※この記事は過去記事の再構成です
参考文献
人物評
シャア・アズナブル に人生を翻弄された女性といえば、君は誰を思い出すであろうか。
ララァ・スン 。
レコア・ロンド 。
ハマーン・カーン 。
ナナイ・ミゲル 。
クェス・パラヤ 。
数多くの女性がいるが、実はもう一人いる。その女性が、今回紹介するマリサ・ミラーだ。
彼女の登場する作品は、メジャーな作品ではない。しかし、正史に準ずる作品群に登場するという絶妙なバランスが、一部のファンに静かな人気を誇る。
人生を知りその思いに沈む。
その奥深さは、なかなかにいい女だと私は思う。
一年戦争初頭。
彼女は売れないカントリーシンガーであった。
そんな彼女が、ジオン将校の集まる酒場にて歌う。その無名の彼女の歌に、最大の賛辞と拍手を送り、握手を求めたのが、シャア・アズナブルであった。
この出来事が、彼女に戦場の慰安歌手となることを決心させる。
その後、彼女は興行師の元、地球連邦軍とジオン軍両方の陣営で歌を歌うことになる。そしてなんと、連邦の兵士が渦巻くジャブローでシャアを意識した曲「赤い光跡」を歌った。
兵士たちは「赤」がジムの機体をイメージさせると大喜び。マリサのセクシャルな魅力もあいまって、曲も聞かずに大興奮の渦が巻き起こる。
しかし、生真面目な士官・ウィラー中尉は違った。その曲に込められた、戦士への思いに心を揺さぶられる。
そしてその思いを手紙に込め、紙飛行機を飛ばしジムに乗って出撃する。その手紙をマリサが偶然拾いその思いに心を打たれ、ウィラーに会えることを夢見た時。
ウィラーはシャアに殺されていた。
戦う意味を探してもがいた無名戦士のモビルスーツ、その残骸の中には、マリサのCDが混じっていた。
ソロモンの攻略戦の途中で会話を交わすスレッガー・ロウ とミライ・ヤシマ のいる休憩室の壁に、彼女の名前の落書きが書かれているのも確認できる。
やがて、一年戦争も終わり、慰安歌手だった彼女は姿を消す。
数年後。
ある日、エゥーゴのクワトロ・バジーナが静かに酒を飲んでいた。その横には、クワトロの正体など知らない、ひとりの酔い潰れた女性が眠っていた。
その女性の名前は。
そう、マリサ・ミラーであった。