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カテゴリ:本・雑誌
何かの書評で面白いと書いてあったんで、近くの図書館で本を借りたのである。 『反穀物の人類史 (副題)国家誕生のディープヒストリー』 著者:ジェームズ・C・スコット、訳者:立木勝、2019年、みすず書房
●本の裏表紙には下記のような文面が印字されている。本当なら面白い。↓ 【裏表紙の印字文面】 「ある感覚が要求してくる——わたしたちが定住し、穀物を栽培し、家畜を育てながら、 現在国家とよんでいる新奇な制度によって支配される「臣民」となった経緯を知るために、 深層史(ディープ・ヒストリー)を探れ、と…」 ティグリス=ユーフラテス川の流域に国家が生まれたのが、 作物栽培と定住が始まってから4000年以上もあとだったのはなぜだろうか? 著者は「ホモ・サピエンスは待ちかねたように腰を落ち着けて永住し、 数十万年におよぶ移動と周期的転居の生活を喜んで終わらせた」のではないと論じる。 キーワードは動植物、人間の〈飼い馴らし〉だ。それは「動植物の遺伝子構造と形態を変えてしまった。非常に人工的な環境が生まれ、そこにダーウィン的な選択圧が働いて、新しい適応が進んだ…人類もまた狭い空間への閉じこめによって、過密状態によって、身体活動や社会組織のパターンの変化によって、飼い馴らされてきた」 最初期の国家で非エリート層にのしかかった負担とは? 国家形成における穀物の役割とは? 農業国家による強制の手法と、その脆弱さとは? 考古学、人類学などの最新成果をもとに、壮大な仮説を提示する。 ●本書の見出しは、週刊誌の広告みたいだから、発刊当初は書評が割りと多くでたようだ。 だが、本文は ・著者が「整理不足で事実と主観が混在して主張が分かりにくい」 ・著者は「原注」形式で引用文献はわりとまめに記載してるが、本文と矛盾してる箇所が多い。 ・最古の文明跡とされるメソポタミア(チグリス川とユーフラテス川の平野)が考察の95%で 類似の古代文明跡にはわずかな言及しかない。 ・国家では無いかもしれないが、各地の「旧・石器時代跡」の事実について言及が乏しい・・・ ・欠陥が多いが週刊誌的な面白さはある。 ●本書に触れた最大の貢献は、久々に『みすず書房』発刊の過去と最近の名著を読書する気が起きたことです(笑) 中規模以上の図書館なら『みすず書房』の本は置いてあるはずです。 ちなみに、私が最初に購入した『みすず書房』の本は、 ヴェルナー・カルル・ハイゼンベルク 『部分と全体』です。 お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
最終更新日
2021年09月11日 05時24分50秒
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