Full Bloom(11) | My sweet home ~恋のカタチ。

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せつなくてあったかい。
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柚の父はテーブルの上に乗せた拳にギュッと力を入れた。

 

「ふざけるな!」

 

そして思いっきり成を怒鳴りつけた。

 

「そんなんで。 よく結婚の話をしに来れたな!」

 

「ナル! 早く謝りなさい、」

 

成の父は慌てた。

 

しかし

 

「幸せにできるかどうか。 わからないですけど! 彼女の苦しみや悩みを半分にできる自信はあります!」

 

成は目をそらさずに言った。

 

「これからも彼女は病気の影におびえて生きていくことになるでしょう。 でも。 その苦しみを一緒に負う覚悟はあります。 そして。 おれと一緒にいる限り彼女に笑顔をあげることはできます。」

 

挑戦的に言う息子に

 

「ナル、いい加減にしなさい!」

 

父は叱った。

 

しかし

 

「片桐さんがお嬢さんを思う気持ちは。 とてもよくわかります。 でも。 ナルも・・私たちにとって大事な息子です。 どこに出しても恥ずかしくない息子だと思っています、」

 

思いもよらぬ母・冴子の援護射撃が。

 

「・・お母さん、」

 

成が驚いた。

 

「私が産んだ子ではありませんが。 ナルは。 私たちの希望の光でした。 親の勧めの縁談で、正直私も本当にこの人とうまくやって行けるのか不安が大きく、11歳の男の子の母親にいきなりなれるのかと心配ばかりでした。 でも! 一緒に暮らし始めたその日からナルは私を『お母さん』と呼んでくれました。 ナルを通して主人の人となりを理解できるようになって・・ここまでやってこれました。 親の欲目と思われるでしょうが、本当にとてもいい息子なんです。 そのナルが決心したことならば、私は応援したい。 きっと柚さんを幸せにしてあげられると思います。」

 

もう土下座状態で必死に訴える母に成はやや呆然とした。

 

「片桐さんご家族も大変な思いをされたでしょうが。 2人が・・決めたことを。 どうか信じてあげてくれませんか。 この通り、少しおしゃべりで調子がいいところはありますが・・本当に頼りになる息子です。 私の・・自慢の息子です!」

 

柚の父は頭を下げる冴子の横で心配そうにそれを見やる成を見た。

 

 

母親の葬儀で

 

チョロチョロと走り回って、焼香の時には祖母に抱かれてスヤスヤと眠っていたあの小さな男の子。

 

その姿が弔問客の涙を誘った。

 

 

その子と今ここにいる男が同一人物なのだとつくづく思った。

 

不思議な気持ちになった。

 

 

ぼんやりとしていると

 

「・・お父さん。 私・・何度も何度もナルさんからの交際の申し込みをお断りしたの。 でも。 そう思えば思うほど、できなくて。 どんどん・・好きになって。 ひょっとして、また傷つくことになるかもしれないって何度も思った。 だけど・・傷ついてもいいって、そう思えるくらいナルさんという人を好きになって。 お父さんやお母さんに本当に心配を掛けたけど。 私・・もう大人だから。 傷ついても、大丈夫よ。」

 

柚が言葉を詰まらせながら父に静かに言った。

 

父はそっと柚を見やった。

 

母・冴子は息子への思いを柚の父にぶつけます。そして柚の『傷ついても大丈夫』という言葉が父の心を・・?

 

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