元日の新聞紙面から見た2022年

産経新聞

データ活用に向けて取り組むこと

「電子暗号覇者がAI社会制す」が一面トップで、先端社会のためにAIとデータが必要であることを示し、それに伴う規格や制度をめぐる争いの重要性に言及している。
データの流通についても中国のデータ保護主義と米国の放任主義に言及し、プライバシーの保護と公正な競争力に言及している。ここでは「どうすれば適切にデータを扱えるか」ということ以前に、そのルール作りを主導することの重要性を説いている。

新たな冷戦時代

一面には「さらば おめでたい憲法」と題し、米国を中心とする民主主義国家と中露を主軸とする強権国家間で新たな冷戦時代に入ったことに対する備えを述べている。
既に我が国では有事に向けた備えが欠落していることや、台湾有事の可能性にも言及し、必要に応じて憲法や法改正が必要であることを示している。

読売新聞

原子力の将来像

「米高速炉計画、日本参加へ」で高速炉の開発計画に日本が参加することをを一面トップに掲載し、「原子力の将来像を示す必要がある」で締めている。
また、一面にはウクライナに関する米露の協議が難航していることも掲載している。

災厄越え、次の一歩

三面社説には「災厄越え、次の一歩」として経済社会の変調と軍事的脅威の高まりを指摘している。
これからの取り組みとして、マネー優先ではなく産業振興の投資、長期的視点に立って経済活動、平和の方法を具体的に考えるべきであることなどを述べている。

毎日新聞

ディスインフォメーションの影響

一面トップは連載記事である「オシント新時代」の2回目として、ロシアがヤフコメを改ざんして掲載していることを掲載している。フェイクコメントが拡散されることが安全保障の問題にまでつながっていることを指摘している。

民主主義のあり方

二面の社説には民主主義への逆風として、国際情勢の不安定さが増していることを指摘している。
また、国内に関しても異論を排除する動きが強まったことが民主主義の危機に繋がっていることにも言及している。

朝日新聞

未来のデザイン

「未来のデザイン」と題して一面トップはドリカム、二面は百年森林構想の西粟倉村の事例や未来の捉え方まで続いている。
その後も環境に配慮したスタバ店舗の事例や、「狩りとケアから考える」という対談も含めて、紙面全体を通して「未来」を構想させるテーマが続いている。

データと人権

社説では表現の自由が民主主義と衝突する危険性や膨大な個人情報が力の源泉になることを示し、個人情報の保護と基本的人権について言及している。

総括

身近なところではコロナやオミクロン株が与える経済や生活への影響が問題になっている。確かにコロナの話は随所に出てくるが、今年の紙面ではローカルテーマ的な位置づけになっている。
各紙に共通している事項としては以下の二点があげられる。

  • 中国の成長を主たる要因として、民主主義という枠組みが危機を迎えている
  • デジタル社会を迎えデータ流通のありかたや個人情報保護の考え方も新たなルールが必要

これらの事項に関しては「新たな世界の枠組みを自ら作り上げる」という積極的な姿勢が必要である。これらの指摘に対して、我が国の対応は枠組みを作るという点では受け身で、誰かが(欧米諸国が)決めたことに従う、または誰かが歩いた道を歩こうとしているように感じられる。
日経新聞にも資本主義の危機が述べられていたが、ここでも「世界は民主主義第三の危機に直面しているのに、日本は第二の危機から脱せずにいる」とあるように、自ら道を切り開かない姿勢が我が国を周回遅れにしているように感じる。


また、一面で扱われることは少なかったがウクライナ情勢も大きなテーマで、ここは台湾と中国、アメリカとロシアの問題につながることで国際的な火種になっていることが懸念される。