普通普通というけれど、普通が一番難しい。
普段の何気ない日常って、どれだけ尊いものか。
大切な人や物を失った時に気づく。
そして、時間が経つと、また忘れる。
で、またそんな時がやって来て気付く。
人生ってそんな繰り返し。
毎日そばにいてくれる家族、友人に感謝。

via Benita Gomez SIMPLE LIFE
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旦那さんの会社で働いていたときの先輩からメールが来た。


「あけましておめでとうございます。

 今年こそいい年になりますように。」































私、毎年幸せやし。

7月19日(日)午前6時7分 3500g 男の子 誕生


予定日は7月24日のはずだったのに、24日に退院した。笑





ことの始まりは18日の夕方。

休日と言うこともあり、旦那さんとゴロゴロ寝室でくつろいでいた。



ふと、トイレに行った。



出血が・・・・・




旦那さんを大声で呼んだ。




・・・・・・・・無反応




何度も呼んだ



・・・・・・・・無反応





痺れを切らせて旦那さんのところまで行き


爆睡中の旦那さんを起こした。



「おしるしっ」





とはいえ、予定日は24日だ。


おしるしがあったからといって、直ぐに生まれるとも限らない。


最初は余裕だったが、なんとなく二人ともそわそわし始めた。




『いつくるかもわからない』と言うことで、あわててシャワーを浴びた。



だんだん疑問が心配になり始めた。


おしるしって説明文書では・・・・


「おりものに混じった少量の出血」


少量・・・

少量・・・

少量・・・・・・・





”これ。生理2日目の量やで・・・”



あわてて入院準備を再確認した。

何を思ったのか、旦那さんにヨガのヒーローのポーズの披露もした。

それでも、べつにお腹がめちゃくちゃ痛いと言うわけでもなく・・・



日が暮れて、あることを思い出した。



「おしるしが来てからは何を食べてもいい」



ダーリンは外国人 with baby

で書いてあった。 (結婚当初からダーリン・・・のファンで全巻持ってる)



「ピザが食べたい。」




妊娠中ずっと我慢していたから。



夜20時ごろ、旦那さんのPCでの作業が終わるのを

マタニティ本を読みながら待ちピザを注文しようとしていたところ

先ほどの不安がまた頭によぎった。



出血量多いよね・・・




ちょっと・・・電話して聞いてみよっか・・・





病院に電話した。





「あのぉ・・・出血量が多いんですけど、別に陣痛が来たわけでもなく・・・」


「お腹は痛い?」


「生理痛のような鈍痛はちょっとありますけど・・・」


「そう・・・じゃぁ・・・ちょっと来てもらおうかなぁ・・・機械つけてみてみよっか」


「あ、行くんですね・・・汗 何持って行ったらいいですか?」


「入院準備を持ってきてください」


”にゅ、入院準備・・・”


「はい・・・わかりました」



20分後、入院準備を持って夜間の病院に行った。



「ピザ・・・食べたかった。。。でも、帰れるはず」


「ごめんね・・・宇宙人がPCで作業してたから・・・」


そんな会話を交わしながらナースステーションに向かった。




ナースステーションは誰もいなかった。


どうやら、出産ラッシュのようで、看護師さん、助産師さんは大忙し。


「すみませ~ん」


やっと入ってきた看護師さんに声をかけると


「ちょっと待ってくださいねー」


と突き放された。


”え?これが陣痛中やったら我慢できひんでっ怒”



しばらくしてから、看護師さんに陣痛室へ通された。


見学したことがあったが、狭い場所だ。

産まれる直前までこの狭い部屋にいるんだ。。。


プチ閉所恐怖症のbenitaには苦痛の部屋だ。



機械をつけてもらい、40分間赤ちゃんの心音と動きを確認した。


内診してもらい、子宮口はまだ開いていないということだった。



「赤ちゃんに異常もなくて元気だし、陣痛らしき波はないから

 今日は家に帰ってもらおうか。家近いのよね?なんかあったら

 また連絡もらえる?」




”やっぱり帰れるんやん”


ちょっとうれしかった。


なにやかにやと、忘れ物を思い出していたし

なにより、ピザが食べたかった。




ところが、帰る間際に急に腹痛が・・・


内診が引き金になった様子。




「なんか・・・痛いんですけど、これは前駆陣痛ですか?」


「うーん、陣痛来てないしねぇ・・・違うんじゃない?」






そっか・・・


でも痛いねんけど・・・





帰り道、ピザ屋さんに寄り、テイクアウトでピザを買って帰った。


ピザが出来上がるのを待っている最中、だんだん強い痛みが

襲ってくる。


規則的じゃないのよね・・・





家に着いて、旦那さんがあれやこれやと食べる用意をしてくれていた。


けれど、この痛み・・・




『いつ陣痛になるか判らない・・・・・』





「ごめんやけど先に食べとくね」




そう言って念願のピザを口にした。




「うんまぁ~いはぁとv




幸せハート






と思っていたら、痛みが襲ってきた。






しかも



だんだん規則的に痛みがやってくる。



痛みをこらえながらもまだ食べれると思い、がっつく笑



でも、とうとう限界がきた笑



痛い・・・・・





午前0時頃には15分間隔→7分間隔

午前1時頃には5分間隔





とうとう意を決して病院に再度連絡を入れた。




「これ・・・違うかったらどうしようとは思ったんですけど・・・笑」


「ははは、ま、そのときはそのときで、とりあえず来て下さい」




再び、用意して病院に向かった。





ナースステーションに行ったら、さっき「帰っていいよ」と言われた

助産師さんがつらそうにしているbenitaの背中をさすってくれた。



再び内診をしてもらうと、子宮口は2センチ開いていた。


そして、機械を付けてみると、5分間隔で陣痛が続いている。



「いい陣痛が来てるね」



”いい陣痛?そんなんあるんや”




その助産師さんの予想では、初産婦のbenitaのことなので

おそらく12.3時間はかかるはずとのことだった。


旦那さんは、テンパっていたので、散々用意していた

ザクティやカメラ類を忘れてきていたのに気づき


「そんなに掛かるんだったら一度帰ろうかなぁ」


と言い出した。



内心、”こんな痛みのサイクル、一人で耐えるんかっ”


とも思ったが、カメラオタクの旦那さんとしたことが

忘れるなんて相当テンパってたんだろうと思い

寂しさと心細さを殺して帰ることを薦めた。





ところが、短時間で陣痛の間隔が狭まってきた。



痛みもだんだん強くなってきた。




「やっぱり宇宙人、おる。」




献身的に陣痛が襲ってくるたびに、仙骨を力いっぱい押してくれた。





助産師さんがびっくりしていた。




「あらあら、思いのほか早く進んでるわね」



「もう5センチ開いてるわ」




だんだんコントロール不可能な痛みが襲ってき始めた。



『生理痛が酷い人は、陣痛の痛みをそんなに痛いと感じない』と

聞いていた。


ヨガで呼吸法を習っていたし、もともと腹式呼吸得意なbenitaは

陣痛の痛みなんて余裕だと舐めていた。




「ふぅ~ふぅ~」


の声が、だんだん悲鳴になってくる。



旦那さんの手を握る力も、相当なものだろう・・・と思っていたが


後日談、旦那さんは、「手がつぶれるかと思うくらいの力だった宇宙人」と

吐露してくれた笑



陣痛が2分間隔になり、だんだんいきみたくなってきた。



トイレに行くと、トイレで産まれるんじゃないかと思うくらいきみそうになる。


自分でも驚くほど悲鳴を上げていた。



陣痛が来るたびに出る声も尋常じゃなくなってきたので

助産師さんが再び内診に入ってくれた。



「いきみたい?あぁ、もう7センチくらい開いてるわ。じゃ、いきんじゃおうか

 思い切りいきんでみ?」



思い切りいきんでみた。


”あ~これですよ。”



「いきんだら楽?」


声が出せず、必死でうなずいた。





「分娩室行こうか。」




うなずく。





廊下に出された旦那さんは、助産師さんの



「分娩室入りまーす」



の声に驚いたらしい。






12.3時間かかると言われていたのに


病院に入ってわずか5時間ほどで分娩室へ。




助産師さんたちが準備している間

benitaはいきんではだめらしい。



でも、いきまずにいられないのだ。

せっかく収まっていたのに、陣痛が来たときに




「移動しましょう」



と言われた。



いきみそうになっているbenitaに、助産師さんは



「ねぇ、聞いて、今はいきまないで。ね、言うこと聞いて」



と言われた。



”そんなご無理を・・・汗”



分娩台まで意識朦朧としながら必死で歩いた。

分娩台にあがるのもやっとなのに、シートを下に敷くので腰を上げろ

と言う。



”いやいやいや、無理ですから”




本当に、無茶ばっかり言われながら、やっと準備が完了した。




「さぁ、息を整えて、思い切り長めにいきんで」





両手は取っ手を握り、腕を広げていきまないといけないとのことだ。




『これは何のトレーニングなんだ』





いきんでもいきんでも出てこない息子。




「そうそう、うまいうまい。方向合ってますよ」





ほめられても出てこない息子。



いきんでる間中、旦那さんは献身的にbenitaの尋常じゃない量の

汗をぬぐってくれていた。



「今どんな状態なんですか?」



陣痛が落ち着いたときに聞いた。



「いきんだら頭見えてるよ。もう直ぐやからがんばって!」




「無理~汗


「もうやめる~」


「もういややぁ~」


「カンシとか、バキュームで取り出せないんですか?」



と無茶なことを口走っていた。



「そんな危ないことしないよ。せっかく赤ちゃん出てきてるんだから。

 がんばって!」



「無理~汗




酸素の管を鼻に当てられ



「鼻でいっぱい息吸って赤ちゃんに酸素を送ってあげて」



はっきり言ってそれどころではない。





意識が朦朧としている中、担当の助産師さんがほかのメンバーに



「まだまだ掛かりそうだから、ご飯食べてきて」


と声をかけた。




”え?そんな余裕でいいんですか?”





本当にほかのスタッフはご飯を食べに分娩室を後にした。




「はい、がんばって。もう少しだから」




仕方がない。早くこの辛い状態から抜け出したい。




必死でいきんだ。








ご飯を食べ終わったほかのスタッフが帰ってきた。





「先生呼んで」





”ていうことは、いよいよか?”






そう思っているところ、先生がやってきた。





助産師さんと先生の会話が聞こえてきた。




「狭いんですよね~」


「ほんまやなぁ、切ろうか」






”きる?”





恐れていた事態が現実になった。



会陰切開。参考




麻酔もかけずに、じょきじょきはさみで切り始めた。






『陣痛の痛みで、それどころじゃないよ』




どこかの誰かが口をそろえて言っていた。








痛いがな。






「無理ぃ~」


「もう嫌やぁ~」




ずっと叫んでいた。






旦那さんも、助産師さんも、先生も笑いながら




「がんばって!」





励まし続けてくれた。



痛いのには違いない傷口を通って


とある瞬間、大きな塊が外に出てきた。








「おぎゃあ~おぎゃぁ~」







産まれた。





「頭でかいなぁ~」




先生がびっくりしていた。






3500g





今の子はみんな小さく生まれてくる中、息子ちゃんは




でかかった。


しかも出産予定日6日前





そりゃ、切らなあかんわな。



「痛いの終わったぁ~」





全員爆笑。









benitaは出産シーンをもっと感動するものだと思っていた。



旦那さんと抱き合い、涙涙の感動シーンを想像していた。








現実は・・・







とんだおもしろ現場になっていた。




もちろん、カンガルーケアもしてもらったが、その間も


切ったところを長々と縫い続けられていたので



痛さと、眠たさと、疲労困憊で感動どころではない。




「はいはい、どうもどうも」



と言う感じで、息子ちゃんと対面した。




息子ちゃんは早々と沐浴してもらいにどこかに連れて行かれ




benitaはずっと縫い続けられていた。





やっと終わったと思ったら、分娩台で息子ちゃんに初授乳。



そんなこんなで、最初は息子ちゃんに対する愛情というものは

まるで皆無に等しかった。






入院し、授乳の時間に対面するたび、息子ちゃんに対する愛情が

溢れんばかりに沸いてきた。




benitaにそっくりな顔。


benitaと全く同じしぐさ。




あんなに痛い思いをして産んだ子。

この子を何が何でも守らないと。



という気持ちがこみ上げてきた。




退院し、毎日が戦争だ。




息子ちゃんは生まれて間もないのに、ミルクを良く飲む。

入院中、違う助産師さんや看護師さんに会うたびに


「この人はよく飲む人だから・・・」


と言われた。






退院するときも


「ミルク買ってね」



と、何度も念を押された。




本当に良く飲む。


今さっき寝たと思ったら、お腹がすいたとすぐに泣いて起きる。




でも、泣いても、おしっこしても、うんちしても



本当に愛しくてたまらない。



この子はどんな人生を送るんだろう。。。



この子の人生を生かすも殺すも、親であるbenitaの責任。



親になるということ。



なんか深くてむずかしいなぁ。。。


マタニティブルーで、心身的に不安定で、昨晩も旦那さんに抱きついて

わんわん泣いた。


落ち着くまで、そう遠くないと思うけど。



いろいろ、大変なこともどんどん出てくると思う。

旦那さんと教育のことで喧嘩することもあると思う。

今は無防備で、小さな小さな命だけど、

だんだん生意気になって、反抗期になって、結婚して

お嫁さんの物になってしまうんだろうな・・・





でも・・・




今本当に、心から思っている。





生まれてきてくれて、ありがとう。