(3)反社会的不動産業者との闘い 11.被告第2準備書面 | 地球一人旅

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 11.被告第2準備書面
 

 10月27日に裁判所に提出した、ぼく(被告)の第2準備書面です。

 

被告は以下のとおり主張する

第1 「追い出し電話」の概要、その時の被告の思いは以下のとおり。


 1 転売のため、被告を追い出す目的の電話だった。


   「原告担当者」は、原告が被告の住む部屋の新所有者となり、「〇〇」が行
  っていた管理の仕事もすることになったと告げ、「住んでいて不便な点、困っ
  ていること」を尋ねてきた。被告は、ケーブル配管とエアコンの修繕を要望し
  た(配管が詰まりネット用光ファイバーが部屋まで引けない問題、エアコンが
  温度を一定に保てない問題が発生し困っていた)。
   「それなら、この際、引っ越しては」と担当者は言い、今すぐ引っ越す「特
  典」を次々提示した。「引っ越し費用全額負担」「敷金全額返還(普通は1円
  も返らないが今なら)」「立ち退き料も払う」。明らかに、事前に準備してお
  り、最初から、被告を「追い出す」目的で電話してきたと気づいた。
   被告は、引っ越す気は無かったが、少し探ってみようと、「少し考えさせて
  もらえませんか、でも、自分が来月引っ越したとして、すぐ入居者がみつかる
  もんですか」と質問した(10年前の家賃の被告を追い出し、最近の高い家賃で貸すつも

   りかと思い)。担当者は「貸すのでなく売るんですよ、事務所用に買いたいとの

  申し出が、もう2件来てるんで」と打ち明けてきた。
   被告は、自分を追い出す前提で、そこまで話が進んでいることに驚き呆れ、
  不快に感じるとともに、この不動産企業が所有者になった目的は「転売利益」
  であり、儲けるためには被告を追い出すことが「絶対必要条件」と知り、「引
  っ越しを断って、無事に済むのだろうか」と不安になった。


 2 新しい家賃支払い方法「月末振り込み」を指示してきた。

 
   通話の最後に、担当者は、家賃は原告指定の銀行口座(銀行名等は言わず)
  に振り込むよう言ってきた。被告は「今まで通り、ゆうちょ銀行口座から引き
  落として欲しい」「毎月振り込むのは面倒で、忘れる危険もある(高齢者で物
  忘れひどし)、数百円とはいえ手数料がかかり、実質家賃値上げになる」と強
  く主張した。担当者は、振り込み希望理由を言わず、譲ってもこず、結局「検
  討する」で終わった。被告は、この時点では、「引き落とせない理由は言わな
  かったので、結局、引き落としにしてくれるだろう」などと軽く考えていた。



第2 「追い出し電話」は被告の「居住移転の自由」の侵害にあたる。


   原告担当者は、被告が配管とエアコンの修繕を求めた際、それに応じず、引
  っ越しを促した。設備の修繕は賃貸人の義務であるのに、実質、修繕を拒否し
  たのだ。このことが、「引っ越しを断った場合、配管やエアコンの修繕は望め
  まい」との不安に被告を陥れた。また、給湯器故障(40年前の製品で入居後3度

   故障、「また故障したら新品交換検討」の約束あり)の場合、さすがに修繕拒否はすま

  いが、追い出したいので、意図的に修繕を遅らせ、真冬に湯なし風呂なし生活

  を強いる等もしかねないと不安になった。
   さらに、「敷金は1円も返らない」発言も被告を不安に陥れた。なぜなら、
  「敷金は故意または重大な過失がない限り全額返還」との入居時口頭確認があ
  ったのに(入居仲介の「〇〇〇〇」が「〇〇」と交渉し、とりつけてくれた)、この発言

  は、実質、「口約束は守らない」宣言に等しいので(「家賃支払いは引き落とし」

   も口約束、他に「ネット接続工事は事前許可なく、壁に穴を開ける等してよい」もあり)。
   要するに、担当者は一方で被告を「不安」に陥れ、一方で「エサ」をちらつ
  かせ、「引っ越さないと何かと不安なことになる、でも、今、引っ越せば立ち
  退き料がもらえる、さあ、あなたの選択はどっち」的二者択一を迫り、「嫌が
  らせされて追い出されるぐらいなら、今すぐ引っ越すほうが得では」的誤判断
  に誘導する「悪徳商法の典型的手口」で追い出そうとしたのだ。つまり、引っ
  越しを実質、強いており、まぎれもなく「追い出し」であり、被告の「居住移
  転の自由」の侵害にあたる。



第3 原告主張「追い出しでなく御提案」は欺瞞である。


   「御提案であり、追い出しとの評価については争う」などという原告主張に
  は、無理がある。なぜなら、原告は「追い出し電話」とセットで「被告居住を
  隠した売り広告」も出していたのだから(電話の数日後に、不動産情報サイト「アッ

   トホーム」で、被告が発見)
   この広告は、被告居住を隠し、「事務所利用可」としていたが、まだ被告を
  追い出せてないので、事務所利用不可能であり、「虚偽広告」だ。「宅地建物
  取引業法」32条「誇大広告等の禁止」、31条1項「信義誠実義務」等違反
  の「コンプライアンス違反広告」なのだ。
   「追い出し電話」は、単独にではなく、この広告との関係性もふまえて「評
  価」しなければならない。つまり、このコンプライアンス違反を犯してまで出
  した広告は、被告を追い出さない限りは成立せず、追い出さずに売れば完全詐
  欺になってしまうので、「追い出し」は「絶対必要条件」であり、「追い出し
  電話」は「必要不可欠な一環」なのだ。こうした切実な意味をもつ行為を、単
  なる「御提案」などと主張することは、欺瞞だ。
   さらに、「被告が早い段階で御提案を断ったので、すぐ諦めた」との原告主
  張にも無理がある。なぜなら、この広告は、約半年間も掲載され続けていたの
  だから。この事実がまた、単なる「御提案」ではないことをも、証している。
  (当初は、原告代表も「追い出し」と「評価」し、「なかったことにしてほしい」と言ってい

   たのに、今になって、単なる「ご提案」は、欺瞞の極み)

第4 本件は、最高裁判例(昭和46年4月23日判決)の「特段の事情のある場合」、

  東京地裁判例(平成4年1月16日判決)の「著しく賃借人の利益を害する場合」

  「新所有者に対してその賃貸人としての地位を否定して賃借人としての義務の

  履行を拒むことができる」場合に該当する。ゆえに、訴状の「賃料滞納」根拠

  の請求は成立せず、無効であり、棄却されるべきである。


 1 本件は最高裁判例の「特段の事情のある場合」に該当する。


   訴状の大前提「原告が新所有者となり、賃貸借契約を自動的に継承し、被告
  に原告への賃料支払い義務発生」の法的根拠は、最高裁判例(昭和46年4月23

   日判決)であろう(原告が所有者になったのは改正民法施行前)。この判例には、確か

  に、「新所有者が旧所有者の賃貸人としての権利義務を承継するには、賃借人

  の承諾を必要とせず」とあるが「特段の事情のある場合を除き」との但し書き

  がある。本件は、この「特段の事情のある場合」に該当する。
     なぜなら、本件原告が所有者になった目的が、被告を追い出しての転売利益
  であったことは、所有者になるや断行した一連の行動から明らかだ。ゆえに、
  本件は、最高裁判例が想定する「旧所有者の賃貸借契約を承継し賃料収入を得
  る目的で新所有者となり、賃借人の不利益にならないので、賃借人の承諾不要
  の場合」とは明らかに異なる。つまり、本件は、「通常のオーナーチェンジの
  場合」ではなく、まさに「特段の事情のある場合」なのだ。


 2 本件は東京地裁判例の「著しく賃借人の利益を害する場合」に該当する。


   この最高裁判例には「特段の事情のある場合」の具体的説明はないが、東京
  地裁判例(平成4年1月16日判決)には例示があり、そのなかに、「著しく賃借

  人の利益を害する場合には、例外的に、賃借人の承諾なくしては、賃貸借契約

  関係は新所有者との間には移行せず」とある。本件はこの「著しく賃借人の利

  益を害する場合」に該当する。
   なぜなら、「賃借人の同意不要」の原則は、大原則「財産権の保障」「経済
  活動の自由」が根拠であり、例外の「著しく賃借人の利益を害する場合」は、
  これら大原則に対抗し得るほどの利益が害される場合に限られるが、本件の、
  新所有者による賃借人の基本的人権の侵害、「居住移転の自由」の侵害こそ、
  まさに、これに適合するからだ。


 3 本件は賃料支払いをも拒める場合で、賃料滞納根拠の請求は無効である。

   
   原告が、被告を追い出し転売する目的で新所有者になったこと自体、さらに
  は、実際に「追い出し電話」「被告居住を隠した売り広告」等により、被告の
  「居住移転の自由」を侵害してきたことは、「著しく賃借人の利益を害する場
  合」「特段の事情がある場合」に該当することは明らかだ。
   ゆえに、「新所有者に対してその賃貸人としての地位を否定して賃借人とし
  ての義務の履行を拒むことができる」場合、つまりは、賃料支払いすら拒むこ
  とができる場合であり、訴状の「賃料滞納」を根拠とする請求は成り立たず、
  無効であり、棄却されるべきだ。              
                                  以上

 

 

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