ウルトラマンブレーザー THE MOVIE 大怪獣首都激突【その3】
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私も最近はモウロク度が激しく、映画をみても、そのものズバリの直接論評をモノにできず、
周辺事情をノラリクラリと寄り道した挙句、
本論を語らずじまいというのばっかり。
まあ私の場合、諸条件が重なり、劇場公開作を全作網羅して鑑賞する余裕も持てず、
そのレビューで埋め尽くすのは、他にやってる人がいっぱいいる。
YouTube動画でも、たちまち即日レビューとかすごいよね。
私は鑑賞してから記事にアップするまで数日かかってしまい、
しかも本旨を外しまくってるんだから、その点では映画レビュワー失格ですよ。
逆を言うと、自分みたいな進め方はまず見かけないので、独自の境地でいいっちゃいいけど。
本作『 ウルトラマンブレーザー THE MOVIE 大怪獣首都激突』に関しても、本編そのものを論じずに、ブログ記事2回分も遠回りしたので、2024年2月23日の公開から2週が経過したので、さすがに内容に触れることにします。
上映時間はわずか77分。しかも冒頭の5〜10分ほどはテレビ「ブレーザー」のダイジェストが続くので、『ブレーザー THE MOVIE 大怪獣首都激突』の本編は、実質1時間強と言ったところ。
だったら目まぐるしい展開に、あっという間に見終えて大満足…
と言えたらいいんだが、
あいにく少しもたつき気味で、
あくびが2回出たし、
「ええっと、後はあれとこれをやれば終わりでしょ、早く進めてよ」的なムードが蔓延してた。
この感覚は、たしか
「早くサーガを出せよ」と気分がもたついたことを思い出した。
『サーガ』の脚本は長谷川圭一氏だったが、
『ブレーザー 大怪獣首都激突』の脚本は中野貴雄氏。
エンディングで中野氏の名前を確認し、
「やっぱり」と思ったのは、
私は同氏の脚本作品に感心した覚えが一度もなく、
2015年
-
- 「劇場版 ウルトラマンギンガS 決戦!ウルトラ10勇士!!」 ※小林雄次と共同脚本
- 2016年
-
- 「劇場版 ウルトラマンX きたぞ!われらのウルトラマン」 ※小林雄次・小林弘利と共同脚本
- 2017年
- 2019年
-
- 「劇場版 ウルトラマンR/B セレクト!絆のクリスタル」
- 2020年
-
- 「劇場版 ウルトラマンタイガ ニュージェネクライマックス」 ※林壮太郎と共同脚本
特に『劇場版オーブ』の、
テレビ「オーブ」本編の余韻や経緯が全く生かされず、
どれほどガッカリしたことか。
同様に、
「劇場版 ウルトラマンR/B セレクト!絆のクリスタル」も、
私の信頼はすっかり失われたのだが、
その信頼失墜は、今回の『ウルトラマンブレーザー THE MOVIE 大怪獣首都激突』でまたしても増すことになってしまった。
中野貴雄に脚本家の才能はないよ。
さて、物語の内容についてだが、
すぐれた映画ならフィクションでも必ず含まれる同時代性という観点では、
- 大人が私利私欲むき出しで、自説の主張ばかりで他者の意見を聞き入れず、
- 自分たちの世代が責任を取らねばならぬ課題を先送りして、次の世代の子供達に押し付ける
- 仕事第一で家庭や家族を顧(かえり)みない大人の姿勢が、真の問題解決を遠ざけている
- 子供の立場からすれば反発や反動が示されても当然である
- そう言う「無責任な大人」の象徴が現政府と政治家なのを暗示するため、ブレーザーと怪獣の戦いで、国会議事堂が巻き添えになって大破する
と言う、子供がメインの観客なはずの映画にしては、相当に攻めた作風ではある。
テレ東のニュージェネ番組は、製作に(今や悪名高き)電通が名を連ねているが、
その悪影響で「ジード」では、ウルトラマンの評判の指標が世間の支持率で、その発表に朝倉リク(濱田龍臣)が一喜一憂するなどという、実に欺瞞に満ちた似非(えせ)社会構造をそのまま視聴対象の子どもにむき出しで押しつける暴挙に唖然としたが、
『ブレーザー THE MOVIE 大怪獣首都激突』の制作会社は、ウルトラマンブレーザー特別編製作委員会となっており、政府ヨイショの不要ブレーン、電通の名が引っ込んでいるからこそできた映画とは言える。
とは言え子供の声と意見を代弁する役者の年齢が、成熟しすぎた社会観とセリフ回しとは幾分そぐわない気がしたが。
せっかくの良い素材が存分に活かしきれなかった残念作、という気がしました。
今回はここまで。