陽出る処の書紀

忘れないこの気持ち、綴りたいあの感動──そんな想いをかたちに。葉を見て森を見ないひとの思想録。

落ち着いて本が読める空間を選ぶのも大切

2021-10-18 | 読書論・出版・本と雑誌の感想

子どもをリビングで勉強させた方が学力がつくという意見があるようです。きょうだい共有の子ども部屋で育ち、廊下に自分だけの籠もれる勉強スペースをあてがわれた私でしたが、たしかにテスト前などは親が寝静まったあとのリビングで勉強していました。夜更けのコーヒーとかお菓子がすぐあるので。

私は図書館通いが好きですが、あまり、そこに長居するのが好きではありません。どうしても、人目を感じてしまうからです。自分が図書館に勤めたことがあるからわかりますが、スタッフは暇なときは受付から館内を見渡していますし、誰が何をしているかもよく見えます。閲覧席もそうですね、やはり周囲に誰かがいると集中しづらい。大学時代を除き、自習室も利用したことがほとんどありません。

ただし、不測の事態下での集中力を養うために、わざと騒がしい場所で勉強すべきという意見もあります。
選挙カーがうるさい試験会場などもありますものね。私も資格のテキストの勉強ならばむしろどこでもできます。むしろ、人に見せつけたいぐらい。困るのは小説やら、漫画やら、マニアックな専門書やらを見られたくないことなのです。

本が棚に整然と並んでいる空間で本を選ぶと、あれやこれやと欲張りになります。さっさと次を借りなければ、ここの蔵書を網羅せねば、などとよからぬ欲望にとりつかれることがあります。

事実、カウンターで貸出後に、図書館ロビーの座席で薄めの本を一冊さっさとと読み終えて、その場で返そうかと躍起になったことがあります。帰りの荷物を減らしたいがために。

しかし、それがなかなか頭に入らない。
断念して持ち帰って自宅で読み直すと、驚くほど文字が目にしみこんでくる。やはり日ごろ慣れた場所を飛び出すと、からだが情報や刺激をうけとってしまうのでストレスがたまり、脳が正常に働かなくなるからなのかもしれません。

それと逆で、書店でさわりだけ立読みしたときはおもしろくて買ったのに、自宅でじっくり読んだら早まった!と後悔してしまった本もあります。その場合は、その書店がかなり居心地がよかったのでしょう。郊外の大型書店でスペースが広く、ひとが密集していないことが多いです。本屋でも図書館でもそうですが、知り合いに本を探しているところを見られるのが好きではない。思想を覗かれているようで。

インターネットですぐに本が買えたり、そもそも電子書籍でスマホだけで読めたりする環境は、照れ屋な読書好きにとっては天国なのでしょう。

ある本がつまらないと感じてしまうのは、自分のメンタルや健康状態、思考の発達にもよるでしょうが、場所のせいでもあるのかもしれません。なので、これは面白いと見込んだはずなのになぜか響かない、という本は時期を変えて借りなおすか、本棚で寝かせるか、場所を移して再チャレンジすることにしています。

私はもう売ろうと思って、空き家に集めていた捨て本を、その空き家で読みふけってしまうことが多く、とても困っています。その空き家には他にあまり本がないせいでもあります。読書って、ぜったいに狭い場所ではできないのではないでしょうか。

そのいっぽうで、いちばん落ち着いて読める場所がやはり椅子に座っていではなく、布団に入りながらだったりもするんですよね…(笑)。新聞やちょっとした雑誌なんかはトイレのほうがはかどります。そして、入浴中は絶対に本は読みたくない派です。


読書の秋だからといって、本が好きだと思うなよ(目次)
本が売れないという叫びがある。しかし、本は買いたくないという抵抗勢力もある。
読者と著者とは、いつも平行線です。悲しいですね。





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