Full Bloom(14) | My sweet home ~恋のカタチ。

My sweet home ~恋のカタチ。

せつなくてあったかい。
そんなラブストーリーがいっぱいの小説書いてます(^^)

「まあ、飲みなさい。」

 

成は柚の父から日本酒を勧められて

 

「・・ありがとうございます、」

 

と、酌を受けた。

 

前半戦のあの不穏な空気が一掃されたような明るい食卓の場になった。

 

成は勧められるがままに酒を飲んでいたが、頭がボーっとしてきた。

 

 

あー

 

よかったなあ。

 

志藤さんが1万円握らせてタクシー乗っけてくれたおかげで。

 

あれ以上遅刻したらシャレにならないことになってたかもなあ。

 

 

エネルギーチャージしてるみたい

 

 

さくらの話を思い出していた。

 

めちゃくちゃ濃縮した燃料チャージしてたからなあ。

 

何とかこの結婚を許してもらいたくて。

 

 

なんか。

 

めちゃくちゃエネルギー使った・・

 

・・切れそう・・

 

 

「ナル?」

 

お猪口を手にしたまま固まっている成を見て母が顔を覗き込んだ。

 

すると、そのままの恰好でパタっと横に倒れてしまった。

 

「ナルさん??」

 

柚は驚いて駆け寄った。

 

「どうした! ナル!」

 

父も驚いて身体をゆすった。

 

「もう、お父さんがお酒をあんなに勧めるから、」

 

柚の母も焦った。

 

しかし。

 

「・・寝てる、」

 

成の母がその顔を見てボソっと言った。

 

やや笑みを湛えて、すうすうと寝息を立てて寝てしまっていた。

 

「・・子供じゃないんだから・・飯食いながら寝るって、しかも・・結婚の許しをもらいに来た相手の家で!」

 

父は呆れた。

 

「だいじょうぶか?」

 

柚の父も心配そうに言った。

 

「普通に、寝てます・・」

 

成の母は大真面目に答えた。

 

 

 

 

『ナル、お嫁さんもらうの?』

 

『うん。 ようやく結婚しようって気持ちになれたよ。』

 

『よかったねえ。 大事にするのよ。 みんなに感謝して。 ねえ、今度。 お嫁さんと一緒にこっちに遊びに来て。』

 

『うん、わかった、行く・・』

 

 

 

そこでバチっと目が覚めた。

 

死んだ母が夢に出てきた。

 

もちろん彼女の声も知らないし、動いている姿も知らない。

 

それが普通に出てくるという夢の理不尽な不思議さ。

 

っていうか! 

 

行っちゃだめじゃん! おれ!

 

あっぶねーーー

 

ガバっと起き上がった。

 

「え・・・」

 

ここ、どこ?

 

見知らぬ部屋。

 

薄暗くてよくわからない。

 

ふっと横を見ると、柚が壁に寄り掛かって眠っていた。

 

「・・ゆーちゃん・・?」

 

記憶がジワジワと蘇ってきた。

 

ここ・・

 

一生懸命巻き戻した。

 

「・・ナルさん?」

 

柚が目を覚ました。

 

「ゆーちゃん・・? おれ・・」

 

柚は立ち上がって部屋の電気をつけた。

 

「よかった。 食事中にいきなりパタって寝ちゃうからびっくりして、」

 

「食事中・・?」

 

なんだか記憶もおぼろげだった。

 

「けっこう食べてましたよ、」

 

「おかず、なんだった?」

 

「ええっと。 ミートローフと・・サーモンのサラダと、ベーコンのキッシュとか・・」

 

「え~~? おれ食ったんだ・・ わー、全然覚えてねえ・・」

 

自分が怖い。

 

そんな成に柚はまたクスクスと笑ってしまった。

 

大仕事を終えてなんと成は食事中にエネルギーが切れて眠りこけてしまいました・・

 

にほんブログ村 小説ブログ 恋愛小説(純愛)へ
にほんブログ村

 


人気ブログランキング

 

↑↑↑↑↑

読んでいただいてありがとうございました。よろしかったらポチお願いします!

 

 

 

 

 

  で過去のお話を再掲しております。こちらもよろしくお願いします。