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「落選させるべき自民党議員(前半)」三橋貴明 AJER2020.8.4

    

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ブレグジットの歴史的意味 中国共産党に立ち向かう国々 [三橋TV第273回]


https://youtu.be/yL7C1rrSQQw

 レバノンのディアブ内閣が総辞職しました。

『レバノン内閣総辞職 首相「爆発は長年の腐敗の結果」
https://www.nikkei.com/article/DGXMZO62496720R10C20A8EAF000/
 レバノンのディアブ首相は10日、国民向けテレビ演説を行い、内閣が総辞職する意向を表明した。4日に首都ベイルートで起きた爆発後、数千人の市民が政府やエリート層の責任を追及し、大規模なデモ活動を行っていた。後任の首相を巡っては議会の各派やアウン大統領らが協議するとみられる。
 ディアブ氏はアウン氏に辞意を伝えた。アウン氏はこれを受け入れ、ディアブ氏に、後継首相が決まるまで暫定政権を率いるよう依頼した。
 ディアブ氏は160人以上が死亡した爆発について「長年の政治、行政、国家の腐敗の結果起きた」と述べた。今年1月に発足した自らの政権は腐敗したエリート層が握る政治の構造を変えようと試みたが「孤立無援で、彼らはそろって妨害に回った」と説明した。(後略)』

 レバノンは、本ブログでは「供給能力」に焦点を当てて取り上げてきました。
 

 レバノン経済は、国内の供給能力が極端に不足しています。食料品(だけじゃないですが)の大半を輸入に頼っており、恒常的な貿易赤字国でした。


 結果、為替レートには常に下落圧力がかかり、これを放置するとLBPはひたすら下落し、輸入インフレで国民が苦しむため、レバノン政府は1ドル=1507LBPの固定為替相場制を採用。
 

 固定為替レートを維持するため、レバノン政府はドル建て国債を発行し、介入を続けましたが、今年3月にギブアップ。


 レバノンは、
「供給能力が不足していたが故に、財政破綻に至った」
 と、財政破綻の「王道」を辿った、典型的な事例になりました。そして、供給能力が不足するレバノンの「構造の問題」をまざまざと見せつけてくれたのが、先日の爆発事故でした。


 レバノンはリストの言う「生産諸力」を強化することが可能な構造になっていない。理由は、政治腐敗というよりは、宗派主義。宗教各派が政治権力を「分け合う」前提の政治構造になっているのです。


 国民の宗教がバラバラだったとしても、「同じ国民」としてまとまることは不可能ではないと思います。とはいえ、その場合は政治権力と宗教を切り離す政教分離が不可欠でしょう。


 レバノンの場合、宗教による分断が政治権力を分断し、最終的には「国民の分断」になっているように思えてなりません。国民が分断され、生産諸力が非常に弱い。結果、投資が伸びず、生産性も上がらず、供給能力不足が続く。


 さらに、国民が分断され、ナショナリズムが崩壊すると、民主制は維持不可能になります。レバノンは、再び内戦期のような「国民同士が攻撃しあう」状況に至るのではないでしょうか。


 AFP通信によると、元々食料の85%を輸入に頼っているレバノンが、先日の大爆発で、小麦、トウモロコシ、大麦、約1万5千トンが貯蔵されていたサイロ、近くの製粉所、さらには荷下ろし中だった小麦も全て失われてしまったとのことです。
 

 特に、サイロが失われたため、人々は小麦不足が長期化するのではないかと恐れているとのことです。
 

【三橋貴明の音声歴史コンテンツ 経世史論】

http://keiseiron-kenkyujo.jp/apply/

※特別コンテンツ、近現代史研究家・林千勝先生【大東亜戦争の真実~近衛文麿の野望~】が視聴可能となりました。

 

 3月のデフォルト(財政破綻)以降、LBPの実勢レートは1ドル=8000LBP前後に下落しています。つまりは、輸入物価が五倍。その上、爆発事故で「穀物の供給能力」を奪われてしまった。


 無論、この手の「非常事態」に国民を守るのが「政府」あるいは「国家」です。その国家が、「国民・政治家が連帯し、危機に立ち向かう」構造になっていない。というよりも、連帯の構造を作りようがない宗派主義が憲法で定められている。


 レバノンがかつての内戦期のように、再び国民同士が殺し合う国と化さないよう、祈らずにはいられません。


 さて、ユーラシアの反対側の島国、歴史的なグローバル国家であったレバノンとは真逆の歴史をたどった日本国では、「日本国民」「皇統」「日本語」というナショナリズムの三本の柱が「民主制で選ばれた政権」により破壊されようとしています


 レバノンは、太古のフェニキアの時代からグローバル国家(というか都市連合)で、ヒッタイト、アッシリア、バビロニア、マケドニア(アレクサンドロス大王)、セレウコス朝、ローマ帝国、イスラム帝国、シリア王国、そしてフランスと、繰り返し「他国」の支配下に置かれた歴史を持ち、宗教も複雑で、元々が「国民の連帯意識」たるナショナリズムを形成し難い国です。


 それに対し、世界最古の歴史と伝統を持ち、自然災害大国であり、健全なナショナリズムが醸成されやすい我が国が、グローバリズムにより国民の分断が進んでいる。
 レバノンの状況を見ると、改めて「グローバル化された、かつての日本国」という未来を想像し、戦慄を覚えざるを得ないのです。

 

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