ご苦労さん労務やっぱり

労務管理に関する基礎知識や情報など。 3日・13日・23日に更新する予定です。(タイトルは事務所電話番号の語呂合わせ)

三六協定の締結が不要になったわけではない

2021-04-13 12:59:12 | 労務情報

 厚生労働省では、労働基準法で企業が行政官庁へ届け出ることとされている40あまりの書類について、押印を求めないこととした。
 その中には、『時間外労働・休日労働に関する協定届(様式第9号、様式第9号の2等)』など、労使協定(過半数労働組合または労働者の過半数を代表するものとの協定)を締結したことを届けるものも含まれている。

 ところで、「様式第9号」は標題が示す通り「協定“届”」であって、本来は、労使間で締結した協定の内容を行政官庁(事業場を管轄する労働基準監督署)に届けるためのものだ。
 しかし、実務面では、この様式に労働者・使用者それぞれが記名押印し、この様式そのものを「三六協定」と呼ぶ例が少なくなかった。 行政通達でも「様式第9号に労働者代表の押印等を加えることにより、これを三六協定の協定書とすることは差し支えなく、これを届け出ることも差し支えない」(昭53.11.20基発642号、昭63.3.14基発150号、平11.3.31基発168号)としており、かつてはその旨が様式中に記載されていたこともあり、現状でも、労働基準監督署はその運用を認めている。

 今般、様式第9号への押印は廃止されたが、労働者と書面協定を結ぶ必要があるのは変わらないので、その点、誤解の無いようにしておきたい。 従来、様式第9号を協定書として労使双方が押印していた会社は、今後も(押印欄は無くても)引き続き押印して届け出ておくのが無難だ。
 もっとも、そもそも「様式第9号を協定書としても“差し支えない”」のであって、「様式第9号とは別に労使協定を締結する」のが本来の姿と言える。 これを機に、その形に整えることを考えてもよいだろう。

 なお、今般の様式改定にあたって、「協定の当事者が過半数労働組合または労働者の過半数を代表する者であること」、また「その選出方法が適正であること」に関するチェックボックスが設けられている。 それらへのチェックも忘れないよう、そしてもちろん労働者代表を適正に選出するよう、気を付けたい。


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