宅建試験の民法の中では肝となるところです。
ここが出来るようになると読み取りの力が必要だからだと思いますが
権利の得点アップになってきます。
ただ事例問題で出題されることが多いので図を書いて
状況をしっかり読み取り、あてはめをして考えるという力が必要です。
契約の成立
民法の最初にも勉強しますが
売買契約は、「売ります」「買います」
の意思表示が合致すると成立し、その時点で所有権が移転することになります。
つまり、売買契約が成立した時点で、
「所有権」という権利は売主から買主に移っているというのが民法の考え方です。
※現実の仕事ではお金を払った日=所有権移転・引き渡しとなるのが普通です。
民法の勉強の時は民法の考え方の土俵で解くことは基本中の基本です。
そして契約すると買主は
「私が買って所有者になったので、登記を下さい」
と売主に対して主張することができるようになります。
なので売買契約時点では登記を持っていませんが、売主に登記くれ!と言えるのです。
あと
転々移転した場合
たとえば、AからB、BからCへと売買され所有権が移転した場合で、登記名義はまだAとします。
このときCはAに登記なくても対抗できます。
売主の売主はCにとってAは「第三者」に該当しないからです。
売主の相続人
登記がなくても対抗できる(登記くれ!といえる)ケースは他にもありました。
売主と買主の間で土地の売買契約が成立した後、
買主に登記をする前に売主が死亡して、
売主の相続人が、土地の相続による所有権移転登記をしてしまった場合はどうなるか?
という問題があります。
この場合も、買主は、売主の相続人に対して、
登記がなくても自らの所有権を主張することができます。
相続は、
亡くなった人の権利や義務を引き継ぐことです。
要するに、売主の相続人は、土地の所有権を引き継いだのではなく、
土地の売主としての権利や義務を引き継いだものと考えます。
ですから、売主の相続人というのは、売主と同じと考えれば
買主は、登記がなくても登記しろ!と主張できるのです。
登記がなくても対抗することができる第三者
登記なくして対抗することができる第三者とは、
〇無権利者
〇不法占拠者
〇背信的悪意者
詐欺または強迫によって登記の申請を妨げた者
他人のために登記を申請する義務のある者
高値で売り付け不当な利益を・・・
です。
ここは
悪い奴には登記なくても勝てる
悪い奴が登記しても勝てない
と押さえておきましょう!
二重譲渡
A所有の土地をBに売買契約したあとに、
Aが当該土地をCにも売却し、二重で売買契約してしまったという話です。
二重譲渡によってどちらのものになったかという話を
対抗関係といい
BとCはひとつのものを、取り合うことになります。
Bのものにするのか、Cのものにするのかのルールが必要となり
土地や建物の所有権の取得については、登記をしなければ第三者に対抗できない
というルールとしました。
つまり、上記BとCの関係においては、
先に登記をした方が勝ちとなります。
登記を先を越されて負けてしまった可哀そうな買主は
売主に対して履行不能(債務不履行)による損害賠償請求とかできて保護します。
取消しと登記
詐欺や強迫は取消しすることができます。
例えば、売主AさんがBさんに不動産を売却した後、Bさんが詐欺をしていたことが分かった場合、Aさんは売買契約を取消すことができます。
しかし、取消において第三者が現れた場合は、
タイミングが取消し前にすでに登場しているか、取り消した後に登場したかによって結論が変わります。
①「取消前」に第三者が現れたとき
詐欺をして不動産を購入したBが、Aから契約を取消される前に
第三者Cに不動産を売却してしまっていた場合は、Cが善意無過失かどうかで結論は異なります。
Cが善意無過失なら、Aは返してもらえない、Cが悪意や善意でも過失有りの場合であれば
Aは不動産を取り戻すことができます。
ちなみに上記ケースが強迫ならCが善意無過失でもAは一方的に可哀そうなので取戻し出来ました。
これは意思表示の詐欺・強迫のところでやりましたね。
②「取消後」に第三者が現れたとき
BがCに不動産を売却したのが、Aが売買契約を取消した後だった場合は、
取消前と考え方が異なります。
AはBから登記を取り戻せるのですが
BがCに売却しているのでBからCへ登記する義務もあります。
登記が一人の人から複数相手に登記義務あるときは「二重譲渡」と同じに考えて
登記で勝ち負けを決めます。
二重譲渡のケースであれば、Cの善意・悪意を問われません。
問題文を図にして考えることにより覚えることは少なく数多くの問題ができるようになります。
頑張ってください。
確認テストの解説動画です↓