①劇場アニメ『ベルサイユのばら』
2025/3/6 イオンシネマ越谷レイクタウン スクリーン6 D-7
今回はダラダラと長く綴るので(しかも未完)ご容赦ください。
何ヶ月か前、映画館で『ベルばら』のアニメ映画の立て看を見かけた時の、私の率直な感想は?
「なんと無謀なことを!」
というのも、アニメ『ベルサイユのばら』と言えばこれはもう、
東京ムービー新社製作で、日テレ水曜午後7時から、
1979年10月10日 - 1980年9月3日に放送された全40話+総集編1話に尽きるから。
この出来があまりに凄まじかったので、
同時期に半年前からTBSで放送されていた『ザ☆ウルトラマン』と、
(1979年4月4日から1980年3月26日まで)
続いた『ウルトラマン80』
1980年(昭和55年)4月2日から1981年(昭和56年)3月25日まで
を見るのをほっぽらかしてのめり込み視聴させてくれたほど。
最終回までリアタイ視聴して、
「アニメ界に刻まれた金字塔だ」という思いを強くしたが、
当時の新聞のテレビ欄の読者投稿にも感想を全くみかけず、
「自分以外にはこの超名作を見通した人がいないのか」とガクゼン。
後にUHFの地方局で再放送されてファンが増え、
海外でもフランスとイタリアでは、『Lady Oscar』のタイトルで放送された。
2024/11/01
ここでせっかくなので、
旧テレビアニメ版を振り返っておこう。
後から振り返れば、他の誰よりも適任に思われる荒木伸吾(と姫野美智の荒木プロ)のアニメ『ベルばら』のキャラデザと作監への起用だが、当初は戸惑いと試行錯誤があったようだ。
オスカルのキャラデザの変遷を見ていくと、
↓これが原作を単に模写したもの。
これが第1稿。
決定稿のキャラ表と、
ほとんど違いがないが、
それなりに紆余曲折はあったらしく、
↓「どこが池田理代子キャラやねん?」の、
おなじみの荒木キャラ寄りに思い切り振られた第2稿や、
↓けだるいオトナの雰囲気の第3稿を経て、
↓そこそこ無難な、第4稿に落ち着く。
この時点での、原作と各キャラ表の比較がこれ。
オスカル
アンドレ
フェルゼン
マリー・アントワネット
ところが手間暇かけた、このキャラ表や、
当初のイメージイラストは、
結局ほとんど使われず終いで、本編には反映されなかった。
なぜなら番組開始当初は、登場キャラはみな未成年。
そのためのきなみ、丸顔に童顔。
それにともない、いつもの荒木プロ調の繊細な絵柄も動きも取りやめとなり、
よりダイナミックで大胆かつ荒削りな、
杉野昭夫調に変更された。
前期と後期であまりにも雰囲気が異なるので、
監督だけでなく、作画陣も荒木プロから杉野昭夫に変更したのかと思ったが、
アニメ評論家の氷川竜介氏から、
作画陣は荒木プロが続投し、絵柄と動きの変更は、出崎監督の指示によるものだったと教えていただいた。
本作の作画監督とキャラクターデザインは全話を通じて荒木伸吾と姫野美智だが、アニメライターの小黒祐一郎によると出崎監督への交代に伴って作画監督も出崎とのコンビで知られる杉野昭夫になったとする誤解が存在する。この原因は1992年に日本ソフトシステム発売されたレーザーディスクのジャケットが本作には未参加の杉野によって描かれたからではないかと小黒は推測している。
出崎統は長浜が手がけた13話分の数話を視聴して、キャラクターデザインを手がけた荒木伸吾の良さが出ていないと感じ、荒木に「これは美少女モノじゃない。思いっきりやってくれ。リアルにやりましょうよ」と直接語りかけ、荒木の了解の基、19話から絵柄が大きく変わることになった。出崎は「よりドラマチックに作っていこうと。フランス革命が後で舞台になって行く訳ですから、ちゃんと皆の生き様がないと形だけになっちゃう。革命の中でオスカルとアンドレは名も無い戦士として散っていく。それが僕にとってのテーマで、彼らの姿をドキュメントしようと思って作った」と述懐している。
話が前後するが、長浜忠夫から出崎統への監督交代劇について。
監督の交代
スタッフの証言によると、長浜監督降板の原因はオスカル役の田島令子が長浜の演出に反発し、日本テレビのチーフプロデューサーに相談したことが発端だという。日本テレビのチーフプロデューサーは東京ムービーの社長と談判して監督交代に至った。田島が反発したのは長浜の要求する演技があまりにも大袈裟だったことにあったという。
テレビアニメ『巨人の星』の監督であり、『ベルサイユのばら』テレビアニメの13話まで総監督を担当した長浜忠夫は、『巨人の星』でも用いられたこれでもかと声高に説明していく独特の「長浜調」の演出を行なった。
長浜の演出が散文的なものとすれば、後任となった出崎統は対照的に、あまり絵を動かさない詩的な演出だった。
そのため『ベルばら』はアニメファンのあいだで熱烈な支持を得るようになったと文芸の山崎敬之はコメントしている。
2023年にテレビ朝日の取材を受けた田島本人も「演出家の演技指導と私の演技方法との違いから、制作サイドの意向により彼は現場を去ることになりました」と語っている。
↑
安彦良和氏は「安彦良和 マイ・バック・ページズ」(2020)の中で、
長浜忠夫氏の「居残り演技指導」に根を上げた「ベルばら」主演女優が、
由来の日テレチーフプロデューサーとの関係があった故、
述べたてた苦情が監督降板につながったと実名をあげずにさりげなく暴露していた。
監督、演出の熱血指導が、
役者の演技プランと全くそぐわず、終始すれ違い続きな例を最近でも見かけたが、
2025/03/08
こういう意識のズレは因縁を産むらしい。
前にキンタロー。と、原莉子さんの身長は同じ152cmぐらいと推理したが、
身長165cmのかもめんたる・う大と背丈が同じくらいなのは、
この収録時、原さんがかなりの上底靴を履いていたため。
話を戻して、
急遽、打診を受けた出崎統は、プロデューサーの1人から「好きにやって下さい」と請われたものの、「監督がいるのに監督をやる訳には行かない」として、長浜忠夫が完全に降板した後に監督就任を受諾した。そのため、監督が空白である14話~18話は、長浜・出崎の双方のチェックが一切入っていない。
でもって出崎統演出の第1弾、
19話の「さよなら、妹よ!」で、ガラリと演出が変わったのは、
「カエル噴水」で検索したら、このブログに行き着いた!
あまりにも長くなったので、
アニメ映画『ベルサイユのばら』の感想については、またいずれ。