なごやんのBCL史(54)世界平和のために | なごやん

なごやんのBCL史(54)世界平和のために

 今回は「その他」の順番で、放送局自体は米国にあるものの、どの国にも属していない、否、加盟国全てに属するとも言える連合国(UN)*の放送局です。

 *連合国:日本では「国際連合」、「国連」と呼ばれています。しかし、英語のUnited Nations に「国際」と言う意味合いは一切ありません。フランス語、スペイン語、ロシア語でも同様で、中国語ではそのまま「联合国」です。そもそも第二次世界大戦戦勝国が、それまでの「連合国(United Nations)」をそのままスライドしたのですから。


 私のブログでは無理に和訳せずUN とします。


【UNのこと】

 そのUNは国際平和・安全の維持、国家間の友好の発展、経済・社会・文化・人道的な国際問題の解決等を目的として(その意味ではinternational organisation ですが)、1945年10月24日に発足しました。本部は米国のニューヨークにあります。


 UNの公用語は英語、フランス語、スペイン語、ロシア語、中国語の5言語でしたが、1973年にアラビア語が加えられ、今は6言語です。


 尚、UN公用語の英語は英国の英語(Queen's English)であり、断じて米語ではありません。

 ちなみに、国際短波連盟(I SWL)の英語も米語ではなく、本家の英語です。

 ⇒こういうことにこだわるのが私らしいところです。(どうでもいいことかもしれませんが、実はどうでもいいこではありません。)

 

 ただし、米国内で発行されているUNの郵便物に押される消印の日付は米国式の書き方です。

UN切手の初日カバー(軍縮)

 切手にある「beat swords into ploughshares(軍を民に転換する)」の ploughshares は米語ではplowshares になります。一方、消印の日付の書き方は米国式です。(英国では 24 OCT )


 そのUN に日本が加入できたのは1956年のことです。


 UN はこれまで世界平和に一定の役割を演じてきたとは思うのですが、ロシア、中国、英国、フランス、米国の5か国を旧来通り強力な常任理事国にとどめ置いていることもあって、それらの国々の利権が絡む時などは重要事項を決定できず迷走することもしばしばあるのは日常経験しています。


 さりとて、日本が常任理事国に加われば解決するという話でもないでしょうが。


【連合国(UN)放送】

 そのUN にも放送局があり、英語では「United Nations Radio」と呼ばれています。


 日本語放送があった時代もあるようですが、私はその時代には出くわしてなく、アジア向けの英語放送をほぼ毎日聴いていました。

 タガログ語、タイ語、中国語、インドネシア語と続く中での英語放送です。


 私が聴いていた放送は米国のVOAの送信機を使って発信されていたようで、ログを振り返ると、下図最下段の「S/off with Yankee Doodle(ヤンキー・ドゥードゥルで放送終了)」にそれが現れています。ヤンキー・ドゥードゥルはVOAのインターバルシグナルのひとつですから。

多言語によるUNアジア向け放送ログ


 UN放送も受信報告に対しては受信証を送ってくれました。

UN放送の受信証(日付の表記は英国式)


 私が聴いていた時代、中国を代表する国は中華民国(台湾)でしたから、中国語の漢字は繁体文字でした。また、この時代、アラビア語はまだUN公用語ではありませんでした。


 UN放送は受信報告に対して、受信証だけでなく様々なUN 資料を送ってくれました。当時、第三世界をリードする国のひとつとして頑張っていたインドのネルー首相のUN 総会における演説内容や軍縮に関する各国首脳の意見などは、私の好奇心を満たしてくれました。


 それらの資料の多くを紛失してしまい、今はこの封筒と、その中に入っていた番組表しか残っていません。

UNのポストマーク(日付の表記は米国式)


 番組表は、ヨーロッパ、アフリカ、米大陸向けのもので、それだけでも結構多くの時間放送されています。

番組表(日付の表記は英国式)


 総会や安全保障理事会が開かれている時には番組が強化され、それはそれで聴きごたえがありました。


 とにかく多くの資料を送ってくれたので、それらを読みながら、「大学入試の英語でこれが題材に採用されるといいなぁ。」なんて勝手な空想をしていたことを思い出します。


 UN 放送は最も多い時で33言語で放送していましたが、1980年代以降は縮小されています。


 現在はインターネットのホームページが充実していて、ロシア語、中国語、アラビア語、英語、フランス語、スペイン語の公用6言語に加え、ウルドゥー語、スワヒリ語、ヒンディー語、ベンガル語、ポルトガル語で書かれていますし、それらの言語でネットラジオを聴くことができます。


 ドイツ語、イタリア語、日本語が入っていないのは、UN 憲章にいわゆる「敵国条項」が残っているためでしょうか?(敵国:イタリア、ドイツ、日本、ハンガリー、フィンランド、ブルガリア、ルーマニア)


 次回はアフリカの予定ですが、その前に「番外」を入れるかもしれません。


BCL史の過去記事はインデックスページをご覧ください。


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