5月5日、数万人の人々が、多くは若者たちが、8日間連続での抗議行動を、コロンビアの主要都市でおこなった。これは警察による弾圧の中止、COVID-19のパンデミックの影響による経済危機のなかで、人民にたいする社会政策を要求する、新たな全国ストライキに合流するものでもある。この1週間で数十人の犠牲者がうまれている。

 

イバン・ドゥケ大統領が財政改革法案の撤回、全国対話の用意があることを表明したにもかかわらず、全国ストライキ委員会(CNP)の呼びかけに答えて、学生、労働組合、先住民、人権擁護団体、そのほかの人民セクターは、首都のいくつもの場所から中心部、大統領宮殿に隣接するボリバル広場に向けての平和的行進をおこなった。医療や教育のより良き条件をスローガンとしてアピールした。

 

平和的抗議行動に連帯して、しばしばカセロラッソ[鍋叩き]がおこなわれる地区のウェイ公園で、パディジャ提督の記念碑の前、ボゴタ・フィルハーモニー・オーケストラが米国人アーロン・コプランドの「普通の人のためのファンファーレ」を演奏した。

 

抗議行動のあいだ、エンカプチャドス[覆面をした人々]は、議会に侵入しようとして騒乱鎮圧機動部隊(Esmad)と衝突、催涙ガスによって追い返された。

 

「若者たちは広場で柵を壊し、Esmadが介入する。この悪しきサイクルは終わらせなければならない。そこにいる議員たち、ストを呼びかけた人は外に出てきて、若者たちと対話をおこない、仲介の手段を取って衝突を終わらせてほしい」、ボゴタのクラウディア・ロペス市長はツイッターに書いた。

 

首都の暴力事象は5月4日夜になって、デモ参加者と警察との衝突が増加するにつれて拡大していった。ロペスは19カ所の即時対応センター(CAI、交番)が攻撃、略奪されたと報告している。同時にソーシャルネット上では、警察による過剰暴力、一斉検挙が告発されている。

 

重大な行動の一つは、ウスメ地区のアウロラのCAIが放火され、10人の警察官が炎から逃れ、そのうち何人かは負傷した。市長は国防省に交番と即時対応本部(URI、警察署)の防衛を要請した。そこには約2,825人の被逮捕者が拘束されている。この事象は人々にたいし、街の軍事化の可能性の恐れをうんでいる。

 

ロペスの発表の数時間後、警察の軍用ヘリコプター、ブラック・ホークがボゴタのいくつかの場所に着陸した。そのうちの一つ、南部のクラレティアノ・デ・ボサの学校に着陸したのが、ビデオと写真によってソーシャルネットによって確認された。

 

市長は5月5日、「ボゴタの軍事化は現在も将来もない」とツイートした。「警察のヘリコプター、ホークは、スバ、ボサ、ケネディ地区への物量輸送を助けるために到着したので、そこでは負傷した警官を輸送する必要があった」、と強調した。首都政府は、5月4日夜の負傷者は91人で、市民が72人、警官が19人と発表している;また公共交通は5月5日午後3時までに60%の能力となっており、駅の35%が破壊された」。

 

イバン・ドゥケ大統領はコロンビア全土の公共秩序の、困難な状態を終息させるために、非常事態宣言(el estado de conmocion interior)の布告もあり得ると述べたが、国際社会は、抗議行動にたいする治安部隊の行き過ぎにたいして、厳しい視線を向けている。

 

大統領は、「われわれが見ている都市のテロリズムは、麻薬組織のマフィアにつながり、資金提供されており」、したがって1000万コロンビアペソを支出して、「協力者が、蛮行をおこなう犯人の身元を明らかにし、逮捕する」ようにすると主張する。

 

抗議行動は大統領が税制改革を撤回したのちも継続しており、護民官によると、4月28日から死者は28人となっているが、NGOのテンブロレスによると数字は37人と増える。

 

元ゲリラの政党、コムネス[旧FARC]のセルヒオ・マリン下院議員は、政府は非常事態宣言をおこなおうとしていると警告する。危機の解決のために、「権力にさらなる権力を与えては、人民を軍事力で弾圧させてはならない」と強調する。

 

カリ、抗議行動と衝突のフォコとなっている都市では、数千人の先住民が全国ストに加わり、手に持つ杖を振って「抵抗を」と叫んだ。当局と抗議行動側は、燃料、食料、COVID-19への薬品を、街に供給するために、人道的回路を設定することに合意した。

 

メデジンでは街頭において、音楽、演劇、反政府の演説で、群衆が沸き上がった。抗議の行進はコロンビアの多くの場所に拡大している。メタ、アンティオキア、サンタンデル、バジェデカウカ、ボヤカ、クンディナマルカ、トリマ、そしてカリブ地方の各県において、運転手たちの情報によると、道路は封鎖されたままである。ドゥケがかれらの要求を受け入れないかぎり、封鎖は解除されないという。

 

キューバ、ウルグアイ、チリ、エクアドル、アルゼンチン、ペルー、コスタリカの首都において数百人が行進をおこなったが、かれらの多くはコロンビア人たちで、ドゥケの政府と改革にたいして反対を表明した。

 

コロンビアの20以上のNGO団体、そのなかでもミンガ協会(AM)、オルランド・ファルス・ボルダ法律家団体(CSOFB)が先頭に立って、米州人権委員会(CIDH)にたいして、「この3年間におこなわれた抗議行動への、治安部隊によって犯された人権侵害を捜査する特別チーム」の結成を要請した。

 

こうしたなかエクアドルのレニン・モレノ大統領は、ベネズエラのニコラス・マドゥロ大統領が、ドゥケにたいする抗議行動に介入したという疑いを、何の根拠もなく主張した。この指摘にたいしては、ボリバリアノ外相、ホルヘ・アレアサが否定をおこなっている。

(通算3280) (La Jornadaによる)

 

(ボゴタ市内、機動隊と衝突する。foto:AP)