右近の日々是好日。

　自分は、仕事を終えた後は、達成感や、やりがいがあります。一方、自分の仕事を行った後は、仕事で心や体を消耗した自分に気づきます。仕事に集中するということは、社会において生じている諸問題について考えようとしていない、ということでもあります。


　心や体を消耗すると、物事に感情を動かし、自分の思いを働かせる力が弱まることがあります。感情を動かさなくなることは、社会的強者の横暴に対して諦め、社会的弱者の境遇に関心を持たない身振りと、関わっています。


　F氏の『しくじるなよ、ルーディ』（ele-king books、2013年）では、音楽や作品に触れて生じた、自分の心の奥底にある思いを掘り起こして表現する行動と、自分が生きる社会の状況に抵抗する身振りを関わらせていくことの大切さが論じられています。


　自分の心の奥底にある思いを掘り起こして表現する行動は、他の人間の心に通じる路を掘り進めて、自分と、他の人間とが連帯することに関わっています。他の人間の思いに向き合い、状況に応じて支援することは、自分自身の思いと向き合い、自分の力を取り戻すことでもあります。