100Wであり昭和29年以降、電車・電気機関車で150Wに変更、昭和31年からは蒸気機関車の320両を250Wに取替と言うことで、当時のヘッドライトがいかに暗かったのかを如実に語っています。

蒸気機関車の前照灯が一回り大きいLP402に変更されていますが、これを見ると昭和31年から行われたことが判りますが。それでも電車などは150wとまだまだ小さかったことには驚かされます。

こうした答申を受けて、国鉄本社内でも踏切の安全確保のため新しい第2種踏切が登場したとありますが、これがどのようなものなのか、ちょっと不明なのですが。この辺は今後もう少し調べてみる必要がありそうです。

以下は、当該部分を書き出したものです。

第一種踏切の保安度改善を目指して新しく踏切警示機が考案されたが、その後この警示機は、踏切の保安度向上経営合理化の両目的に沿うことがわかり、これによって新しい構想の第二種踏切が再び登場することになった。

と有るように、国鉄の踏切に対しては、国鉄だけではではありますが、国鉄としての取組という部分を書き出してみました。

今後もう少しいろいろと調べていければと考えています。

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