末の妹、みんが里帰りをした後は

いつも、母、妹、両方から愚痴のオンパレード

もともと相性が悪いのか、聞かされる私の方は当たり障りないように

聞き役もすっかり慣れた。

 

今日は母の番。

散々、聞かされた後に何かの拍子で

彼女らがしていた私の批評が溢れる。

女同士なんてそんなものだ

そこにいない者の話で変な一体感を保つ。

 

どうやら、妹たちは私のことが「かわいそう」らしい。

 

毎年里帰りができる妹に比べて

それが叶わない私が不憫に見えるそうで。

 

まぁ、確かにそうかもしれないけど。

やりくりが下手な自分が悪いんだから

かわいそう、という言葉もなんだかしっくりこないものだ。

 

 

苦笑する私の声を聞いて母が取り繕う。

 

　　　でも、真面目な旦那さんだからいいじゃない。

　　　ギャンブルや、女に走るような人じゃないんだし

　　　

ふ、っと鼻から息が抜ける。

母は何も知らないからいつまでもアダムは

私が信じていた頃のアダムのままだと改めて思い出した。

 

　　　そうだね。陰で何やってるかわかったもんじゃないけど

 

なんて、つい言ってしまうけど

アダムを信じきってる母には何も見抜けない。

 

　　　そりゃ、「かわいいな」とか

　　　思うようなことくらいあるだろうけど

　　　そんなのは浮気にはならないでしょうよ

　　　お前の父親みたいな裏切りなんてできない人だろう？

 

母はものすごく張りのある声でそう言った後

私の実父に対する恨み言を始めようとする。

 

それももう分かっているから

さりげなく話の腰を折る。

 

　　　ここまで一緒にいたら大丈夫でしょ

　　　もう、そんな元気もないだろうし（笑）

　　　（女と）遊ぶお金だってないよ

 

少し大げさに笑ってみせる。

言えない事へのほんの少しの罪悪感で

笑い声も大きくなる。

 

　　　お前がそうやって笑い飛ばせるなら安心だわ

　　　女に走ることだけは絶対に許せないことだから。

 

母はそう言い、また話が恨み言に引き寄せられる。

 

同じ愚痴や恨み言を長年聞き続けることや

自分の家庭問題を言わないのも

親孝行なのかしら

 

通話が終わるといつもに増して疲れた。