Full Bloom(8) | My sweet home ~恋のカタチ。

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せつなくてあったかい。
そんなラブストーリーがいっぱいの小説書いてます(^^)

「奏くんはチャイコよりも。 ベートーベンみたいにダイレクトに熱量が伝わる楽曲の方があってるんじゃないですか、」

 

成は資料を見ながら言った。

 

「それはおれも思った。 ロシアの雰囲気もいいんだけど・・。 奏は表現の面でまだ課題が多くて確かにベートーベンの方が明確だよな・・」

 

志藤はうーんと考えた。

 

「『獲らせる』手段も大事じゃないですか。 理想はあると思うんですけど、」

 

「・・うん、」

 

志藤は成の提案に静かに頷いた。

 

そしてまた成は時計を見た。

 

午後7時。

 

柚の家に両親とともに訪れる約束をしたのが7時半。

 

非常にギリギリだった。

 

「いやそれも考えようでさあ、」

 

志藤は一度しゃべり始めると本当に止まらない。

 

 

実は今日

 

彼女の家に結婚の許しを得にいくことになってるんですよ

 

と、非常に切り出しずらかった。

 

 

 

 

 

「この度は。 大変・・驚かせてしまって。」

 

先に成の両親は片桐家に到着していた。

 

柚の父は仏頂面のままだった。

 

「夕べ、息子とは話し合いました。 ぼくも最初は簡単に事を進めようとする息子を諫めましたが。 本気のようです。 先日は片桐さんの怒りを買ってしまったようで。 本当に失礼を、」

 

成の父は申し訳なさそうに頭を下げた。

 

「もともとは。 ぼくが・・柚さんを勝手に見初めて、勝手に息子に、と考えたことから端を発しています。 片桐さんの思いも・・考えずに、」

 

「それは。 ご存じなかったことですから。」

 

柚の母が庇ってくれた。

 

 

 

 

 

 

そしてたまらず。

 

「あの、」

 

志藤の話の途中で成は思い切って切り込んだ。

 

「なに?」

 

話の腰を折られてムッとする志藤に

 

「すみません・・ ちょっと・・これから・・用事が、」

 

おそるおそる言うと

 

「あ? 用事?」

 

もう顔が怖い。

 

「大事なお話ってことは・・重々承知しています。 志藤さんも忙しいのに時間を割いていただいてることも・・わかってます。 しかし! 今日は・・どうしても・・」

 

「仕事より大事って。 親の葬式か、」

 

「や・・死んではいないんですけど・・。」

 

「女待たせてるとか?」

 

ギクっとした。

 

「・・待たせては、いませんが。 いや、待たせてるのかもしれないですけど・・ 実は・・結婚を相手の親にめっちゃ反対されてまして、」

 

流れでポロっとこぼした。

 

「は?」

 

「ウチの親までつぎ込んで・・なんとか了解を得るってことになってまして・・」

 

志藤は成をじーっと見た後

 

「反対されてんの?」

 

「ハア、」

 

するといきなり

 

「はよ行け。なんでもっと早く言わない!」

 

怒られた。

 

「え! あ・・、す、すみません!」

 

なぜか謝ってバタバタと支度をした。

 

志藤も急いで帰り支度をした。

 

志藤に思い切って早く帰りたい理由を話すと意外にも・・?

 

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