内容(「BOOK」データベースより)
料理もせず子育てに無関心の母。秘密裏に離婚届を出し愛人と出来ちゃった再婚した父。常に情緒不安定な妹。凄絶な家庭に育ち荒れていた青年の心は、寺山修司との出会いで一変する。演劇の世界に身を投じた彼は、“自分の表現”の実現を目指し原宿に小さな店を開く。それが世界に衝撃を与える一歩とも知らずに。いまやカワイイ文化の発信者として世界的活躍の著者が、どん底から光を見つける青春時代。成功前夜の衝撃エッセイ。
著者について
●増田 セバスチャン:アートディレクター、アーティスト。6%DOKIDOKIプロデューサー。1970年生まれ。1995年に「6%DOKIDOKI」を原宿にオープン。2009年より原宿文化を発信するワールドツアー「Harajuku"Kawaii"Experience」を開催。 2011年きゃりーぱみゅぱみゅ「PONPONPON」PV美術で世界的に注目され、その後は国内外で活躍。2014年に初の個展「Colorful Rebellion -Seventh Nightmare-」をニューヨークで開催。
私はサブカルには明るくないので存じ上げなかったんですが、上の写真が増田セバスチャンさんです。
こんな感じのポップな作品。
この本は増田さんの自伝的エッセイです。
前半の生い立ちを読んでだいぶ苦しくなりました。
家庭を作り子育てをすることに全く向かないご両親は昔風に言えばアダルトチルドレンなのかなと思われます。
読んでいる限り積極的な悪意は感じられないのですが、責任感もない。
このような両親に育てられた増田さんも妹さんもやはりアダルトチルドレンなのでしょう。
今は親ガチャなんていう言葉があるようですが、子供は親を選べないですからね。
それでも経済的にはもともとは裕福だった家なのでとにかく徹底的に精神的に辛い子供時代だったんだろうなと思います。
本作の最後は大人になった増田さんは大人の目線で緩く結んでいましたが、前半はなんか鉛を飲み込んだような気持ちにさせられました。
作品の後半は家を出た増田さんが紆余曲折の末に成功していく過程が書かれています。
作品のポップな色使いと増田さんの心の奥底がすごく対照的に感じられて、このような表現方法もあるんだなあと印象的です。
世の中のほとんどの人間が生物としては子供を作ることができるけれど、親という責任を全うできる人とできない人がいる。
だからそれができない人は子供を作らない方がいいのかも。
増田さんの『家系図カッター』とはここでその血を終わらせるという意味です。
簡単に親にはなれちゃうけれど、親というものの責任は大きい。
もちろん何でもかんでも親のせいにするのはどうかと思うけれど、子供が自立する年齢までは親には責任があるだろう。
でも反対に親業って決してベテランになることのない作業だと思う。
親だって生まれた時から親なんじゃなくて、子供に親にされるんだ。
だから、きちんと子供と向き合えた人間だけが真っ当な親になれるのかなと思う。
子供に最も必要なものはお金じゃなくて親の愛だということを普段の生活で私たちはあまり意識していないんじゃないかと思う。
お金で解決するって実は努力をやめるっていうことなんだと個人的には思う。
とにかく、親だってただのダメな人間だって子供が理解するのは大人になってからであって、子供の時は理解も納得もできないからなあ。
親としてどうあるべきかって学問があるわけじゃないので自分の親を見て知るものなので、当然負の連鎖はあると思う。
どういう形であれそれを断ち切ろうとしたのは増田さんが賢い人だからで、普通は気づかないままに連鎖していくものだろう。