昨日の明けは図書館に寄り、フランスの哲学者ジャック・ドントの『ヘーゲル伝』という分厚い本を借りました。


そろそろヘーゲルは中断しようというのに、なぜ借りたかというと、ちょいと手に取ったら、こんな書き出しで始まっていたからです。


「ヘーゲルは、物事を逆向きに考える人間である」


この2ヶ月ほどヘーゲルに触れて、一番感じたのはこのことですが、それについてのうまい解説がいまだに見つかりません。たぶん、この本もそうでしょう。だから、ヘーゲルは謎なのです。


ヘーゲルは『歴史哲学』という本の中で、フランス革命の時代を「世界の上に思想ではなく、思想の上の世界をおいた」頭で逆立ちしていた時代と書いていますが、それでなのかマルクス・エンゲルスは、ヘーゲルの弁証法は観念論で「逆立ち」しているので、それを唯物論の立場からひっくり返したのが自分たちの唯物弁証法だとしました。


ただ、この逆立ちは逆向きとは違うでしょう。ヘーゲルの思考が逆向きである理由は恐らく、事実としての歴史(つまり今ある現実)の妥当性を説明するために、弁証法を時間的に逆向きに使用するからです。先に答えがあり、それに合わせて質問を作るようなもので、当然ながら現実世界の全ては、弁証法で説明可能となります。


つまり、ヘーゲル弁証法は正反合で未来を切り開くノウハウなどではなく、歴史を後から合理的に説明する理論だということ。では、何故そんなものに価値があるのか。そこのところが興味深く、Kindle本の一冊でも書いてみようかと思ったところで、残念ながら時間切れのようです。


別のこと(特許)をやりながら本を書くのは私の場合無理なので、インプットのほうは続けて、来年アウトプットしようと思います。