私が子供の頃
『野犬狩り』『猫泥棒』
という言葉がありました。
野犬狩
●保健所のトラックがやってきて
鑑札をしていない野良犬を捕まえ
トラックの檻に入れ連れて行く
猫泥棒
●飼い猫がいなくなると
お三味線屋さんに皮を売る
猫泥棒に連れていかれた
と、言われたんですよ
どちらも幼心に
『恐怖』なお話しでした。
真夜中のひととき☆3話
最終電車が通りすぎる0時前
ふうちゃんを抱っこし
バルコニーから覗いてみたら
グーンとカーブした線路に
オレンジ色の明かりの電車が
進んで行く
高層のバルコニーから
終着駅が見えたんです
……
終着駅は苦手だ
駅の奥の方に見える
山林の暗闇も苦手だ
田舎の暗闇はもっと苦手だった
……
子供の頃
父の選挙のたびに
母方の祖父母の家に
預けられていました
ガラ~ンとした
だだっ広い和風の家で
襖いっぱいに
『虎の絵』が描いてあったんです
真夜中に目が覚めると
虎が暗闇の中で目を剥いて
こう言ったんですよ
犬と猫 どちらが嫌いだ?
「……」
犬と猫 どちらが好きだ?
「…犬」
選挙が終わり、自宅に戻ると
飼っていた猫の『みい』が
いなくなっていたんです
『みい』は弟が拾ってきて
可愛がっていたので
2人で探していたら
「人懐こい子だから
猫泥棒に捕まって
お三味線の皮になってる」
って近所の人に言われて
!!
あの夜、襖の虎に
犬が好きと答えたから
私のせいだ…と思ったんです
……
あれ以来
家に猫は長居しなくて
命あるものを
選別したから?
外はまだ群青色の空
ビルの谷間に
オレンジ色の朝日を見つけた時
やっぱりねって確信したんです
私は犬が好きです!
ふうちゃんが大好きです!
ー後記ー
邦楽家の友人に聞いたら
猫の…そういう
お三味線があったようです
ちなみに彼は
『鼓』の名取三代目なのですが
『鼓』の皮も動物の物だそうです
ふうちゃんの毎日
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