ビーイング(4734)のMBOにおいて採用された株式価値算定書のDCF法評価について、今回は継続期間のフリー・キャッシュ・フローを推定してみます。

 今回も、1.DCF法の計算過程を再現して逆算する。2.財務予測の数値を補間した上で逆算する。の2つの方法で推定を試みることにします。

検証結果↓

 1の方法について、永久成長率に応じた運転資産の変動を考慮する方法とそうでない方法の両方について検証を行いました。運転資本変動を考慮しない場合、継続期間のフリー・キャッシュ・フローは545.3(百万円)となりました(1-A)。運転資本として前回の記事で簡易計算により推定した2,528(百万円)を使用した場合、継続期間のフリー・キャッシュ・フローは577.5(百万円)±運転資産に応じた変動となりました(1-B)。財務予測期間最終年度の営業利益834(百万円)×(1-実効税率30.2%)≒582(百万円)であり、両者とも若干少ない金額が推定されたことになります。

 2の方法では継続期間のフリー・キャッシュ・フローとして財務予測期間最終年度の営業利益から実効税率分を控除した582(百万円)を採用した場合、減価償却費が自然な金額となりました。

 継続期間のフリー・キャッシュ・フローの金額が必ずしも正確に推定出来たわけではありませんが、とりあえず継続期間のフリー・キャッシュ・フローは582(百万円)と考えるのが良いと考えられます。