陽出る処の書紀

忘れないこの気持ち、綴りたいあの感動──そんな想いをかたちに。葉を見て森を見ないひとの思想録。

資産運用よりも労働力向上がまず先決

2022-08-19 | 政治・経済・産業・社会・法務

最近やたらとiDeCoやら投資信託やらの金融商品を勧められることがあります。
iDeCoは小規模企業共済掛金控除として掛金全額所得控除になるので、よく個人事業主の老後資金づくりとしても推奨されてはいますよね。

でも、私はこの傾向に疑問を抱いています。
書籍を購入したり、金融機関の担当者に問い合わせたり、あるいは運営管理機関のコールセンターに直接訊ねてみたり。そんなことを繰り返しているうちに、あることに気が付きました。

資産運用に走るよりもまず、自分にできる節税対策や、収入アップがあるのでは?

iDeCoのメリットは、人によっては取り返しのつかないデメリットになる恐れがあります。
掛金全額が所得控除とはいえ、そもそも所得税率が低かったり、扶養されていて住民税負担をしていない人にはメリットがありません。個人事業主ならば、ふるさと納税をしたり、複式簿記で青色申告特別控除が55万円(電子申告65万円)したり、減価償却の資産計上したり、等々の節税策を実践したうえ、その年の収入が減ってしまうと恩恵が受けられなくなります。

まずいことに、iDeCoは一度加入してしまうと、60歳まで中途解約できない。
その間、毎月の口座管理料および、金融商品ごとの信託報酬や運営管理機関に払う手数料なども自動的に発生します。これだけで、年間いくらかの固定費が増えてしまいます。うっかり口座残高がなくて掛金引き落とされないと、還付手数料として1回1500円ぐらいとられてしまいます。さらにiDeCoの申込金融機関によって取扱い商品が異なり、リスクの高い(アクティブ)投資信託が多いことも。ハイリスクハイリターンな投資信託は、よほど余剰資金がないと資金が目減りしてしまう可能性もあります。定年が近い中高年は絶対に手を出すべきではありません。下手したら、老後の公的年金まで食いつぶされてしまいます。

そもそも、こうした資産運用を勧める方は、なぜかパート程度の収入しかない専業主婦上がりの方か派遣社員さん、時短勤務で収入が減っているサラリーマンが多いです。しかもコンビニで買い食いをすぐするような癖がありますよね。自分の欲求を抑えられないのです。

でも、世帯主でなかったり、総所得金額そのものが低ければ、iDeCoのメリットはありません。
そして、失礼なのですが、こうした金融商品を褒める方ほど、一緒に働いていても仕事ができない方が非常に多いです。ふるさと納税もたくさんしてるといいながら、住民税を滞納したことがあると武勇伝を語ったり。ふるさと納税自体は小学生だってできますが、所得税や住民税を安くするには定められた寄附可能上限額があるので、むやみやたらにやるべきではないのです。

お金の計算ができない方に限って、すぐ起業しようとしたり、こういう儲け話にとびつくんですよね。子どもに金融教育をするそうですが、やたらと投資の楽しさを煽ったりせずに、まずはしっかり地道に働くことはなぜ必要なのかを教えていただきたいものです。

私は個人事業主兼業会社員ですので、時間当たりの労働生産性をとても大切にしています。
なので、時間給がいいからとだらだら仕事をしたり、よけいな残業をして割増賃金を稼ぐような働き方が大嫌いです。大企業や公務員にはそういう方が多いですが。しかし、ここ近年の職場も、そうした昭和めいた働き方をする中高年をどんどん追い出そうとしています。リモートワークの推進で、ITスキルがない社員の評価を下げるからです。

資産運用で失敗したらどうするのでしょうか?
配偶者だっていつ失業するかわかりませんよね。いまは年功序列ではありませんので、若手でも役職者になれる一方で、実力のない中高年は役職を解かれる可能性はあります。あるいは家族が介護状態で働くこともままならなくなる。だとしたら、自分自身が労働力をつけて、会社員として就業できる、転職して収入アップできるように、しっかりと自己投資をしておくのが望ましいのではないでしょうか。

自分が教育できていないのに、我が子が勉強しないからと叱るのは片腹痛いとしかいいようがありません。いつまで、お金があることが幸せ、誰かが貢いで自分を豊かにしてくれる、親が資産分けしてくれるだろう、子どもが出世して養ってくれるだろう等のバブル時代の愚かな感覚をひきずっているのか。こういう間違った、意味のない噂話しか信じられないえせ金持ち気分の教育ママが多いですね。いつか子どもに捨てられ、見限られるのではないでしょうか。

コロナ禍前は、旅行だのイベントだの、レジャー消費がさかんでした。
しかし、そんなことにかまけている時間があれば、スキルアップの勉強をしたり、業務効率改善の手段を考えたり、副業をして、経営者としての経理や財務会計、営業、人事管理の能力を身に着けたりすべきではかったのか。ひとり社長の人は、人一倍働き者ですし、責任感が強いです。会社に守られていませんから、リスク管理が厳しいです。怠け者、学びたがらない人には人がついていきません。お金が無くなってからみっともなく泣き叫ぶような大人は、失うべくして失ったとしかいいようがありません。目に見えやすい数値でしか他人を評価しないので、自分が損切りされていることに気づかないのです。自分が失敗したときに離れていくような人は、最初から信頼してはいけなかったのです。

お金に関する本などをみると、コツコツ働くよりも自由に、雇われない生き方を、と謳っています。しかし、そうした本は、不労所得やら、楽して儲けようとする人をカモにして自分がいい思いをしているだけです。いちばんいいのは、社会保険に長く加入できるような会社でずっと働くことです。いっけん年収が高くても、極端に離職率が高い会社はありますから。私も身に染みて経験しておりますが、年をとればとるほど、仕事への評価は厳しくなります。仕事をえり好みしている人は本当に自分がやりたい仕事に辿り着けないでしょう。

末永く働くためには、自分自身の健康にしっかりと投資することです。
新鮮な食材をつかって、調味料や脂を少なくし、栄養のバランスの摂れたおかずの種類を増やして、お菓子を控えること。きちんと家計管理をしていれば、自分が嗜好品にいくら浪費しているか、サブスク動画視聴など無駄なネットのサービスで時間を融かしていないか、自己管理をしましょう。炭水化物ばかり摂る人はイライラしやすく、メンタル不安定で、不安なのでネットで検索したり…という悪循環で人生が後退していっているのではないでしょうか。私も不安が募ると、すぐ本に頼りきるので同じなのですが(苦笑)

(2022/04/27)







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