コロンビアのグスタボ・ペトロ大統領は、3月19日、自身が提案する憲法制定議会に「反対する多くのものは、パラミリタレス[準軍事組織]の支配を擁護するものだ」と述べ、かれらが今はなきコロンビア自衛軍(AUC)に関係する政治家たちであると強調した。ペトロは3月15日、自身が推進する改革を、議会が承認するのが困難な状況を前にして、制憲議会の招集という、予想されていなかった憲法議論をおこなうことを提案した。

 

「正直に言うと、根本的な改革をもとめる市民を主人公にする、憲法制定プロセスに反対する多くのものは、1991年憲法を大事にしているからではなく、この憲法施行後コロンビアに事実上押しつけられた、パラミリタレスと汚職の体制を大事にしたいのである」、ペトロはソーシャルネットXに書いた。大統領は1991年憲法を「置き換える」つもりはないと主張した。それは「国家とM-19との和平協定の成果であった」と述べた。それはかつてかれが所属したゲリラである。

 

「制憲議会はすべてを廃棄するのではなく、改革を目指したものを回復し、さらにその当時は憲法に取り入れることができなかったものを加えるものである。この場合、1991年憲法は施行されなかったと主張したい。なぜなら即座に事実上の権力体制に取って代わられたのである。パラミリタレスの支配と汚職の体制に」、ペトロは主張した。したがって「今がこれを変えるときである。市民のための制度を回復し、33年間のあいだ実行できなかった根本的な面を保障する」。

 

「恐喝や脅迫はもういらない」

 

この提案はほとんどすべての政治潮流の政治家から批判されることになった。それには2022年大統領選挙で、ペトロを支持した潮流の部分も含まれる。しかし大統領の提案は、3月19日、予想外にヘルマン・バルガス・ジェラス元大統領からの「支持」を受けた。かれは右派政党「カンビオ・ラジカル」の指導者で、ペトロにたいする主要な反対者の一人である。

 

「ペトロの制憲議会を支持しよう。呼び掛けられる恐喝、脅迫はもうたくさんだ。それらは制憲議会のなかで葬ろう。ペトロ大統領が言うことは正しい。人民が決めるということは非常に重要だ。しかしコロンビア人全体でなければならない。労働組合の組合員だけではダメだ」、バルガスはXに書いた。2014年から2017年のあいだ副大統領の地位にいたバルガスは、「不安定さのなかに沈んでいる」「数百万人のコロンビア人にたいして」、来たるべき制憲議会に向けて、自身を組織することを呼び掛けた。

 

「制憲議会は民主的メカニズムであり、われわれはこれに参加することができるし、多数派になることもできる。そして現在の「変革」の政府によって陥った流血状態を終わらせるのだ。制憲議会、賛成だ。われわれが前進できるための道を、政治的合意を切り開こう。そのなかでコロンビアが進むべき道を決定しよう」、バルガス・ジェラスは表明した。

 

優先事項である和平合意

 

議会とのあいだで権力が衝突するなか、先週、ペトロは、コロンビアは憲法制定議会を招集しなければならないと述べた。かれへの反対者は、これが2026年8月の、大統領の任期4年延長の、道を開くものであると批判している。「制憲議会招集のプロセスは、1991年憲法を変更するものではなく、権力に留まるためのものでもない」、大統領は、3月18日、Xで答えた。

 

コロンビアでは大統領の再選が、アルバロ・ウリベ(2002-2010)とフアン・マヌエル・サントス(2010-2018)の時代には認められていた。しかし2015年、再び排除された。大統領は日刊紙『エル・ティエンポ』とのインタビューでは、微妙な発言になっており、改革は実際に、いくつかの重要な点で「緊急に注意が必要」と強調している。

 

これらの点には、2016年にゲリラ組織FARCの武装解除に繋がった和平協定の実施、農地改革の加速化、司法制度の改正、気候変動問題、脱炭素化の経済などが含まれる。コロンビアにおける最大の犯罪組織、「クラン・デル・ゴルフォ」は、3月19日、和平合意のための「法的交渉」をおこなう、政府の提案を受け入れると発表した。

(通算4043) (Pagina12の"Petro defendio su proyecto de convocar una asamblea constituyente"による)

 

(foto:Europa Press)

メキシコ与党の大統領候補、クラウディア・シェインバウムが、6月2日に予定されている選挙で58%の投票意向で、ライバル候補にたいして20%以上の差で優位に立っていることが明らかになった。3月19日、日刊紙『レフォルマ』が世論調査結果を発表した。

 

与党「国民再生運動」(Morena)のシェインバウムは、2位につけている野党連合「メキシコの心と力」のソチトゥル・ガルベス候補の34%にたいして、24ポイントのリードになっている。もう一方の野党、「市民運動」(MC)のホルヘ・アルバレス・マイネスは、8%の支持である。

 

今回の『レフォルマ』のアンケートは、3月1日に選挙戦が公式にスタートしてから、同紙がおこなった最初の世論調査結果になる。12月におこなわれた調査では、シェインバウムが54%、ガルベスが29%を獲得していたが、このときMCの候補者はヌエボ・レオン州のサムエル・ガルシア知事で、17%の支持を得ていた。

 

世論調査の詳細

 

誰を支持しているかは別にして、有権者のほとんど3分の2の、65%の人が、与党候補者が勝利すると考えている。またシェインバウムにたいしては64%の人が「非常に良い/良い」と考えており、「非常に悪い/悪い」はわずかに14%である。これにたいしガルベスにたいしては、38%の有権者が良い印象を持っており、悪い印象は26%である。マイネスの場合は、かれを知らないという有権者が54%もいて、良い印象は22%、悪い印象は13%であった。

 

議会選挙では与党陣営のモレナが46%、メキシコ・エコロジスト緑の党(PVEM)が6%、労働党(PT)が4%と、アンドレス・マヌエル・ロペス・オブラドル大統領を支持する政党が、56%を得ている。野党では、国民行動党(PAN)と制度的革命党(PRI)がそれぞれ15%、民主的革命党(PRD)が4%で、この野党連合は34%の支持である。MCについては8%、無所属の候補者は、2%である。

 

メキシコでは6月2日に、史上最大規模の選挙がおこなわれ、その有権者数は9700万人、20,375の職務が選出される。これには共和国大統領、下院議員500人、上院議員128人、9人の州知事が含まれる。

 

移民問題

 

この世論調査結果が発表された日、シェインバウムは国境の街、タマリパス州レイノサを訪問、もしも選挙に勝利したならば、米国での大統領選挙で誰が勝利するにかかわらず、協力していくことを約束した。「トランプかバイデンか、誰が大統領に選ばれようとも、かれら(米国人)が誰を大統領に選ぼうとも、わたしたちはかれに歩み寄って、わたしたちが移民問題の全般的な解決と考えること、それは発展のための協力であることを、主張していきます」、記者会見のなかで述べた。

 

モレナの候補は、彼女がメキシコ大統領に選ばれたならば、国境地帯の移民にたいして、かれらが人道的な扱いを受けられるように、支援していくと話した。「わたしたちは移民への支援をおこないますが、根本的な解決は、移民を生み出さないことだと主張し続けます」と説明し、そのために北の隣国と発展のために協力していくことが、主要な移民政策であると強調した。

 

ここ数年間のあいだのこの地域におけるかつてない移民の増加は、この問題を選挙の大きなテーマにした。2023年のメキシコにおける非正規移民は77%増加し、78万2000人が摘発されている。米国当局、国境警備税関事務所(CBP)の発表によると、メキシコ国境での非正規移民の逮捕者は、今年1月には12月と比較して50%減少し、124,220人であった。

 

「協力はするが、従属はしない」

 

シェインバウムが選挙戦のなかで、移民問題について語ったのは、これが初めてではない。3月3日には、トランプとバイデンにたいして、移民問題を米国大統領選挙でのテーマにしないように要請した。「移民問題を米国の選挙での、主要なテーマとして利用しないでもらいたい。とりわけメキシコ人にたいする問題として」、彼女はシウダ・フアレスでの記者会見で指摘した。

 

これより2日前、調査で最大の支持を得ていた候補者、シェインバウムはメキシコの主要な広場ソカロで集会を開催し、数万人の支持者を前に演説した。メキシコは米国の最大の貿易相手国であって、彼女の政府は、米国から「尊重」されなければならない。「つねにわたしたちは、協力のための善き意志を持っているが、それは同時に主権が尊重されるよう、要求するものです。協力はシーで、従属はノーです。頭を下げることは決してありません」、シェインバウムは強調した。

 

メキシコのアンドレス・マヌエル・ロペス・オブラドル大統領に、20年間従ってきた彼女は、メキシコの外交政策について、憲法の原則を引き続き堅持するものであると表明した。「自決、不干渉、友愛」である。この内容によって、メキシコはロシアのウクライナ侵略にたいしても、中立を宣言している。

(通算4042) (Pagina12の"Sheinbaum lidera las encuestas"による)

 

(foto:EFE)

極右のハビエル・ミレイが大統領に就任してから100日が経過した。アルゼンチンの政治、経済、社会の状況は耐えがたいまでに極度に悪化し、3月18日には、ブエノスアイレス州のペロニスタの知事、アレクセル・キシショフと衝突した。かれは労働者の賃金を引上げたのだが、大統領が「税金を払うな」と、税金の反乱を呼び掛けたことを批判した。それはもっとも裕福な企業に、もっとも力のある田舎の農牧業者に、大資産の不動産業に向けられたものであった。

 

ミレイとかれにもっとも近い同盟者の一人、ホセ・ルイス・エスペルトにたいする、最初の弾劾裁判の要求は、すでに提出されている。

 

社会運動体は、「飢餓は待ってくれない」をスローガンに、「全国ピケット」を招集、全国500カ所でデモ行進、動員、道路封鎖をおこなった。

 

数千人の人々が、政府のもっとも貧しい人たちにたいする措置に抗議した。そして民衆食堂への食料の提供を要求した。そこにはますます多くの失業者が、低賃金のため、月末まで食費が持たない人々が詰めかけている。

 

弾圧が時間をおくことはなかった。すでに行進が開始されたプイレドン橋、首都とブエノスアイレス州を分けている地点には、パトリシア・ブルリチ治安相によって派遣された警察部隊が、首都への進出を阻止すべく、待ち構えていた。首都へのもう一つの入り口である、サアベドラ橋においても、デモ隊は弾圧された。

 

平和的なデモだったにもかかわらず、すぐさま押し合いが始まり、警察部隊は胡椒ガスを使用し、ジャーナリストを含む多くのものが犠牲者となり、ゴム弾を頭部に直接的に狙うことによって、負傷者がうまれた。

 

いつものように治安相は、デモ参加者にたいしては、社会保障の権利が剥奪されると脅したが、これは脅迫、恫喝の類いであると思われる。

 

「労働者の軸」(PO)の指導者、エドゥアルド・ベリボイネは、政府の脅迫を否定し、動員に参加する権利を、いかなるものも妨げることはできないと強調した。「この政府も、いかなる政府であっても、民主主義の自由を侵すことはできない」と述べた。

 

議会が決定した法律、不動産、大土地所有者などの富裕層への税金に、ミレイが発表した決定は「税金の反乱」というもので、キシショフはこれを受け入れられない、違法なものと警告した。

 

ブエノスアイレス州選出のホセ・ルイス・エスペルト下院議員が、選択的「税金の反乱」を呼び掛けたことにたいして、ブエノスアイレス当局に損出を与えるものと、グスタボ・プルティ議員は、刑事告発と「弾劾裁判の開始」を提案した。これにはミレイもまた含まれる可能性がある。

 

別の問題では、ミレイは米軍のパラナ-パラグアイ水路への、進入を許可したのだが、これは国家の主権を侵害するものとして、キシシェフはこれを拒否した。キシショフはブエノスアイレス州の知らないところで、米軍工兵部隊と合意した内容について、港湾局(AGP)に情報を要求した。

 

AGPによると、これは情報交換と水路管理での協力プロセスであり、それには水路における米軍の存在は認められるもので、これにはアルゼンチンの輸出品のほとんどすべてが通過する。

(通算4041) (La JornadaのStella Calloniの"A 100 dias de Milei, se agudiza crisis en Argentina"による )

 

(foto:AFP)