Full Bloom(13) | My sweet home ~恋のカタチ。

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せつなくてあったかい。
そんなラブストーリーがいっぱいの小説書いてます(^^)

「そんな娘に。 とにかく生きて欲しいと懇願しました。 私が一生娘を守る。 私が死ぬときに・・娘も一緒に連れていく・・そんな気持ちさえわいてきて。」

 

当時のことを話す柚の父はどこを見ているのかわからないような表情で。

 

「もう娘を傷つけられてたまるか、とそんな気持ちでした。 どんな男が近寄ってきても・・全力で反対する、と。決めました。 ・・まさか。 涼成の息子が。 」

 

そう言った後言葉が途切れた。

 

「・・亡くなったお母さんの葬儀にいた2歳のきみのことを昨日のように覚えているよ。 それから涼成は大変な思いをしてきみを育てて。 そして・・新しい家族と廻りあえて・・とても幸せに過ごしてきたと思ってる。 涼成はとても努力家で思いやりのある男だ。 彼を初めて見た時に。 すぐにわかった。 おまえの息子だって。 とてもよく似ていたから。」

 

そして、成の父を見やった。

 

「え、」

 

「若いころの。 おまえにとても似ていた。 ・・動揺した。」

 

「片桐さん、」

 

柚の父はそっと指で目の端をぬぐってから

 

「・・娘を。 よろしくお願いします。 ・・・私の、かわりに・・」

 

成に頭を下げた。

 

「お父さん、」

 

柚はまた目を潤ませた。

 

「・・私や、家内では。 柚を・・本当に幸せにして、見守ってやることはできません。 どうか、」

 

父の気持ちが痛いほど伝わる。

 

成も座布団から降りて

 

「・・がんばります、」

 

と深く頭を下げた。

 

成の両親も一緒に頭を下げた。

 

そして顔を上げた柚の父が

 

「そこは。 絶対に幸せにします、と言ってくれ。」

 

と成に真顔で言った。

 

「え? あ! ええっと。 精一杯、頑張らせて頂きます!」

 

『絶対』を『絶対』に口にしない成に柚の父は少し呆れながらふと笑ってしまった。

 

「柚に笑顔を・・くれて。 ありがとう。 柚がこんなに笑っている所を見るのは・・本当に久しぶりだったよ、」

 

「言ったでしょう? ぼくは。 彼女をいつでも笑顔にさせる自信はあります、」

 

屈託のない笑顔で言う成に

 

「なんでおまえはそうやってエラそうなんだ、」

 

成の父が笑いながら叱った。

 

「仕事でも『笑いながら失礼なこと言うね』っていつも言われる、」

 

「威張るな、もー」

 

母にも小突かれた。

 

泣いたり

 

笑ったり。

 

それでもみんなの二人の幸せに向かう気持ちがひとつになった。

 

 

そのあとは。

 

柚の母親が用意してくれていた食事をみんなで獲った。

 

「美味し~。 もうほんっと今日昼めしもあんまり食えなかったから・・腹減って、」

 

成はいつものように元気に食べ始めた。

 

「行儀わる・・」

 

冴子は呆れた。

 

「ホント、よく食べてくれて嬉しいわ。」

 

柚の母はとても喜んだ。

 

「ナルさんはとっても食いしん坊なのよ、」

 

柚も嬉しそうにその光景を見た。

 

娘の笑顔が父を動かしました。そして。 2人の結婚が認められて・・

 

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