死亡のニュースである。瀬戸内説法をいつもいつも見ていた訳
ではないけれど、寂聴さんと横尾忠則さんの往復書簡とか
たまに面白く読んでいた。
私が一番最初に知ったのはまだ、仏門に入る前瀬戸内晴美
さんの時代、何冊か彼女の小説を読んだうちで和泉式部の
愛と生涯を描いた「煩悩夢幻」に、大きな衝撃を受けた。あの
奔放な時代の文筆家であった和泉式部の愛が綴られていた
けれど、何と官能的だったことか!私が丁度女盛りのときに
読んだからかもしれないけれど、その男女の秘め事がしっとり
と描かれていて、その文章使いに感心させられたものだ。
あの官能表現は、実際に味わったものでなければ書けないと
いうことに気付いて私は女として嫉妬した。そしてその後の
仏門入り。厳しい修行を得て得度してその後多くの人々を
助けたことは周知の事実である。何というすごい人生
年を重ねられても尚精力的に活動されて、99歳の生涯を
全うされた寂聴さん、謹んで合掌・冥福をお祈りいたします。