Full Bloom(7) | My sweet home ~恋のカタチ。

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せつなくてあったかい。
そんなラブストーリーがいっぱいの小説書いてます(^^)

「顔を、上げて下さい。」

 

神崎が優しく声をかけた。

 

それでも

 

「・・すみません、」

 

柚は小さな声でうつむいて謝るだけだった。

 

「どうして謝るの? あたしさあ・・ホントに嬉しいんだよ、」

 

まひるはもう胸がいっぱいだった。

 

「・・すみません、」

 

柚はそれを繰り返した。

 

冴子が彼女に近づいてそっと手を取った。

 

「ありがとう。 ナルのこと。 好きになってくれて。 ありがとう。 本当に・・嬉しいのよ。」

 

「・・でも。 私は、」

 

「何も言わないで。 誰だってねえ。 多かれ少なかれいろんな問題を抱えてる。 ナルは。 あの通りの子だから。 ふざけているように見えてもちゃんと考えてる。 どうしたらいいか、なんて。 あたし一度もあの子に相談されたことない。 柚さんのことだって・・もう決めてた。 どうしたらいいかなんて。 一言も言わなかった。 2人とももう立派な大人だもん。 あたしたちがどうこう言うことじゃないわよ、」

 

そっと彼女の腕に手をやった。

 

「急だけれど。 今日・・お父さんとお母さんにお会いできるかな。 きっと片桐さんは・・今とても不安な気持ちでいっぱいだと思う。 とてもお世話になったのに、こんな思いをさせてしまって本当に申し訳なくて、」

 

神崎も一歩前に出た。

 

柚はそっと顔を上げた。

 

「・・いいんですか、」

 

もう口を開いたら涙がこぼれてしまいそうで。

 

「もちろんだよ。 ナルの気持ちは。 本物だったよ。 あいつは自分の決めたことは・・親にどんなに反対されたって貫く。 まあまあって言いながら絶対に曲げない。 そうやって37年間生きてきた。」

 

柚はやっぱり泣いてしまった。

 

「・・ナルさんほどの方ならば。 もっともっと・・いい条件の方がお嫁さんになってくれて当然なのに、 私が・・」

 

言葉が続けられなかった。

 

「そんな条件なんかないよ。 一番好きな人と一緒になることが・・ナルの結婚の条件なんだよ、」

 

まひるも嬉しそうに彼女の手を取った。

 

「まーちゃん、」

 

柚は子供のように泣いてしまった。

 

「もーーー、泣かないでよ~~」

 

彼女を抱きかかえるように背中をよしよししてやった。

 

「お父さんとお母さんに。 わかってもらいましょう。 きちんと・・気持ちを伝えて、」

 

冴子は優しく声をかけた。

 

 

さっきから成は時計ばかりが気になっていた。

 

「まあ。 3次は通ると仮定して。 このメンバーだったら絶対に入れる。 去年大失敗したコンチェルトも早めに作戦練っておいたほうがいいな・・」

 

さくらが帰った後、また志藤がやってきて奏のコンクールの話になってしまった。

 

志藤にも取締役としての仕事があるわけで、こういう時間になっても仕方がないと思いつつ。

 

 

今日は

 

ちゃんと時間に行かないと・・

 

 

なにしろ柚の家に彼女と結婚したいという熱い思いを両親に訴えねばならない・・

 

神崎家の人々は柚を喜んで迎えようとしています。 そして。 彼女の家に許しを貰いに行くという重要な日なのに、またも・・

 

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