ニチモ1/200戦艦大和 船体
船体の仕様について
ニチモ1/200戦艦大和の船体はまるで「風呂桶」のような一体成型で、補強・骨格となるフレームが一つもなく、合いが悪い5分割の甲板パーツで蓋をするだけの構造となっています。しかし、キッチリと組み上げる事で完成時の形は最新のキットに引けを取らない素晴らしい造形となっていますので、その形を活かし舷側のモールド等はキットそのままに、パーツを補正・補強を施しています。尚、このページでは船体の組み上げの解説をし、塗装工程については次ページでの解説とさせて頂きます。

船体パーツと甲板パーツの歪み
一体成型の船体は艦首から艦尾まで成型後樹脂の収縮などで外側に反るように開いたり、内側に縮むように歪みが酷く、甲板パーツにはネジレや反りがある為そのままでは綺麗に収まりません。
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キットによって個体差があると思われますので、先ずはどの部分にどのくらいの不具合があるのか確認する事から始まります。

艦首錨甲板の取り付け
他の甲板パーツに比べ面積が狭い艦首錨甲板ですが、船体に取り付け前に接合部分を調整し、接着は当て木を挟んでクランプで締め付け固定します。パーツの隙間にはプラ板の短冊を押し込み補正しています。
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前甲板の取り付け
艦首錨甲板パーツに繋がる前甲板は中央に向けてなだらかなカーブを描く「大和坂」を形成する特徴ある甲板で、主砲塔パーツを乗せるための大穴が開くパーツでネジレが見られます。船体の両舷側形状に合わせる様に取り付けなければなりませんが、船体が外に膨らんでいる為その補正から始めます。
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開いている両舷側の幅を正しい位置に戻すために、スチレン角パイプを甲板の底面を支えるフレームを兼ねて固定する事で幅と甲板のネジレ補正・補強としています。甲板パーツの固定にはクランプを複数使用してキッチリと接着固定しています。接着にはタミヤセメント(流し込みタイプ)を使用。
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中央甲板の補正・補強
船体の組み上げにおいて最大の肝は、この中央甲板パーツの補正と補強にあると言っても過言ではありません。船体に支えとなるフレームがありませんので、巨大な船体と上部の中央構造物を支える重要なパーツとなるのがこのパーツです。甲板が曲ろう・反り返ろうとする力に対して、力学的に最も強度があると思われる、スチレン角パイプとスチレンボードで水平と強度を出し、中央構造物を乗せた折のたわみも防ぎます。
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<ワンポイント>
一見なんの変化もないように思われますが、この補正と補強をする事により、モノコック構造となる船体がより強固なものになります。本キットは「ラジコン仕様」と共通の甲板パーツとなっており、船体船底にある電池ボックスに手が届くよう甲板中央に大きな開口部がある事がパーツのネジレやたわみに繋がりやすいので、スケールモデルとしての仕上げにはこの補強は必須と考えています。

中央甲板の取り付け
後方が広がり、中央付近は狭くなっている船体にそのまま中央甲板は収まりません。特に後方は両舷側が酷く広がっています。
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前甲板同様にスチレン角パイプをフレームとしてガッチリ固定し幅を補正。その上で先に補正・補強した中央甲板を複数のクランプで締め付けて完全接着しています。
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舷側と甲板の補正
前甲板と中央甲板の継ぎ目には大きな隙間が出来ます。これはラジコン仕様として中央甲板が脱着できるように設計してあるためで、ディスプレー仕様として作る場合にそのままでは余りに酷い隙間ですので、タミヤエポキシ造形パテ(高密度タイプ)で埋め、舷側と甲板の高さレベルを合わせる際に研磨して均しています。木甲板には1mm幅で板目の凸モールドがありあすが、研磨時に全て削り落としています。
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<ワンポイント>
甲板表面の研磨はかなり肉厚な成型で面積が広いのですので、大工さんが木をカンナで削るような感覚で当て木に貼り付けた紙やすりで研磨しています。削りカスは粉状になりますのでその都度バケツに用意した水を含ませたスポンジで洗い流す様にしクロスで拭き取っています。舷側の上面が甲板よりも低い箇所はプラ板の短冊を使い高さを調整し、デザインナイフでカンナかけ後に紙やすりで整えています。
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艦載艇格納庫
一体成型の船体ですが、後部艦載艇格納庫から飛行甲板下の壁面部分は、その形状からパーツ割の兼ね合いで別パーツを接着固定する事になります。このパーツがご多分に洩れずそのままでは全く合いませんので、削ったりプラ板やパテで埋めたりしながら違和感なく仕上げています。
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艦尾甲板の取り付け
この甲板には艦載機格納庫搬入出口があるのですが、ラジコンギミックが組み込まれる設計である事から底上げされていて、最新の考証とは形状が違いますが今回はキットのパーツをそのまま使用しています。
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甲板パーツと船体側の接合部分を調整してはめ込み、クランプで締め付け接着固定し、隙間にはプラ板の短冊を押し込み補正しています。
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<ワンポイント>
両舷側にある丸窓はモールドが甘く実感的でない為、ピンバイスで穴をあけ(貫通穴ではない)凹モールドに加工しています。
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飛行甲板の取り付け
甲板取り付け手順として最後に取り付けるのが艦尾の艦載機作業用飛行甲板となります。
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最後に取り付ける理由は、解説が前後しますがスクリューシャフトの取り付けがこの甲板直下にあるギアボックスへ金具接続となる為、塗装手順との兼ね合いでこのタイミングとなります。飛行甲板パーツを船体に接着した後、甲板裏面と甲板下両舷にサポート支柱を取り付けます。
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艦載艇格納庫部分と飛行甲板の接合部分に隙間が出来ますので、プラ板を差し込み調整して、サポート支柱と共に塗装を施します。
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艦首バルバスバウ
一体成型の船体は船底にパーティングラインが目立ちますので処理するのと同時に、球体艦首(バルバスバウ)とそれに繋がる水押し(みよし)部分を紙やすりで研磨し、モールドの甘い舷外電路(海中に散布される磁気機雷に触れても起爆しないように船体から出る磁気を消す装備)をデザインナイフで彫刻し形を整えています。
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まとめ
ニチモ1/200戦艦大和の製作において、船体の攻略なくして完成はありません。パーツ数の割に補正や補強など手間暇が掛かりますが「ここが肝」となりますので根気よく仕上げる事が完成への道となります。個人的には二度目の経験でしたが、一度経験していた事で作業工程など迷うことなく施工出来、美しい大和の船体ラインを再現できたと思います。
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