H714 社会人104 | 【ラブストーリー】はお好き?

【ラブストーリー】はお好き?

小説です。お楽しみいただけたら、幸いです。



アメリカ人のキャストや、スタッフとも、お別れ、皆、次の仕事が待っているので、のんびりとしている時間はない。
それでも、翌日は、皆で集まり、ランチ。
その後ハーマンオリバー氏のお墓に参って、無事に最期の公演を終えた事を報告する事が出来た。
「また、ニューヨークに来たら、連絡して!」
「もし日本に来る事があったら、連絡待ってる。」
などとそれぞれが、皆と別れを惜しんだ、

さあ、新たな、俳優生活の始まり。
また、いつか、このブロードウェイの舞台に戻れるだろうか。
いや、もう、充分堪能した。
自分の夢は、しっかりと叶えた。
これからは、子供達のバックアップもして行かねば。
母がそうしてくれた様に。
今迄、走って、走って、走って、生きて来た。
皆の力を借りて。
母、父、兄達、そして圭介。
友人達、学校の演劇部の皆、松本流星、富野岳、ハーマンオリバー、松本塾の先輩方。
次から次へと頭に浮かぶ全ての人達は、何にも変えがたい、恩師達、いつか、少しでも恩返しがしたい。

ああ、でも、やっぱり、これからは、少しのんびりと、しっかり、家族と過ごしながら、仕事が出来る様にして、圭介と旅行にも行きたい。
そう、コンサートや、演劇のツアーの旅行ではなく、のんびりと、観光旅行。
うん、行きたい。
絶対に行こう。

ここは、空港。
圭介は、微笑んで、瑠璃に手を差し伸べた。
瑠璃は、圭介の手に自分の手を重ね、そんな事を思いながら、日本に帰る飛行機に、乗りこんだ。

ーーーーーー   完   ーーーーーー