志藤はゆうこの視線に合わせるようにしゃがんだ。
「もうおれも秘書課を出てしまったし。ゆうこの仕事のフォローはできない。でも、子供持とうって決めたんやから。 おれができることは協力する。ゆうこの身体がしんどい時は。 『休め』しか言えへんねん。 おれの飯やらなにやらのことなんかどうでもいい。 ひなたのこともお義母さんに来てもらってお願いするしかない。秘書課の課長や他のみんなや・・社長にもおれが頭を下げて済むことならいくらでも下げる。でもゆうこの責任感だとかみんなに申し訳ないって気持ちだけは・・変わってやれへんねん。」
そして彼女の頭をくしゃっと撫でた。
ゆうこはぐすんと泣き始めてしまった。
「・・二人目だから・・ もっと頑張れると思ってた。 無理しないで・・やっていかれるって。 思ってた、」
「ひなたの時もつわりが酷くて脱水症状で入院したりしたやん。 またあんなになってしまったら・・余計に会社に迷惑をかける。 今度はそうなる前に無理をしないことやないか?」
そんなことをしている間も、またゆうこは吐き気がしてきて慌ててトイレに駆け込んだ。
志藤はふうっとひとつため息をついて携帯を取り出し電話を始めた。
結局、この日は休むことになり、ひなたの世話も母に来てもらうことになった。
「つわりに薬はないからね・・」
母も寝込む娘を見てやるせなくなる。
ゆうこはひたすらベッドで丸くなって寝込んでしまった。
「ご迷惑をおかけして。 申し訳ありません、」
志藤は秘書課の課長に頭を下げた。
「いや。 いいんだけどね。 もし何かあったりしたら。 それこそ大変だから。」
秘書課の課長は穏やかな人で、休みがちになったゆうこを責めることはなかった。
「・・社長には誰がつかれてるんですか、」
コソっと聞くと、
「ぼくか・・あとは・・松木専務つきの鏑木さんか。 あとは・・みんなで融通しあって・・」
うーんと天井を見ながら言われた。
「ほんと。 すみません。 おれが変われるものなら代わってやりたいんですが、」
「仕事の方? つわりの方?」
と笑われて
「・・つわりを代わらないといけないのかも・・ですけど、」
バツが悪そうに言った。
そのあと社長室に行くと社長が執務中だった。
「すみません、ご迷惑をおかけします。」
頭を下げると
「いや。 お前に謝ってもらうことではない。」
いつものように目も合わさず書類を見ながら冷たく言われた。
ゆうことの『できちゃった婚』で、一度は社長の怒りを買ってどこか飛ばされるのではないか?まで行ってしまった。
その後、和解は成ったものの。
それ以来志藤は常に北都の顔色を窺うようになってしまった。
それを知ってか知らずか北都も志藤には当たりが非常に強い・・
志藤が仕事を休むゆうこのフォローにまわりますが…
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