皆さん、おはようございます
本日から年明け一発目のお仕事再開という方もいらっしゃると思いますが、無事ご帰宅されましたでしょうか?
お陰様で、オヤジ探偵の私もかなり体調が良くなり、晴れて本日から本格始動致します
という事で、どうぞ本年も探偵社全力を宜しくお願い申し上げます
さて、今回もオヤジ探偵物語 行方調査シリーズ〜正義とは〜 第六話「怒涛」をお送り致します
一時の事とはいえ、F県警N署の数畳ぐらいしかない狭い特別室で、怖〜い方々に監禁されて拷問紛いのチ◯カス以下な手厚い接待⁉︎を受けていた、しがない雇われオヤジ探偵の私は思惑通り、とある情報を入手する事に成功し、ようやくシャバの空気を吸う事が叶うのであった…。
「アハハハ…、何その顔!
エジプ◯のミイラみたいに顔面包帯グルグル巻きって!
あなた、相変わらずモヒカン刈りのパンクロッカーみたいに尖ってるわね…。
ねぇ…、もしかしてだけど、これって全身に包帯が巻かれてるの?
本当にあなたって人は…、私の想像の遥か斜め上を行ってるわね!」と、涙が出る程ゲラゲラと笑い続ける、とてつもなく失礼極まりない、我が愛しのY女史。
「…ねぇ、ちょっと!
そんな事より、その格好はどういう事なのよ!
高そうなブランド物のスーツやツヤツヤの革靴、それにどう見てもハイブランドの眼鏡って!
これ全部どこからパクって来たのよ!
あなたまさかと思うけど去年みたいに…、『くしゃみしたらお漏らししちゃって、目の前にあったハイレベな百貨店へたまたま逃げ込んだら、好みのひざ上ミニスカ姿の可愛らしい店員さんがいて、作り物⁉︎の微笑みに唆され、気付いたらぜ〜んぶクレカ決済しちゃって、まんまとカモられました、テヘペロっ。』とか、また訳分かんない事を言うんじゃないでしょうね…。」と、普段から品行方正とは程遠い私の事を全く信用出来ず、動揺さえしているY女史…。
「それは酷過ぎるよ…。
確かにミニスカお嬢様は大好物だけど…。
それよりも、お勤め帰り⁉︎で中身は至る所ボロボロなのに、どうして真っ先に『お帰りなさい、あなた。お疲れでしょうから、お先にお風呂にします?それとも私にします?』とか、少しくらい気の利いた事を言ってくれないかなぁ…。」と、Y女史は私の事を一体何だと思ってるのか、この際きっちり問いただしたい私であった…。
「オヤジっ、お帰り。
ところで、オヤジが自分の行いを悔いて、自ら110番通報してポリさんに自首したみたいな、確かそんな感じの話をママがしてたけど、俺はそんな潔いオヤジを改めて見直したぜっ!
今回はたまたま釈放されたんだから、二度と痴漢なんてすんなよ!」と、私に暖かく微笑むY助手。
「ありがとう、Y君。
本当はちょっと内容が違うけど、まぁ〜いっか!
これからは気を付けるよ。」と、ニッコリ笑う私。
「そう言えば、早苗ママがU警察署を上手く説得して、全国の警察署へ由衣ちゃん捜索の協力要請をして貰えるようになったと、さっき連絡があったんだ。
それと、F県警に捕まってたオヤジをすぐに釈放して貰えるように、U警察署へ嘆願してくれたのも早苗ママなんだよ。
これで由衣ちゃん捜索もかなり前進するはずなんじゃないかなぁ…。」と嬉しそうなY助手。
「それじゃ、のんびりお喋りするのはここまでにして、新たな捜索ポイントへ行くとしますか!」と、調査車両のトヨタ A◯86へ半日ぶりに乗り込む私と、どこへ向かうのかさっぱり検討も付かない様子のY女史とY助手であった…。
1時間以上走行して、ようやく辿り着いたその場所はF市中心部から南東へかなり進んだ山間部で、周囲は街灯もなく完全に暗闇に包まれており、更に徒歩で近付いてみると、一軒の激しく老朽化した古民家に辿り着く。
そこは屋根に積雪対策が施された急傾斜のトタン造りで、躯体がかなりのツタに覆われており、ガラスもほぼ全損しているという、まるで20年以上放置されているような荒れ果てた状態ではあったが、内部から明かりが少しだけ漏れており、その建物外部にはエンジンを掛けたままの新品であろう小型発電機が不自然に置かれていた…。
また、その発電機に刺さるコードリールのケーブルは割れた窓から屋内へと引き込まれており、発電機の側には赤色のガソリン用携行缶が5つ無造作に置かれていて、試しに持ち上げてみた所、3つの携行缶が既に空の状態であった…。
暗闇に目が慣れて来た事もあり、更に周囲を見渡すと、生い茂る背の高い雑草地の奥まで無理やり頭から突っ込む、旧式ト◯タ アルファ◯ドが1台停まっている事に気付いた私はゆっくりと出来る限り音を立てずに近付き、鍵の掛かった車内には誰も乗っておらず、またエンジンも完全に冷え切っている事を確認する。
以上の内容を踏まえて、この廃墟内に3、4人か、またはそれ以上のヤバい輩が現在進行形で不法占拠している事を前提に、私達は調査車両A◯86の狭い車内で何度も打合せを繰り返して、イヤホン仕様の小型無線機を全員起動する…。
1箇所目の配置は調査車両内にて暗視専用ビデオカメラと通常ビデオカメラでの撮影担当を担う、経験の浅い新人のY助手。
2箇所目は建物正面入口から、頑なに嫌がりながらも、やむ無く通常の進入を試みるY女史。
3箇所目は薮に覆われた建物裏側から、後方支援と突撃担当を請負う私。
皆それぞれ配置に着き、タイミングを見計らってY女史へ進入開始の指示をする。
いつも悪態ばかり付いている、生意気なY女史ではあるが、さすがにこの状況は怖かったらしく、震えながらも恐る恐る音を立てないように、ゆっくりと突き進む…。
そんなY女史と同時進行で、強力な痛み止め薬のお陰もあり、全身の痛みも今だけは辛うじて和らいでいる私はガラスの破損した窓から躊躇なく進入し、明かりの漏れる隙間から室内の様子をそっと覗き見るのであった…。
「てめ〜、誰だっ!
これ以上動くんじゃね〜!」と、コソ泥のように身を屈め、忍び足で進入しようとするY女史の怪し気な動きに気付き、さっと素早く警戒態勢に入る、意外と侮れない輩1号。
「おいっ、どうしたっ?
な〜んだ驚かすなよっ、ただのチッパイな⁉︎オバちゃんじゃねぇ〜かよっ!
こいつ何だか物欲しそうなヤラシイ顔しやがって…。
旦那のだけじゃ、物足りないってかっ?
全く節操のない、ふしだらな女だなぁ…。
たとえ下の口がガバガバで、いろんな所が重力に負けて垂れてるオバちゃんでも、哀れみに満ちた聖母マリア様のような広い心を持つ俺様はぴちぴちのお姉ちゃんと一切区別せず、平等に可愛がってやるから安心しなっ!」と、ファスナーを秒で下ろし、速攻でズボンを脱ぎ始める、脳みそが真っピンクの非常に残念なタイプの輩2号。
「……、嘘だろっ?
いくら何でもこんな深夜に、ただのオバちゃんが今にも崩れそうな廃墟へ、のこのこ一人で現れるはずがないよな…。
お前ら気を付けろ!
こいつは囮かもしれないぞっ!」と、少しは頭が回るらしいリーダー格らしき、ゴリゴリに筋肉質な輩3号。
「ふぅ〜ん、今夜のお相手はアホ面3人組ですか…。
それじゃ、今からたっぷりお仕置きをして差し上げましょうね。」と、狂気に満ちたこの場からさっさとズラかりたくて仕方ないY女史と、車内でしきりにY女史の身を案ずる健気なY助手の二人へ、第2弾の指示を容赦なく出す私。
「……、あんた達こそ私の家で何やってんのよ!
ご近所の方から数人の柄の悪そうな男達がここに出入りしてるって、苦情の電話があったから半信半疑で来てみたら、本当だったみたいね…。
九◯電力と契約もしてないのに、ここに明かりが付いていたから絶対に誰かいると思って、迷わず110番通報しちゃったし、数十人の集落のみんなもここを完全に取り囲んでるのよ!」と、下劣な無法者の輩3人組に対して、演技とはいえ毅然とした態度を果敢にも貫き通すY女史!
そして、タイミング良く調査車両A◯86がご自慢のハイビームで廃墟を昼間のように明るく照らし、しかもアクセル全開でクラクションまで派手に鳴らしまくるY助手!
そんな凄まじい爆音やド派手なライトアップ攻撃に、度肝を抜かれた輩3人組は必死の形相でY女史を押しのけ、我先に廃墟の外へ逃げようとするが…。
遊園地にありがちな絶叫系アトラクションのメインを誇る⁉︎薄暗〜いお化け屋敷の片隅に身を潜め、自分の出番をただひたすら待ちわびる、山口県最低賃金の時給937円で雇われた高額臨時バイトの如く、全身包帯ぐるぐる巻きの怪しい出立ちで、ひっそりと物陰に佇む真打ち⁉︎の存在に全く気付かないご様子の輩達はまんまと埃まみれのバッチい寝床で、良い子にすやすやオネンネする羽目になるのであった…。
それから、未だに興奮して息を弾ませるY助手には地元警察が到着するまでの間、A◯86の車内でのんびり待機するように親心で指示を出し、久しぶりに思い切り怒鳴ってスッキリした様子の無傷で何よりなY女史と無事合流を果たした、まだまだ体力のあり余る私は闇と化した荒れ放題のこの廃墟のどこかに、捜索中の神代 由衣(くましろゆい)様発見に繋がる何かしらのヒントが残されている可能性を信じて、隅々まで隈なく捜索をして回る事にするのであった…。
最初は特に気にならなかったのだが、この廃墟内にある全ての部屋には違和感バリバリの真新しい布団がご丁寧にびっしりと敷き詰められてあり、また微量の血液によるシミだと思われる物がありとあらゆる布団の至る所に点々とこびり付いているという、明らかに異様な光景を目の当たりにし、その目を真ん丸に見開いたまま、ここでどんな恐ろしい事が日々絶え間なく繰り返されてきたのかを想像して、ガタガタと震えが止まらなくなり、私の腕にぎゅっときつくしがみ付くY女史…。
また、そんな凄惨な光景は無数のシミだけに終わる筈もなく…、おびただしい数の壊された携帯電話が辺り一面に散らばった挙句、無慈悲にも散り散りに引き裂かれた、きっと私好みの可愛いお嬢様がお召しになっていたであろう色とりどりの煌びやかなお洋服や、そして一着10万円以上もすると思われる、おそらく有名デザイナー監修で、さぞかし偏差値の高い名門校へ通うお嬢様達が袖を通されていた筈の様々な種類の可愛らしい制服などが無数に散らばっており、数え切れない程の写真入り生徒手帳が薄汚れた壁にびっしりと貼り付けられているという、世界的に見ても比較的平和である筈の日本で起こった出来事とはとても信じ難い地獄の絵空図を目の当たりにし、知らず知らず涙を溢す私達…。
そして、どこからかお若い女性の啜り泣く、か細い声が微かに聞こえている事に気付いた私は「まさかここで殺されてしまった女の子のお化けじゃないよねぇ…。」と、怯えつつも勇気を振り絞り、全く明かりの差し込まない、一番奥側へおずおずと進んで行くと…、ボロボロに崩れた部屋の隅で、艶のある綺麗な長い髪を可愛いリボンで後ろに結う、どう見ても高校生にしか見えない、一糸纏わぬ芸術品レベルに美しい裸体を兼ね備えた、気品漂うお嬢様が布団に顔を埋めて、肩を静かに震わせ泣いているお姿を見掛け、最後まで己の名も階級すら明かす事のない上級公僕のとある紳士から贈られた大切な頂き物の一つである、海外ブランドのコートを何も言わずに、そっと優しく掛けてあげる私であった…。
「もう大丈夫よ、私達がお家へちゃんと送り届けるから、何も心配しないでね…。」と、優しく微笑みながら一生懸命に声を掛け続け、長年連れ添う私には一度たりとも見せた事のない女神様のような思いやりに満ち溢れる、そんなY女史の涙ぐましい介助のお陰もあり、ようやく落ち着きを取り戻し、時折り可愛らしい笑顔を見せてくれるようになったお嬢様から、腰が抜けてしまい、ご自分では歩けそうにないと恥ずかしそうに言われ、光栄にも人生初となるお姫様抱っこをさせて頂きながら、廃屋を後にした私達は調査車両A◯86の後部座席へお嬢様をゆっくりとお連れし、優しく包み込むように寄り添うY女史と、何の前触れもなく狭い車内で、唐突にご一緒する事になった、その美しいお嬢様の恥ずかしそうにはにかむ奥ゆかしい仕草に一瞬で心を奪われ⁉︎、ソワソワするとてもピュアなY助手の二人に後の事は全てお任せし、まだまだやり残した事が山程ある私は再び廃墟へと向かうのであった…。
殺意にも似た怒りを辛うじて鎮める私は床に伏せたまま、ゆっくりお休み中の輩3人組を優しく⁉︎目覚めさせ、捜索中の神代 由衣(くましろゆい)様と親友の自称、佐久間 麻里様お二人の写メをゆっくりと順に見せ、何か思い出す事はないかと輩達に凄む…。
「おっそうだ!
この1枚目のめちゃくちゃ可愛いお嬢ちゃんは昨日の事だったから良く覚えてるぜっ!
何せ最高の締◯りだったからなぁ…。」と、聞いてもない事をほざく輩1号にまた一眠りして頂く。
「お前、一体何なんだよ…。
こんな事してタダで済むと思うなよ!
俺達は発育途上のお嬢ちゃんの未完なボディーを極上でウハウハな逸品に無償で仕上げてやる、善良な市民⁉︎なんだぜっ!」と、至らないお喋りが過ぎる輩2号も夢の中へ誘う。
「おい、おい、乱暴が過ぎるぜっ、旦那…。
1枚目の写メの可愛いお嬢ちゃんが俺達とたっぷりピロトーク⁉︎した後にどうなったのか、あんた知りたいんだろ?
しっかし、お淑やかな瞳が魅力的なあのお嬢ちゃんをたった一日で手放すのは惜しかったと、今となっては正直後悔してんだよ…。
でもよっ、3日続けてヤッちまうと、いろんな所が臭くなるから、いずれにせよゴミ箱へポイってな訳なんだけどなっ…。」と、結局リーダーらしき輩3号も他の輩と変わらぬクズであると適正な判断を下し、力加減が微妙ではあるが、眠れ眠れの一歩手前で何とか抑える私。
「分かった、分かったよ、もう十分だろっ!
頼むから本当に勘弁してくれ…。
俺の知ってる事を今から全部話すからさっ!
2枚目の写メの女は名前も連絡先も一切知らねぇが、前からちょくちょくオヤツ⁉︎をここへ持ち込んで来て、俺達がご褒美をその女に恵んでやるって流れでよ…。
ちなみに、この女はかなりのしたたか者らしく、3回くらい美味いエサを奢ってやって、安心し切った所をぐっすり眠らせて、その女が自らマ◯コチェックした100%モノホンの処◯で、ぴちぴちの小中高生だけをきっちり吟味して連れて来てるんだと、生意気な顔でほざいてたなぁ…。
それと、1枚目のお嬢ちゃんは久しぶりの上物だったから、K市にある◯◯っていう名で派手に営業してる、かなりエグい事までやらせてるって噂の高級デリヘルに高値で昨日の内に売っ払っちまったぜ!
俺達だって何かしらの収入がないと、処◯のお嬢ちゃん達とイチャ付けないから、ギブアンドテイクってトコだなっ!」と、ギブアンドテイクの意味すら分かっていない、地に落ちた外道その者ではあるが、輩3号が事の全容を素直に⁉︎白状してくれたお陰で、由衣様捜索に大幅な進捗を見出す事が出来たのも確かに事実ではあったが、やはりどうしても腹の虫が収まらない私はなぶり殺しのような生き地獄をたっぷりと味合わせ、たとえ輩達が幾度となく気を失おうが、全くお構いなしに強烈な拷問を繰り返し、この忌々しい輩達のいうところの楽園⁉︎とやらへ三人共まとめて誘って差し上げたのであった…。
その後、到着した地元警察が輩3人組を逮捕する様子を見届けた私達は、被害者である全てのお嬢様達が怒涛の如く延々と受け続けたであろう、その数々の恐怖や痛み、苦しみ、そして辱めなど計り知れないレベルのダメージをも1000倍以上超える、死んだ方がまだマシかもしれないと思う程の超厳罰が、このクソ以下の外道3人組と佐久間 麻里を名乗るクソ女へ天誅の如くきっちり下って欲しいと、切に切に願ってやまない私達であった…。
また、廃墟の奥でこの輩3人組にオモチャにされて一人で泣いていた先程のお嬢様はここであった事を誰にも知られたくないようで、警察とも今後一切関わりたくないと頑なに言われるため、お嬢様から教えて頂いたご自宅の手前まで調査車両A◯86にて丁重にお送りすると、何度も何度も私達を振り返りながら、その都度しっかりと頭を下げるという、そんな礼儀正しい彼女の美しい後ろ姿が完全に見えなくなるまで、私達は静かにそっと見守り続けるのであった…。
次回、オヤジ探偵物語 行方調査シリーズ〜正義とは〜 第七話「逆鱗」も宜しくお願い申し上げます