2023年02月05日

今東光資料館

PXL_20230129_035559371
 今回の目的地は八尾図書館。なかなか立派な建物です。
PXL_20230129_035657600
 入ると今東光和尚がお出迎え。今東光資料館に行ってきました。
PXL_20230129_035902504
 資料館の入り口には今東光和尚原作のポスターが並んでいます。もちろん代表作は「悪名」シリーズ。たみやんが素敵です。
PXL_20230129_035913344
 悪名だけではなく、河内を舞台にした作品が映画化されています。「悪名」は大映、「あばれ太鼓」は松竹、「河内カルメン」は日活、「河内フーテン族」は東宝作品ですね。各社が作品の映画化権を取ってたんでしょうね。

 館内は写真がNGなので入口だけです。ねこは入口のポスターを観ただけで一人でテンションが上がりまくり。挙動不審の女性がいると思われたようで、係の人がやってきました。
「街歩きの方ですか?」
「あ、はい」
と我に返るねこ。
「何人で来られたのですか」
「いえ、一人です」
 ねこが勝手に街歩きしているだけで、別にどこかの企画で街歩きが行われているのではありません。
「どこからいらしたんですか」
「にしなりからです」
 女性がにしなりくんだりから一人でやってきてポスターに興奮していることが、ちょっと恥ずかしくなってねこは目が泳いでいたのですが、どうやら怪しい人ではないことが分かったようで、係の方は去って行かれました。

 館内は結構立派で、今東光和尚の初版本がずらりと展示されています。今東光和尚の本って、ほとんどが絶版で、文庫本すらないんですよね。だからねこも、和尚の本は図書館で借りて読みました。

 資料館は約2700枚の直筆原稿や、チラシや書籍、ポスターなど関連資料約1000点を所蔵。直筆原稿の一部展示されています。和尚は河内・八尾の出身ではありませんが、河内文化を愛し、良い意味でも悪い意味でも河内文化を広めました。

 
八尾市職員で、今東光の事を個人的に徹底的に調べ上げた方がいらっしゃいました。その情熱が実って、資料館は2014年に開室。当時の八尾市の田中誠太市長は「今東光の文化的活動を通じて、市の魅力を発見する資料館になっている」と話すほどの評価を得ているだけに、自治体の資料館としてはとても充実しています。同室は、年表で生涯を振り返るなどテーマ別に7コーナーで構成されているのですが、半年に1回は企画展を催しており、ねこが行ったときは「今東光が描いた八尾」でした。
 ちゃんと一職員の企画を評価し、それを資料室として具体化できるというのは風通しのいい自治体としてのお手本といえますね。
 それに入館無料というのもありがたいです。税金はこう還元すべきです。

PXL_20230129_043406236
 図書館の入り口には河内木綿が飾られています。河内木綿は、
河内の綿栽培や木綿生産が盛んになってきた江戸時代の17世紀、その綿から織った山根木綿は京都でも評判でした。さらに、18世紀初頭、大和川が付け替えられると、 それまでの河床は畑として生まれ変わり、綿作りが益々盛んになり、木綿織りはさらに発展しました。河内木綿文様は、その特徴を、明るくて、大きく、ゆったりとして、力強いと表現されます。その文様を復活、保存する動きも活発です。のれんとしてもおしゃれですね。自治体として郷土愛にもとづいて、その良さを伝えようとしているのが感じられます。


    このエントリーをはてなブックマークに追加 mixiチェック
kokusaiyuko at 22:37コメント(8)施設見学 | 映画

コメント一覧

1. Posted by 隅田川   2023年02月07日 01:50
5 私は主に男性作家が描いた写真付きの都内下町探訪エッセイが大好きで日頃愛読していますが、ねこ様の文章に彼等と共通するものを感じています。
勿論、女性目線の繊細さやタッチの違いはありますが。。。

私の全く知らない大阪の町の日常のひとこまを淡々と綴られているのに、少しも違和感がなく何故興味深く読めるのかなと自分でも不思議に思いましたが、ねこ様の探求心や好奇心が文章に滲み出ているからだと実感しています。

ねこ様は主に普段目にした町の様子や日常の何気ない出来事や風景を綴っていられますが、それって古典の徒然草しかり男性作家の方達と同じ感覚だなと思いました。
あちこちに知性やユーモアや壮快さが散りばめられていて、読者の方も楽しいと思えるのだと思いました。

今東光の事は大昔の若い頃テレビでよく見ましたが、作家だったとも知らず何でもズバズバ言う何処かのお寺の豪快なお坊さんとしか思っていませんでしたし、
河内地方の事は歴史を通しての特産物の件も知らなくて、単なる言葉使いが荒っぽい地域という印象しかなかったので、とても勉強になりました。
2. Posted by 承服亭すまん   2023年02月07日 13:32
お出迎えしてくれる和尚の写真は大分若いですな何歳ぐらいやろか? NHKのあの人に会いたいを見直しましたが、いやあ落語をきいてるみたいです。わしも嫌われる人になろーっと。もうきらわれとるがな🥵
3. Posted by ねこむすめ   2023年02月07日 21:41
隅田川さま、関東で街歩きのエッセイといえば永井荷風ですね。その荷風を尊敬する川本三郎さんのエッセイも好きです。

お褒めにあずかり光栄ですが、ほんまにつれづれなるままに好きなことを書いているだけです。人々の営みが街を形成しているので、それが書けたらなぁと。あと、あはり時節柄、街に残る戦争の記憶は見つけていきたいです。

4. Posted by ねこむすめ   2023年02月07日 21:42
承服亭さま、自分でボケて自分でツッコミをいれるのが大阪人らしいですね。今東光和尚って、口は悪いけれど嫌われていたのでしょうか。
5. Posted by 承服亭すまん   2023年02月08日 14:08
嫌われる人とはお母様のことをおっしゃっています。正直で何でもズケズケと言う口達者な方だったらしいです。逆にお父様は目立たない方だったみたいです。お二人が亡くなられたあと、兄弟親戚の集まりで話題になるのはお母様のことばかりで、お父様のことは皆目でないことからそういう発言に繋がっているとおもいます。ところで、東京と云えば小沢信男さんもすばらしいですよ。
6. Posted by ねこむすめ   2023年02月08日 21:14
承服亭さま、嫌われ方によるのだと思いますね。ねこはほんまに嫌いやったら、話題にもしませんし。小沢信男さんは、犯罪ものを書いてたというイメージですが、街歩き的なものも書いてらっしゃったんですね。
7. Posted by 隅田川   2023年02月10日 13:43
5 ねこ様のコメントに川本三郎の名が有った事にとても驚いています。

私事の話で大変申し訳ありませんが、まさしく氏の町歩きエッセイと邦画に関する評論の大半を長年少しずつ集めて日頃愛読しています。(氏の小説は皆無です)

映画評論では他に佐藤忠男、片岡義男、女性では最近知った中野翠(曲者天国のみ)を、町歩きでは小林信彦の作品を読んでいます。

町歩き探訪紀行作家の一部には川本三郎や小林信彦のように映画も好きで、季節の移り変わりの中で市井の人々の日常や長い年月を経た建物を愛着を持った独自の目線で見たり、遠い昔の映画の中のそれらと重ね合わせたりしながら描いているという共通点があって、私はねこむすめ様のブログにも同じエスプリを感じています。
8. Posted by ねこむすめ   2023年02月10日 21:39
隅田川さま、ねこは東京へは生まれて2回しか行ったことないくせに、川本三郎さんの本を読んでは行った気になっています。ああいう文章を書けたらいいですね。街歩きだけでなく、「君うるわしく」などの女優へのインタビュー本も秀逸ですよね。

東京の街歩きの本は多い中、大阪ってないのですよね。坪内祐三さんの「幻のおおさか」という本が、それこ昔お大阪がよく描かれているのですが、坪内さん、東京の方なんですよね。織田作之助さんの描く大阪がとてもよくて、参考にしています。そういえば、女性の街歩きとかもないですね。森まゆみさんくらいかな。

映画やお笑いが好きになったのは、伊集院静の小説「いねむり先生」のモデル、色川武大さんの影響です。古き良きお笑い芸人に対する愛情がよく伝わる文章で、ねこもこういった姿勢で対象を描きたいですね。お笑いもプロダクションが大きな力を持つようになってから、つまらなくなりました。

コメントする

名前
 
  絵文字
 
 
記事検索
プロフィール

ねこむすめ

にゃんこと昔の日本映画が大好きな道楽者です。
にしなり在住。

最新コメント
ブログランキング
LINE読者登録QRコード
LINE読者登録QRコード
  • ライブドアブログ