今日は月組『今夜、ロマンス劇場で』

『FULL SWING!』を観劇してきました。

 

 

 

 

映画を見た夫から少しだけ話を聞いた後で

初日の映像を見てちょっとだけ予習していきましたよ。

 

1964年(昭和39年)。

テレビの出現で娯楽の王様から陥落しつつある映画界や

名画座を舞台にしたハッピーエンド(って言って良いのよね?)のおとぎ話ふう。

 

登場人物や場面のあちこちに、いろいろな舞台や映画からの影響、

あるいはオマージュが感じられます。

私が感じたのは『狸御殿』、『ローマの休日』、『蒲田行進曲』、『ドラキュラ』など。

真似事ではなく、良い感じにエッセンスを取り入れているんです。

 

原作映画を見ていないので 宝塚独自なのか原作通りなのかわかりませんが、

ユーモラスなセリフや場面が満載で、客席にはクスクス笑いが何度も起こります。

だけど、最後はちょっと涙ぐんでしまう、純なお話。

登場人物に誰一人として悪人がいないのも、お正月公演らしくて良い。

私は個人的に大好きです。

この作品を宝塚歌劇で、と思ってくださった、

脚本・演出の小柳菜穂子先生、ありがとうございます!

映画も見てみたくなりましたよ。

 

今日のお席は1階2列の下手よりサブセンターブロック。

1列目が空席なので、実質最前列、

しかも銀橋の七三の場所なので、

いろいろなスターさんが目の前に止まって下さるし、

何度か目が合う時も。至福じゃー。

 

では覚えている範囲で個別の感想を。

 

本日は休演者が3人いらっしゃいました。

蓮つかささん と一乃凛さんは怪我のため、

朝雪薫さんは体調不良のため、とのこと。

ではこの後、芸名は基本的に呼び捨てで失礼します。

 

 

●牧野健司:月城 かなと

 映画をこよなく愛する青年。

 映画監督になることを夢見て助監督として修行中だが何かと失敗が多く、

 楽しみは家の近くの映画館「ロマンス劇場」を貸切にして

 古い名画を鑑賞すること。

 そして健司はある映画のヒロインに恋をしてしまう……

 

 これが宝塚大劇場での新トップコンビお披露目。

 とはいえ、これまでに梅田芸術劇場で『ダル・レークの恋』、

 博多座で『川霧の橋』に主演、

 どちらも宝塚歌劇では古典とも言える名作で主演しただけあって、

 すでに貫禄十分。

 昭和の時代の青年をサラッと演じているように見えました。

 健司と美雪さんの恋愛は、状況はおとぎ話なのですが、

 実際は、深く厳しい決意が必要。

 その辺りの切なさと美しさが宝塚歌劇にぴったりなんですね。

 月城さんはどこからどう見ても美しいので、

 完璧な2枚目も見てみたいけれど、健司のような失敗の多い青年だと

 嫌味がなくて可愛いんですねぇ。

 

●美雪:海乃 美月

 映画では綾瀬はるかさんが演じたのですってね。

 映画の中のお姫様、美雪嬢。

 おてんばで、男の子のような話ぶりの美雪が

 現実世界に飛び出してきて、いろいろな波紋を呼ぶのが

 とても面白い。

 私は海乃さんにはしっとりした薄幸の女性が似合う気がするのだけど、

 美雪が持っているある種の強さはキャラクターに合っていると思いました。

 映画の衣装であるドレスがとても綺麗でお似合いでした。

 

●俊藤龍之介:鳳月 杏

 映画では北村一輝さんが演じたそう。

 登場した瞬間から「鳳月さんに似合ってるー!!似合いすぎ!」と

 笑いが止まりませんでした。

 カメラ目線、投げキッス、女性への対応、台詞回し、

 最初は『蒲田行進曲』の銀ちゃんか?!と思いましたが、

 銀ちゃんとは違い、大スターたるもの小さなことでは怒らない。

 何があっても(ダイナマイトでぶっ飛ばされても)前向きなナイス・ガイ。

 ラスト近くで、夢を諦めてはいけないと健司を諭す場面などは

 「なんて良い言葉!メモを取りたい!」と思いました。

 まさに「勉強になります!!」←劇中のセリフ。

 もしかしたらこの作品の中で一番良い人かもしれない。

 撮影所の場面に登場するため、いろいろな映画の衣装に身を包んでいるのですが、

 大柄な鳳月さんはどの衣装も着映えするんですよ。

 鳳月さんのビジュアルの変化を愛でるのも、

 この作品の楽しみのひとつかも。

 

●大蛇丸:暁 千星

 この役は宝塚版で新たに生まれた役。

 映画の中の世界の人物(蛇?)で、美雪の隣国の王子。

 策略を用いて、美雪を妻にしようとしている。

 名前の通りヘビの精なのか、鱗を思わせるギラギラ衣装に身を包み、

 くねくねネッチョリ。

 でも、そこは宝塚歌劇の男役さんですから、嫌悪感を持たせません。

 むしろユーモラスで可愛い。

 胸の前でX型に腕を交差させ、手のひらをヒラヒラさせる動作が

 ツボにハマってしまって、ついつい真似してしまいました。

 星組への組み替えが発表されました。

 星組に新たな魅力をもたらしてくれること間違いなし、でしょう。

 期待大。

 

●山中伸太郎:風間 柚乃

 助監督の一人で健司の良きライバル。

 時代の流れを読む冷静さもあり、

 映画を諦めて実家の豆腐屋を継ごう、と決意できる冷静さもあり。

 これまでこのブログで何度も何度も書いてきましたが、

 風間さんの舞台姿を拝見しているといつも、

 今はなき、なーちゃん(元花組トップスター 大浦みずき)を

 思い出してしまいます。

 だからいろいろな役を経験して、

 どんどん成長する風間さんを見守るのが一つの楽しみなのです。

 今回の役は これまで演じてこられた役と比べると、

 とても楽しそうに軽やかに演じているように見えました。

 

●本多正:光月 るう

 名画座「ロマンス劇場」の館長。

 いつも個性の強い「美味しい役」を演じておられる組長さんが

 今回はおとなしめな役だな、と思ったら大間違い。

 実は館長にも美しく悲しい「過去」があるのでした。

 いい意味で第一印象を裏切る、今回も美味しい役でした。

 

●ばあや:夏月 都

 映画の中の人物で、美雪に仕えている ばあや。

 とにかく可愛いおばあちゃまで、

 イメージ的には『ベルサイユのばら』のマロン・グラッセの日本人版。

 夏月さんの通る声で聞くと「くちおしや〜ぁぁ」という

 嘆きのセリフまでが可愛いのでした。

 

●萩京子:白雪 さち花

 鳳月杏さん演じる俊堂の相手役には、

 白雪さんくらい個性的でないと、霞んでしまいます。

 昭和の銀幕の女優さん、というのが滲み出ていました。

 

●成瀬正平:千海 華蘭

 東映、ではなくて「京映」の社長。

 映画で多くの人を幸せにしたいという信念を持ち、

 助監督などの若手にも温かく接するお父さん的な存在。

 こういう素敵なおじさまっておられるわよね、と説得力あり。


●成瀬塔子:彩 みちる

 

●狸吉:大楠てら(蓮 つかささんの代役)

●虎衛門:英 かおと

●鳩三郎:柊木 絢斗

 映画の中の人物(人なのか?)。

 桃太郎に仕える猿犬雉のごとく、美雪に仕えている。

 狸と虎は日本語を喋るのに、なぜか鳩三郎だけ

 「クックー」などの鳥語しか喋ることができません。

 それがおかしいやら可愛いやら。

 ある意味おいしいのかも。

 この3人が登場するたびに漂うホンワカした空気が

 「おとぎ話」感を醸し出してくれるのでした。

 

●雨霧【大蛇丸の従者】:天紫 珠李

●狭霧【大蛇丸の従者】:礼華 はる

 大蛇丸にお仕えする二人は、和風「黒天使」といった存在。

 だけど、キザってもキザっても どこかユーモラスで、

 狸吉たちとは対極の「おとぎ話」感を醸し出していました。

 

このほか、看板スター俊堂が何か言うたびに

「勉強になりますっ!」

と九十度に腰を曲げてお辞儀をする付き人たちが可愛らしかったです。

 

好みのビジュアルである蘭 尚樹さん、蘭世惠翔さんのお二人、

やっぱり好みでした。

 

 

 

さて、一方のショー『FULL SWING!』は、

「ビギン・ザ・ビギン」「ナイト・アンド・デイ」

「ストレンジャー・イン・ザ・ナイト」「マイ・ウェイ」など

耳馴染みのあるナンバーのジャズアレンジ満載で、とってもオシャレ。

特にグランドフィナーレは、許されるのならば

「キャーッかっこいい!」と叫びたくなるカッコよさ。

まずは大階段で娘役さんを侍らせて踊るトップスター

月城かなとさんの色気がすごい。

続く大階段での男役さんの群舞がかっこいい!

そしてトップスターから三番手までの、

3組のデュエットダンスはゴージャスの極み。

途中で相手役をチェンジしながら、

それぞれ違う振り付けで踊ったりするのも珍しく、

こういう趣向もありですね。

リフト担当みたいになっていた暁千星さん、お疲れ様です。

 

上に「お席がよくて何人かの方とは目が合った」と書きました。

今回ショーでは照明の関係で3列目くらいまでが明るい場面が多かったんです。

「目が合ったような気がする」人は何名もおられます。

その中で、銀橋での夏月都さん、晴音アキさん、結愛かれんさんは

絶対に目が合ったと確信が持てます。

すっと目が合った、という程度ではなく、

「あなたを見てますよ!」という感じで目に力を込めてから

ニコッとしてくださったので。

びっくりしたけれど嬉しかったデス!

ありがとうございました。

 

 

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