源氏物語イラスト訳【末摘花122】出立 | 【受験古文速読法】源氏物語イラスト訳

源氏物語イラスト訳【末摘花122】出立

命婦は、「いかならむ」と、目覚めて、聞き臥せりけれど、「知り顔ならじ」とて、「御送りに」とも、声づくらず。君も、やをら忍びて出でたまひにけり。

 

【これまでのあらすじ】

故常陸宮の姫君の噂を聞いた光源氏は、「零落した悲劇の姫」という設定に憧れと好奇心を抱き、乳母子の大輔命婦の手引きにより、ようやく逢瀬を迎えました。

 

 

源氏物語イラスト訳 

 

 

命婦、「いかなら目覚め聞き臥せけれ

訳)大輔命婦、「どうであろ目を覚まし横になって聞き耳を立てていけれど

 

 

知り顔ならとて、「送り声づくら

訳)いかにも知っているような顔ではいるまい思っ、「見送り声で合図ない

 

 

やをら忍び出でたまひけり

訳)源氏の君そっと人目を避け出立なさっのであっ

 

 

【古文】

命婦、「いかなら目覚め聞き臥せけれ、「知り顔ならとて、「送り声づくらやをら忍び出でたまひけり

 

【訳】

大輔命婦、「どうであろ目を覚まし横になって聞き耳を立てていけれど、「いかにも知っているような顔ではいるまい思っ、「見送り声で合図ない源氏の君そっと人目を避け出立なさっのであっ

 

◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇

■【命婦(みょうぶ)】…大輔命婦。光源氏の乳母子

■【は】…取り立ての係助詞

■【いかならむ】…どうであろうか

■【と】…引用の格助詞

■【目覚め】…マ行下二段動詞「目覚む」連用形

■【て】…単純接続の接続助詞

■【聞き臥せ】…サ行四段動詞「聞き臥す」已然形

※【聞き臥(ふ)す】…横になって聞く

■【り】…完了の助動詞「り」連用形

■【けれ】…過去の助動詞「けり」の已然形

■【ど】…逆接の接続助詞

■【知り顔】…いかにも知っているような顔

■【なら】…断定の助動詞「なり」未然形

■【じ】…打消意志の助動詞「じ」終止形

■【とて】…~と思って

※【と】…引用の格助詞

※【て】…単純接続の接続助詞

■【御―】…尊敬の接頭語(命婦⇒光源氏)

■【送り】…見送り

■【に】…目的の格助詞

■【と】…引用の格助詞

■【も】…強意の係助詞

■【声(こわ)づくる)…声で合図する

■【ず】…打消の助動詞「ず」終止形

■【君】…源氏の君。光源氏

■【も】…列挙の係助詞

■【やをら】…そっと

■【忍ぶ】…人目を避ける

■【て】…単純接続の接続助詞

■【出で】…ダ行下二段動詞「出づ」連用形

■【たまひ】…ハ行四段動詞「たまふ」連用形

※【たまふ】…尊敬の補助動詞(作者⇒光源氏)

■【に】…完了の助動詞「ぬ」連用形

■【けり】…過去の助動詞「けり」終止形

 

重要古語一覧はこちら

◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇

 

 

【本日の源氏物語】

 

光源氏、出立の場面です。

せっかく、末摘花との初夜を迎えたのに、

ちょっと思っていたより良くなかったようですね。

 

笑い泣き笑い泣き笑い泣き

 

ため息をつきながら、光源氏はそっと帰ろうとします。本来ならば、明け方に帰っていくはずですが、夜深いうちに、そっと出立するようです。

 

大輔命婦も、素知らぬふりをして、お見送りにも出てこなかったみたいですね。

 

絶望絶望絶望

 

 

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