Departure(20) | My sweet home ~恋のカタチ。

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せつなくてあったかい。
そんなラブストーリーがいっぱいの小説書いてます(^^)

奏はスッと座布団から降りて

 

「・・ありがとうございました、」

 

畳みに額が着くくらい深く頭を垂れた。

 

志藤はそんな彼にふっと笑った。

 

「悪いけど。 まだおれら。 終わってへんから、」

 

「え、」

 

慌てて顔を上げた。

 

「たぶん・・ ずっと。 終わらない。 礼を言われるの。 全然早いから。」

 

「志藤さん、」

 

「色んな意味で。 あー、腹減った。 おまえらなかなか帰ってけえへんから、」

 

はぐらかすように志藤は立ち上がった。

 

 

 

「じゃあ。 しっかりね。 淋しくなったらいつでも電話するんだよ、」

 

さくらは奏のジャケットの襟元を直してやった。

 

「こっちに戻ってきたら。 遊びに来てください、」

 

一楓を抱っこした葦切も笑顔だった。

 

 

奏の出発の朝。

 

北都邸の前に集まってみんなで見送った。

 

 

「はい、」

 

すると。

 

「・・奏・・。 ハグしていい?」

 

南はもう泣いていた。

 

「え、」

 

戸惑っているうちに南は奏に抱きついた。

 

「・・身体。 気をつけてね。 ご飯、ちゃんと食べるんだよ? ほんまに奏はナイーブやから・・ つらくなったらね、いつでも帰って来てええんやで?」

 

そんな風に泣かれて困ってしまった。

 

「そんなこと言っちゃダメじゃないか、」

 

真太郎は笑ってやんわりと南を引き離した。

 

「・・ありがとうございます。 ショパンコンクールに出られるように。精進します。 頑張ります。 南さんも、社長も。 先生も・・葦切さんも。 本当にありがとうございました。」

 

奏はぺこりと頭を下げた。

 

さらに南はハンカチを顔に当ててさらに号泣状態だった。

 

「もー、南ちゃん・・」

 

さくらは彼女の背中に手をやった。

 

「奏の・・旅立ちだもんな・・。 泣いてたら、アカンな・・」

 

そう言いながらも涙が止まらない。

 

「志藤さん、来なかったですね、」

 

葦切がキョロキョロとした。

 

「この前、お宅にお邪魔して夕飯もごちそうになったので。」

 

「じゃあ、そろそろ・・」

 

一緒に来ていた設楽が時計を見た。

 

「啓輔さん、頼みましたよ!ちゃんと送り届けてよ、」

 

さくらがはっぱをかけるように言った。

 

「わかってますって。 本当に色々ありがとうございました、」

 

そう言って4人に頭を下げた。

 

「・・お父さんぽいね、」

 

さくらの一言に

 

「余計なこと、言わない。」

 

ちょっと不機嫌そうに言ったのでみんな笑った。

 

「じゃあ、」

 

奏は小さく手を振ってタクシーに向かった。

 

走りだした車をみんなでいつまでも穏やかに見送った。

 

秋の陽の光がやさしく。

 

穏やかな旅立ちだった。

 


みんなに見送られて奏は旅立ちます。

 

今日で今回のお話は終了です。

 

奏はウィーンでどうなるのか?

 

などなど今後書くことがあるか・・・ないか・・

 

今のところわかりませんが。

 

どうぞ見守ってやってください(^.^)

 

 

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