あらすじ

ディーンとシンディ夫婦は娘のフランキーとの3人暮らし。長年の勉強のすえ資格を取り、看護師として忙しく働く妻シンディの一方、夫のディーンの仕事は朝からビールを飲みながらのペンキ塗り。もっと自分を高める努力をして、きちんとした仕事に就いて欲しいとシンディは夫に対して思っているが、最低限の仕事をして少しでも多くの時間を家族と過ごすことが一番大事だというディーンとの溝は深まるばかり。ふたりの出会いは、シンディが医学生、ディーンは引越しのアルバイトで生計を立てていた頃。不釣り合いな二人だったが、ディーンのどこか飄々とした生き方と明るさにシンディは惹かれていった。若く夢があり、お互いに相手に夢中で毎日が輝いていた幸せな日々… そんなふたりの過去と現在が交錯しながら、愛の終わりと誕生が重なり合う、切ない慟哭のラストへと向かっていく。

 

 

  感想

先日観た「わたし達はおとな」が、今作を参考にして制作されたのでは?

と感じたので、「ブルーバレンタイン」を久しぶりに観た感想と、2011年当時のブログ記事に追加修正する形で、当時の情報を含めて書きたいと思います。

 

 

普段なら絶対観ない恋愛映画ですが、この映画のある手法に面白さを感じ、観に行きました。
それは、男女の出会い(過去)と夫婦の崩壊(現在)を同時進行で描くという手法です。

これはさぞかし綿密なシナリオのおかげなんだろうと思ってたら、なんと即興芝居ということに驚かされます。
何年にも渡り練られてきたシナリオを捨て、シーンごとに役者に指示を与えて物語の進む方向を導いていくというものだったそうです。

ただ即興だから簡単かといえばそうではなく、そこにそうあるべき演技が現れるまで時間をかけて撮られたもののようで、だからこそ台詞を越えたものが映し出され、それが映画のナチュラルさを生み出してると思いました。

視覚的にも、現代の夫婦編では、デジタルシネマに使われるビデオカメラで撮影し、より冷たくかっちりとした現実的な映像になっていて、出会い編ではフィルムカメラで撮影しているので、ノスタルジックな優しいタッチの映像で、それぞれの映像の質感からもその違いは見て取れるようにもなっていて よりわかりやすいです。
(もちろん 役者さんも容姿を変えていますが…)
 

ここまでは、2011年当時に書いたブログを一部修正して、再掲載しました。

「即興芝居」だったことは、この記事を読み返すまで忘れてました。

 

今回観直して気づいたことは、ファーストカットからつかまれる感じ、2人の間に生まれた子供から始まるのは象徴的でしたし、この始まり方も忘れてました。

 

あと、幸せに向かう過去編も順調の道のりではなかったですし、彼女の家庭は裕福なんですが格差の問題だけでなく、彼女自身の内面の苦悩もあって、そこからさらに妊娠が判ってからの悩みも重なっていることに重みを感じました。

 

この悩みと同じ時間軸で、現在編では看護師としての職場での扱いや夫の理想と現実面が描かれていて、残酷でありながら、夢や希望だけでは乗り越えられない現実と生活の苦労が対比して描かれていて、ロマンチックとは対極の作品ですが、恋愛と結婚に違いが明快だったと思いました。