テーマ:Jazz(1961)
カテゴリ:ジャズ
パリでのピアノ・トリオとの共演
1929年生まれのチェット・ベイカー(Chet Baker)は、1950年代半ばには、ジャズ・リスナーから大きな人気を得ていた。まさしくその時期に相当する1955年に録音されたのが、この『サマータイム(Plays Standards)』である。現在は“ジャズ・イン・パリ”シリーズの1枚としてリイシューされているが、元々はフランスのバークレイ(Disques Barclay)というレーベルから発売されたLPだった。 1955年秋、チェットはフランスにいた。バークレイ・レーベルで6枚のアルバムを録音したいとの申し出に応えたものだった。この際、チェットはスイスやドイツでも演奏したとのことだが、フランスで最初に録音したメンバーと本作のメンバーには異動がある。本盤で共演しているピアノ・トリオのうち、ベースのジミー・ボンドは、最初のセッションでも一緒だった人物である。一方、ドラムスのバート・ダーランダーは、チェットと揉めて出ていったピーター・リットマンに代わって加わっていた。さらに、先に共演したピアノのディック・ツワージクは、この間に薬物の過剰摂取によってホテルで急死するという運命をたどっていた。代役を務めたのは、バークレイと契約したばかりの若手ピアニスト、ジェラール・グスタンだった。 このように、突然のパーソネル変更の中、“スタンダード”が共通項となって本盤は録音された。要するに、ジャズ・ミュージシャンが慣れ親しんでいる定番曲をレコーディングの曲目にするというわけである。結果的に、チェットが普段あまり演奏していなかったスタンダードも本盤には収録されることになった。 肝心の演奏内容だが、まず、ベースの安定感が光り、ドラムスもこれによく合っている。そして、代役だった若きピアニストの活躍も目立つ。このピアノ・トリオをバックに“歌う”のがチェット・ベイカーのトランペットである。個人的にとくにお勧めな演奏としては、1.「サマータイム」、5.「ゼアズ・ア・スモール・ホテル」、6.「ニューヨークの秋」、8.「アイル・リメンバー・エイプリル(4月の思い出)」といったところか(いや、他にも捨てがたい曲が複数あったりする…)。ともあれ、日常ではない環境の中、当時のチェット・ベイカーがトランペットで本領を発揮した盤なので、“そもそもチェットのトランペットってどんなの?”と思う人にも聴いてもらいたい盤だと思う。 [収録曲] 1. Summertime 2. You Go To My Head 3. Tenderly 4. Lover Man 5. There's A Small Hotel 6. Autumn In New York 7. These Foolish Things 8. I'll Remember April [パーソネル、録音] Chet Baker (tp) Gérard Gustin (p) Jimmy Bond (b) Bert Dahlander (ds) 1955年10月24日録音。 【中古】 Chet Baker チェットベイカー / Plays The Standards 【CD】 以下のブログランキングに参加しています。お時間の許す方は、 クリックで応援よろしくお願いします。 ↓ ↓ ↓ お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
Last updated
2021年11月17日 21時03分45秒
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